街とその不確かな壁 作者:村上春樹 新潮社 Amazon 二つの長編の関係性 長編『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(1985年6月刊行)とそれから40年近い歳月を経て刊行された本書『街とその不確かな壁』は、どちらも1980年『文学界』(9月号)に掲載された中編小説「街と、その不確かな壁」を原型としている。中編小説「街と、その不確かな壁」が単行本未収録のままである理由や両長編が書かれた経緯については長編『街とその不確かな壁』の「あとがき」に詳しい。 中編「街と、その不確かな壁」の出来に不満を持っていた村上春樹は単行本には収録せず、そのアイデアをもとに大幅に書き直したのが『世界の終り…