自分の顔を見れば、自分の調子は、だいたいわかる。良いときは、目に意思があり、肌も滑らかで、口角は上を向いている。そうでないときは、目の力は弱く、肌はくすみがちで、あらゆるパーツが重力に従順である。朝、身支度するときに顔を見て、ああ、疲れてるなとか、ああ、大丈夫そうだなとか思っている。風邪をひいているとき、自分の顔はいつもと違うと感じるけれど、回復するにつれ、見慣れた顔に戻る。むかしの写真を見ていると、屈託なく笑っている自分が、別人に見えることがある。幼いころに撮った家族との写真。笑っている私に対して、それを見守るような控えめな表情をしていた父と母を回想する。歩いてきた道のりが長くなり、屈託のな…