余談として述べておく。 度を越して過熱した欧化運動、その分かり易い例として、明治十二年一月の日枝神社を挙げておきたい。 同月十五日付けの『東京日日新聞』紙を按ずるに、 「今十五日は日枝神社の月次の祭典なるが、神楽は我が神代より有り触れたるものなれば、もはや神慮にも厭(あ)き玉ふらめ、夫よりも当時流行の欧州楽を奏したるが却て神も珍らかに思召し、且は参詣も多からんとて、氏子中が申し合せ、陸軍軍楽隊を拝借して、午後一時より奏楽するとか云へり」 こんな報道が見出せるのだ。 (Wikipediaより、日枝神社) ざっくばらんに噛み砕かせてもらうなら、 「雅楽なんざ時代遅れだ」、 「しょせん旧世代の遺物、…