平野啓一郎『葬送』(第一部)(新潮社,2002)を読む。 主人公はショパンですが、第一部では愛人で作家のジョルジュ・サンドとのいきさつに過半が宛てられています。 そのなかに面白いくだりがありました。 当時、ふしだらな女だの革命家だのと呼ばれて貴族社会の間では悪評もあったジョルジュ・サンドの娘のソランジュが、母親を、本の中では結婚という最も野蛮な制度、などと書いているくせに、自分を結婚させようとやっきになっている、とショパンの前で憤慨するのです。 知識人なんでそんなものです。現に私の直接間接に知っている日本の知識人だってそうです。それを責める気はありません。 どんな極端な○○主義者だって、自分の…