今年に入ってから『豪商の金融史』(高槻泰郎編著・慶応大学出版会・2022)という本を読んでいます。本書は大阪の豪商であった加島屋(廣岡家)について江戸期から明治にかけて追った本で、特に幕末から明治大正まで大坂の豪商として加島屋がどのように生き抜いたかについてが主題で、史学科卒ではない上に経済史に詳しくないので知らない分野ゆえにとても興味深かったのですが、恥ずかしながら主題ではないところにも目が行ってしまっています。いつものように話が横にすっ飛んで恐縮ですが、つい読み耽ってしまったのが廣岡家の残した書類を基に明らかになった江戸後期の天保年間の中津藩との取引です。 中津藩の平均的な収入は米14万俵…