■2025年製作/日本/110分 言語:日本語 監督:足立正生 1. 『逃走』が映し出す時代の狂騒 足立正生監督、古舘寛治主演の映画『逃走』を4月19日に鑑賞してから数日が経過したが、作品の余韻は今も胸の内で波紋のように広がっている。本作が強烈に描き出したのは、1970年代日本の異様な熱気だ。 日本は欧米に追いつき、追い越そうと邁進する中で、取り返しのつかない何かを置き去りにしてきたのではないか。それは、心の豊かさや弱者に寄り添う優しさといった、目には見えない大切なものだったのかもしれない。 当時の熱量は今となっては記憶の断片のように曖昧だが、社会全体が沸騰していた。学生運動の激化、連続企業爆…