訓読 >>> 道の辺(へ)の茨(うまら)の末(うれ)に延(は)ほ豆のからまる君をはがれか行かむ 要旨 >>> 道ばたのいばらの先に豆のつるが絡みつくように、私に絡みついて離れない君を残して、別れて行かなければならないのか。 鑑賞 >>> 上総国の防人の歌。上3句は「からまる」を導く序詞。「延ほ豆の」の「はほ」は「はふ」の方言。「君」は女が男に呼びかける語ですが、ここでは逆になっています。「はがる」は、離れる、別れる。 窪田空穂はこの歌について、「防人として発足した男を見送りして来た妻が、男がいざ別れようとすると、女は悲しみが極まり、すがりついて離れずにいるので、男は、こうした妻と別れて行くのだ…