間もなく源氏は本官に復した上、 権大納言《ごんだいなごん》も兼ねる辞令を得た。 侍臣たちの官位もそれぞれ元にかえされたのである。 枯れた木に春の芽が出たようなめでたいことである。 お召しがあって源氏は参内した。 お常御殿に上がると、 源氏のさらに美しくなった姿を あれで田舎住まいを長くしておいでになったのかと人は驚いた。 前代から宮中に奉仕していて、年を取った女房などは、 悲しがって今さらまた泣き騒いでいた。 帝《みかど》も源氏にお逢いになるのを 晴れがましく思召《おぼしめ》されて、 お身なりなどをことにきれいにあそばしてお出ましになった。 ずっと御病気でおありになったために、 衰弱が御見えに…