「クライフ」という一言だけで、この小説を買ってしまった。「あの夏」はサッカーのワールドカップ(W杯)西ドイツ大会があった1974年の夏のこと。実は、この大会の決勝戦が日本で初めてW杯が生中継された試合なのだ。しかもNHKではなく、当時の東京12チャンネルで。サッカーがまだマイナーで、日本においては月刊のサッカー誌と「ダイヤモンド・サッカー」くらいしか情報源がなかった時の話だ。 サッカーファンには説明不要だろうが、クライフとは、オランダ出身の選手・監督だったヨハン・クライフのこと。2016年に亡くなっている。戦術面やサッカー哲学の面から現代サッカーへの影響力を加味すると、ペレやマラドーナを抜いて…