――あの嵐の夜を境に、私たちのなかにあった境界線は、いつの間にか静かに溶けていっていた。 翌朝、窓の外には見事なまでに晴れ渡った青空が広がり、庭の濡れた木々が朝の光を浴びてきらきらと輝いていた。 リビングの古いソファの上で、ふたりはまだ同じ毛布に包まれたまま目を覚ました。結衣の頭は相変わらず蓮の胸元に預けられており、その寝息は驚くほど穏やかだった。 蓮はそっと目を覚まし、彼女を起こさないようにしながら、その寝顔を見つめた。 かつては「明日が来るのが怖い」と怯えていた胸の奥が、今は不思議なほど満ち足りていた。誰かに必要とされることの重圧でもなければ、誰かに依存する危うさでもない。ただ、互いの存在…