脊柱管狭窄症。この言葉を耳にしたことのある人は多いかもしれませんが、その実態や、診断・治療における課題を深く理解している人は意外に少ないのが現状です。 私は臨床医として、日々多くの脊柱管狭窄症の患者さんと接してきました。一方で、医療研究者として、エビデンスベースの医療(EBM)や新たな治療技術の評価にも関わっています。この記事では、現場で感じる「理論と現実のギャップ」、そしてその背後にある医療制度や倫理の問題にまで踏み込んでみたいと思います。 脊柱管狭窄症とは何か? 脊柱管狭窄症とは、背骨の中を通っている神経の通り道(=脊柱管)が加齢や変形、靱帯の肥厚などにより狭くなり、神経が圧迫されて様々な…