「青春18きっぷ」を使ったJR和歌山線の旅、船戸駅から電車に乗って、次の目的地である「名手(なて)駅」へ向かった。 地図で調べたところ、この駅の北側は昔の宿場町で、古い街並みが残っているように見えた。 ところが…。 駅の周辺は新しい住宅ばかりで、特徴を探すのが難しいような街並みだった。 結局、見るべきは宿場町の旧本陣とその周辺しかなかった。 旧本陣。 歴史と風格を感じさせる建物だ。 ここは有吉佐和子の小説『華岡青洲の妻』で、青洲の妻の実家とされたところだ。 しかし…。 私が建物の中に入ってしばらくすると、管理に当たっているおばあさんがやって来て、「ようお越し。ゆっくりしていってや」と言った。 …