どの映像作品にも、その結末に少なからず影響を与えるがゆえに注目される人物がいる。さらに稀に、その種の人物造形を作品の枠を超えて請け負い続けることで、「キャラクター」以上に「声」が現実を浸透していく極めて演者が現れる。 今回取り上げる櫻井孝宏は、その最たる一人である。代表作の選定が困難なほど「CV:櫻井孝宏」は多様に拡散している。しかし、主要キャラクターの行動原理や台詞を通して見えてくるのは、彼の声が一貫して、白でも黒でもない領域、すなわち二項対立を確定させない原理性を請け負ってきた、という事実である 櫻井孝宏が演じる「かっこいいキャラクター」は、すでにある種の飽和状態に達している。だが、だから…