days of cinema, music and food

2017-08-01

”Silence” and ”La La Land” on BD

[][]"Silence" and "La La Land" on Blu-ray Disc 07:46


今年のベスト級映画であるマーティン・スコセッシの傑作『沈黙 -サイレンス-』と、新鋭デイミアン・チャゼルの『ラ・ラ・ランド』のBlu-ray Discが到着しました!


前者は家庭で繰り返し観るには少々重いけれども、素晴らしい映画。

映画本編だけでなく膨大な特典、特にNHK BS1スペシャルで放送されたドキュメンタリが収録されているので、見るのが楽しみです。


後者はカラフルな色とジャズ・ミュージカルのサウンドを楽しみたいですね。

一瞬、ハードを持ってもいないのにUHD BD版を買おうかどうか迷いました。

この映画はUHD BD映えすると思うのです。

結局スチール缶のBDにしましたが。

特典のチケットホルダーは娘に取られちゃいました (^^;


すっかりソフトを購入しなくなったので、時間を作って観たいものですねぇ。


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2017-07-10

”Life” poster

[]Life 07:56


真田広之の直筆サイン入りポスターが飾ってある109シネマズ二子玉川にて、SFホラー/スリラー『ライフ』を観賞しました。

火星で採取した生命体が育って、ジェイク・ギレンホールライアン・レイノルズレベッカ・ファーガソンらがいる国際宇宙ステーションISS)が大騒ぎという映画。

劇場が冷房効き過ぎだったので、劇中終盤の寒さにリアリティがありましたσ(^_^;)

冒頭の超長回し映像や、全編に渡る無重力空間の表現は凄い。


内容はモロに『エイリアン』プラス『ゼロ・グラビティ』(こっちも冒頭に超長回しがあるISS受難映画でした)と、大ヒットSF映画から色々な要素を流用して一本にまとめた感じです。

要は新鮮味が限りなくゼロに近いのです。

この映画が想定している観客は、それらを観ていない人たちなのでしょうか。

ただし、宇宙でのスターたちの酷い死に様集という価値はあります。

しかしリアリティ重視なのでしょうが、『アビス』を想起させる宇宙生命体が冷酷非情に襲い掛かってきても、面白味はないなぁ。

映画なのだからもう少しデザインに夢(悪夢)が欲しいところ。


ダニエル・エスピノーサ監督とはどうも相性が悪いのか、過去の『デンジャラス・ラン』『チャイルド44 森に消えた子供たち』同様に、どうも乗り切れませんでした。

この映画も場面場面は面白いところもあるのですが。この手のホラーにはもう少し映画としての楽しさが欲しい。


興味深いのは映画の作り。

元の脚本から骨抜きにされたらしい大スター映画『パッセンジャー』とは好対照な映画のあり方だと思いました。

こちらにはジェニファー・ローレンスクリス・プラットが出ていない、中スター共演だから出来たのかも知れませんね。

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2017-06-13

Sam Shepard in ”The Right Stuff”

[]The Right Stuff 08:01


つい先日のFacebookにて盛り上がっていた1984年の名作『ライトスタッフ』。マーキュリー計画に携わったアメリカ人初の7人の宇宙飛行士たち(オリジナル・セブン)と、世界で最初に音速の壁を破った孤高のテストパイロット、チャック・イエーガー。そして彼らの妻たちを描いたフィリップ・カウフマンの大傑作です。そもそも「Right Stuff(正しい資質)」って何さ?という疑問は映画を観てのお楽しみですが、それが何とAmazonプライムビデオにあるではないですか。観直すのは10年振りくらい? 何回かに分けて鑑賞しました。初日は気楽に就寝前に布団に転がってiPhoneで観始めると、気付いたらあっという間の96分。いえいえ、映画は193分もあるので、それでもまだ半分なのです。でも冷戦時代の米ソ宇宙開発競争をアメリカ側から描いたドラマは、ひたすら面白く、小気味よく、カッコ良く、そして美しい。キャレブ・デシャネルの撮影は、無論、光も色も美しい(特に屋外のショットなどは新作映画と変わらないかのような解像度)。『ロッキー』で知られる作曲家ビル・コンティの音楽も、チャイコフスキーホルストなどのもろパクリがあるけれども、勇壮で美しい。でも誰もが1番美しいと認めるのは、恐らくチャック・イエーガーを演じたサム・シェパードでしょう。馬に乗って砂漠に現れる序盤からして西部劇のヒーローそのものだし、何と言っても立ち姿が美しい。すらりとした体躯と細い顔、広い額。そこにいるだけで文字通りに絵になる男。シェパード=イェーガーが登場するだけで画面が引き締まります。終幕、不死鳥の如く生還するイェーガーは、映画史の中で最も美しい男の1人に数えられましょう。


彼と対照的に、超エリートだが反骨精神に溢れた、オレがオレがと鼻っ柱が強いオリジナル・セブンはかなり賑やかです。中でもジョン・グレンエド・ハリス)、ゴードン・クーパーデニス・クエイド)、ガス・グリソム(フレッド・ウォード)、アラン・シェパード(スコット・グレン)の4人は個性豊かに描かれています(残念だがそれ以外の3人は全くの脇役扱いだ)。ソ連からの遅れを取り戻せとアメリカの威信を引き受けたかのような彼らは、過酷な訓練の日々を送り、マスコミに追い掛けられます。それでも陽気さを忘れないし、そもそもカウフマンの彼らに対する演出もユーモラスです。そして反骨魂。巨大権力など知ったことかと、己の信念を貫き通します。宇宙船に窓が無いから窓を付けろと注文するエピソードや、グレンと妻アニーがジョンソン副大統領に立ち向かうエピソードなどは特に印象に残る名場面ですね。グレン夫妻だけではなく、いつ死ぬか分からないパイロットの妻たちの心理も短いながらもよく描けています。オリジナル・セブンを描いた場面で最も美しいのは、終幕のジョンソン主催の大パーティのくだり。ドビュッシーの「月の光」が流れる中、華麗なショウが舞台の上で繰り広げられています。舞台に見入っていた彼らは、やがてお互いに見やり、眼だけで認め合うのです。


史実を意図的に改変した箇所もありますが、それは映画を楽しむ際の瑕疵にはなりません。むしろ後から知ると、「あぁそうだったんだ」と楽しめることでしょう。


今回はiPhoneと50型プラズマテレビで観た『ライトスタッフ』ですが、残念なことに私は劇場の大画面で観た事が1度も無いのです。高校の時に、盟友・べっくの家でコピー版VHSで見せてもらったのが初見でした。とても面白かったのでそれを借りてまた自宅で見直し、すっかり惚れ込んでしまったものです。その後もLD、DVDと観ていますが、自宅ホームシアターでも観たかなぁ…。でもホームシアターの大画面で幾度も観た映画であれ、劇場の大画面で観るとびっくりするのは、『ブラック・サンデー』で体験した通り。この映画も機会があれば是非、上映される劇場に駆け付けたいです。


そしてそもそも『ライトスタッフ』に興味を持てたのも、私の父がNASAマニアだった影響です。幼稚園の時にフォン・ブラウンアポロ計画の責任者)の伝記を買い与えてくれて、小学校低学年時には大宇宙博に連れて行ってくれ、その後もカール・セーガンのTVショウ『コスモス』を見せてくれ(小学生には遅い時間帯だった!)、本や言葉であれやこれやと関連知識をくれたから。全くもって有難いことです。


尚、国内盤Blu-rau Discは特典ディスク無し。スペシャル・エディションDVDには特典ディスクが付いています。

国内版BDにも特典ディスクが欲しいところですね。


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2017-05-24

…as Roger Moore

[]Roger Moore dies 08:25


ロジャー・ムーアが亡くなりました。

89歳だったそうです。

彼は私が知った最初のボンドでした。

007私を愛したスパイ』は私が幼稚園年長のときの映画です。

映画の内容は知らなくても、潜水艇になるロータスエスプリのオモチャは、パッケージの写真にあった拳銃を持ったダンディな男性も含めて、とても魅力的に思えたものでした。


ムーアのボンドは劇場では1本も見られずじまいでしたが、テレビの洋画劇場ではしょっちゅうお目にかかり、大いに楽しませてもらいました。

中学の時に月曜洋画劇場でノーカット放送された『私を愛したスパイ』、は本当に面白かったです。

恐らくあれが最初のムーア=ボンド体験だったのではないでしょうか。


写真はロータスのオモチャのパッケージ写真を真似した幼少期の私ものです。

既に小学校1年になっていますが。

ちゃんと釣りズボンまでしています。

粘土でほくろもつけたら?」と父に提案されましたが、恥ずかしがってそれは却下したのを覚えています。

合掌。

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2017-05-07

”The Fate of Furious”

[]The Fate of Furious (a.k.a: The Fast & Furious 8 ) 07:52


GW最後の映画は近所のM田さんと『ワイルド・スピード ICE BREAK』ミッドナイトショウ鑑賞。

IMAX版は吹替えのみ(なんで!?)なので、2D字幕版を鑑賞。

このシリーズ、最初はストリートレースもの+潜入捜査ものでキャスリン・ビグローの『ハートブルー』そっくりな映画だったが、いつの間にかスーパーカーに乗ってのチームでの強奪もの、というド派手な『スパイ大作戦』に変貌していました。

私は『ワイルド・スピードX2』『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』『ワイルド・スピード MAX』を見逃していて、『ワイルド・スピード MEGA MAX』から再び観るようになったので、その変わりように驚いたものです。


ポール・ウォーカー亡きあとの本作は脳筋路線極まれりで、超ご都合主義で超自然現象なCGアクションが続出の超大作。

シリーズ1作目からしてCG大量投入のアクションですものね。

現実離れしていても良いのです。

2時間10分の長丁場を「バカだなぁ」と笑って楽しめました。

過去キャラもアクションもこれでもかと全て切り札のように投入するフルコース映画は、「えぇと、この人は誰だっけ」などと忘れていても問題無し。

カーアクションの『エクスペンダブルズ』を目指すのか、ゴジャゴジャ言わずに皆でまとまってレッツ・ゴー!の軽いノリの無敵連中の強奪作戦が楽しい。

アイディアとして面白かったのは、自動車自動運転を使ったアクション。

でもあれなんて1台だけ制御すれば良いだけの話なのにね…などと突っ込むのは野暮というもの(なのでしょう)。

ド派手な車ぶっこわしを楽しめばよいのです。

ただし、大量のパトカーを実際にぶっ壊していた『ブルース・ブラザース』と違ってCGですが。

大騒ぎした後、最後は「ファミリー」というキーワードにまとめるのがこのシリーズの特徴。

それが大勢に支持される理由の1つなのかな、とも思いました。


キャストではシリーズ初登場のシャーリーズ・セロンが悪役で、「ハッカー最強」のシリーズだから無敵状態。

なんでも自由自在でやっちゃう。

大好きな女優なのに、瞬きしないで常に目をかっと見開いただけの、いかにも悪役然とした単調演技は残念でしたが。

彼女より出番は少なくとも、さすがのカンロクと軽さの合わせ技を見せつけた、クレジット無しの大女優の方が得した感じです。


ザ・ロック様ことドウェイン・ジョンソン演ずる捜査官ホブスも無敵。

コンクリのベッドを引っこ抜いてバーベル替わりにするのに、脚がちょい引っかかっただけで捕まっちゃうのはどうなのよ、などと思ってはいけません。

もはや人類を超越した神業の数々を見守るしかないのですから。


3部作の序章との本作。

スター共演の大騒ぎをお楽しみくださいな。

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2017-04-06

”Lego(R) Movie” on BD

[][]"Lego(R) Movie" on Blu-ray Disc 07:53


先日家族で観て来た『レゴバットマン ザ・ムービー』が期待以上に面白かったです。

最近のDCEU映画(『マン・オブ・スティール』とか『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』とか『スーサイド・スクワッド』とか)がすっかり失ってしまったDC世界への敬意と映画としての楽しさがあって、素晴らしい出来でした。

何よりちゃんとバットマン映画になっているのですから。


そこで‪子供たちと観ようと思って注文していた『LEGO(R) ムービー』のBDが来ました。

子供向け映画と侮るなかれ。

これまた、大人が見ても最高に面白い映画なのですから。


最初の数十分を子供たちと観ましたが、以前に機内で一緒に見た娘はゲッラゲラ、息子もケラケラ笑ってくれました。

画質も素晴らしいですね。

サイコー!(≧∀≦)‬


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2017-03-04

”Heat” discs

[][]"Heat" on Blu-ray Disc! 23:56


我が家にも来ましたよ!

マイケル・マンの『ヒート 製作20周年記念版』Blu-ray Discが!

大好きな映画です!

ダンテ・スピノッティの映像美も最高!


ということで、写真は‪我が家の『ヒート』4種です。

左からヘラルドLD、東北新社版リマスターDVDユニバーサル=ジュネオン版BD、今回のフォックス版BD。

今回のをちょい見ましたが、やはりBDは画質が綺麗ですね。‬

ダンテ・スピノッティ撮影の夜景も美しい。

昼間もL.A.というコンクリートジャングルを冷たく切り取っていて。


しかしもう20年以上も前の映画なんですねぇ。

3時間もの本編を観る時間を捻出しなくては!(≧∀≦)

特典ではクリストファー・ノーラン司会のマンアル・パチーノロバート・デニーロを交えてのパネル・ディスカッション映像が特に楽しみです!


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2017-02-11

[]私的映画ベスト(4) 00:06


(承前)


ヒストリー・オブ・バイオレンス(2005)

デヴィッド・クローネンバーグは大好きな異形エログロSFホラー映画監督だったが、近年はすっかりその手の映画を監督しなくなってしまった。しかしこの映画は素晴らしい。田舎町のダイナー強盗2人組がそこの主人ヴィゴ・モーテンセンによって撃退されて全国ニュースになる。それからモーテンセンの周囲にはお前の過去を知っているぞ、というマフィアの影がちらつく。人違いだと言うモーテンセンだが…というスリラーの体裁を取っているが、時折見せる瞬発力のあるヴァイオレンス描写やエロ場面にクローネンバーグらしさが漂う。銀座の劇場は『ロード・オブ・ザ・リング』のヴィゴ様主演作とあって女性客が多かったが、辛口の描写と内容に仰天した人も多かったのではないか。クローネンバーグ&ヴィゴのコンビでは次回作『イースタン・プロミス』も傑作として挙げたい。


ワイルドバンチ(1969)

第一次世界大戦前の西部を舞台にした中年強盗団、彼らを追う元仲間率いる賞金稼ぎ軍団、メキシコ野党パッチ将軍らの一党という三つ巴の激突を描いた、サム・ペキンパー西部劇。初見は高校時代、故河野基比古解説の「木曜洋画劇場」だから、1時間近くカットされていた訳だ。後にトリミング版LD購入、ノートリミングLD購入、渋谷パンテオンでの東京ファンタスティック映画祭での長尺版鑑賞、となる。失われてゆく西部劇への挽歌という側面もありながら、時代遅れとなった男たちへの眼差しが温かくも辛辣だ。公開当時「死の舞踏」と呼ばれたスローモーションとモンタージュを駆使したヴァイオレンス描写は、初めて観た時に顔から血の気が引いた。現代アクション映画で多用されているスローモーションの使用方法の始祖と言って良いだろう(ペキンパー自身は『恐怖の報酬』からの影響を述べているが)。だが何よりも男達の顔・顔・顔だ。彼らのような顔の皺1つ1つに土埃がしみ込んだかのような顔を持つ俳優は、今のハリウッドには居ない。


殺しのドレス(1981)

近年はすっかり精彩を欠いてしまったブライアン・デ・パルマは、かつては大好きな監督だった。彼が脚本を書いた作品はどれもヘンテコだが、この映画はトリッキーな内容と、艶のある映像スタイルが幸福な結婚をした産物だと思う。当時のデ・パルマの妻だったナンシー・アレンのヒロインは男にとって都合が良過ぎる、頭も気も良い娼婦という役柄だが、彼女の代表作なのは間違いない。全体的にスリリングで非常に楽しめる。


ブラック・サンデー(1977)

トマス・ハリス小説の映画化作品は『羊たちの沈黙』が代表作なのだろうが、そのハリスの処女長編作を映画化したジョン・フランケンハイマーの本作は、筋金入りのアクション・スリラー。北米にて大量テロを目論むパレスチナ・ゲリラと、彼らを追うモサドの追撃戦を描いた大作だ。目的の為ならば手段を問わない登場人物たちの戦いを描いた本作、私自身は『羊』よりも大好き。構成にやや難のあるサイコスリラー小説を、よくもここまで娯楽たっぷりのアクションスリラーに仕立てたものだ。脚本家アーネスト・レーマンヒッチコックの『北北西に進路を取れ』やロバート・ワイズの『ウェストサイド物語』でも有名だね。パレスチナゲリラと日本赤軍を扱っているとあって、日本では夏休み大作予定が劇場爆破予告により上映中止となった本作。公開当時のチラシを持っているよ。幻の作品だっただけに、高価なVHSが出た時はトリミングされているにも関わらず、大興奮したものだった。後年、ノートリミングDVDを購入し、自宅ホームシアターで堪能したのだが、「午前十字の映画祭」の1本として横浜ららぽーとTOHOシネマズにて鑑賞。何度も観ているのに劇場で観ると大興奮、且つ手に汗握るという貴重な体験をした。

…と、ずらずら書いてみたが、まだまだ他にもベスト映画はありそう。こういうのを書くのも楽しみ…ということで。他の方々のベスト映画というのも、知ってみたいものだ。世代によっても違うのは確実だしね。


以上は見栄っ張り無しに、心から大好きな映画を挙げてみた。たまにはこういうのを選出してみるのも、映画ファンの楽しみだったりするのだ。

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2017-02-07

[]私的映画ベスト(3) 21:51


(承前)


恋におちたシェイクスピア(1998)

シェイクスピアを主人公にしたロマンティック・コメディ…といっても悲恋ものではあるが、トム・ストッパードの凝った脚本が素晴らしい。主人公2人をがっちり描きつつ、脇役達にもスポットライトを浴びせるのを忘れず、かつ史実も巧妙に混ぜ込み、シェイクスピア作品への目配せも忘れない。高揚感のある映像や音楽、豪奢な衣装、豪華なキャスト陣と見どころ聴きどころも多い。当時のアカデミー賞作品も今では余り評価されていないようだが、至福の時間を過ごせる傑作だ。


ヒート(1995)

俺様マン様の常に自信満々な男節監督マイケル・マンの最高傑作は『インサイダー』だとは思うが、それでもこれが好きだ。男が描けて女が描けないのもマンらしいが、アル・パチーノ強盗殺人課警部補とロバート・デ・ニーロら武装強盗団のライヴァル意識、狐と狸の化かし合いといった面白さもあるし、迫力満点のアクション場面もある。内容詰め込み過ぎで3時間弱と少々長いものの、異様な緊張感で最後まで引っ張る。中盤にある白昼のオフィス街での一般市民巻き添えの市街戦は、映画史に残る場面だ。


許されざる者(1992)

クリント・イーストウッドの監督作品は好きなものが多いのだが、1本選ぶとなるとこれか『ミリオンダラー・ベイビー』のどちらかになりそうだ。本作は『ブレードランナー』と同じくデヴィッド・W・ピープルズ脚本作。亡き妻を偲びながら子供2人を育てる元極悪人の老農夫。旧友に誘われて金の為に賞金稼ぎとして銃を手に取るが…という単純なプロット西部劇に、捻った展開を多々用意しているのがイーストウッド好みらしい。暗い映像と内容だが、孤高の美しさに満ちている。今は無き渋谷パンテオンでの初見では、大画面いっぱいに広がる映像に息を飲んだ。


グッドフェローズ(1990)

劇場で見逃したのでLDで購入して観たマーティン・スコセッシのマフィア映画。フランシス・コッポラの『ゴッドファーザー』がオペラならば、こちらはロックンロール…とは言われるが、まさに対照的な作り。映画のテンポも速いし、男達の手も速い。暴力と恐怖と笑いがいっしょくたになって突き進む実録ギャング映画は、一般人の道徳観念が入り込む隙の無い異世界を垣間見せつつ、異様な興奮を持って突っ走る。初見は劇場で観たかった。後年の『カジノ』は大画面映えする映画で、こちらも大好きだ。


ザ・エージェント(1996)

キャメロン・クロウは大好きな脚本家兼監督だ。彼のベストは『あの頃、ペニー・レインと』だとは思うが、それでもトム・クルーズの本作も素晴らしい。これは前の会社の先輩・同僚と3人で渋東シネタワー(今の渋谷TOHOシネマズ)で、会社帰りに観た。先輩は涙を流していたよ。芝山幹郎が指摘するように、本作の特異さはその構成にある。ディケンズの『クリスマス・キャロル』のように、あこぎな守銭奴が最後は良心に目覚めてハッピーエンディング…というのがお決まりの構成。だが本作ではその結末を冒頭に持って来て、では主人公が良心に目覚めると現実社会ではどのような悪戦苦闘が待っているのか、という内容にしている。クルーズの大袈裟やり過ぎ演技をギャグにしてしまうクロウの才気も嬉しいが、名場面も多く、クルーズとレネ・ゼルウィガーの相性も良い。まだまだ苦闘が続くであろう彼らを応援したくなる。


(この項、続く)

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2017-02-05

[]私的映画ベスト(2) 07:45


(承前)


エイリアン(1979)

これは夏休みに叔母に連れられて弟と八戸の劇場で観た。小学2年のときだ。『スーパーマン』の後のハシゴだったのだが、こちらの方が強烈な印象を受けた(弟は疲れたのか、殆ど寝ていた)。全く怖くなかったものの、ノストロモ号の外観と内装のデザイン、異星人の宇宙船や異星人のデザインが忘れられなかった。2週間程、母方の実家に預けられていたので時間がたくさんあり、そうだ、と自前でわら半紙で新聞を作り、その中でこの映画の紹介をイラスト付きで書いたよ。今思うと、最初に書いた映画レヴューだったのかも知れない。手元には残っていないが、何を書いたのだろうか。終幕のシガーニー・ウィーヴァーの下着姿が強烈だったのは確かだ。


ブレードランナー(1982)

『エイリアン』と同じくリドリー・スコットSFハードボイルド映画。初見はお年玉で買った輸入VHSで小学6年の冬。もちろん字幕なぞない。それまで散々SF専門誌『スターログ』や中子真治さんの『SFX映画の世界』で紹介を読んでいたが、内容は殆ど理解出来なかったと思う。中学1年になって今は無き三軒茶屋東映の「リドリー・スコット+1上映!」という、『エイリアン』とジョン・カーペンターの『遊星からの物体X』との3本立てで字幕付きを初めて観て、内容を知った。名画座らしく劇中の雨だけではなく、フィルム傷の雨も降っていたものだ。映像やデザインは素晴らしいと思ったものの、辻褄が合わなかったりで、ご都合主義が目に付き、内容は余り評価出来なかった。それが覆ったのは、2007年の25周年記念ファイナル・カットだ。時代が追い着いたのか、いや私が追い着いたのか、内容は非常に理解しやすく、素晴らしい傑作だと思った。一緒に観た初見の妻も全く分からない事が無かったとか。やはり早過ぎた映画だったのかも知れない。


ロード・オブ・ザ・リング(2001)

○ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔(2002)

○ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還(2003)

ピーター・ジャクソンの野心溢れる10時間もの大長編は、3本で1本の映画だ。J・R・R・トールキンの『ホビットの冒険』は愛読書で、多聞小学校の図書室で幾度も借りて読んでいたくらいに大好きだった。続きがあると知って『指輪物語』を親に買ってもらったのが小学5-6年のとき。中子真治さんの『超SF映画』にもラルフ・バクシのアニメ映画版が紹介されていて、魔法使いガンダルフをフィーチャーしたポスター・アートに魅了されたのも理由の一つだ。だがこれは挫折した。幾度かトライしたものの、必ず第1部『旅の仲間』途中で投げ出してしまう。テンポが遅いだけではなく、とにかく読みづらい。登場人物が多いだけでなく、彼らを複数の呼び名でも書いてある為もあったろう。だが映画版公開前に読み直したら、すらすら読み進められたのだから面白いものだ。職場では幾人かで読んでいたよ。一種のお祭りだね。映画は原作の雰囲気とはかなり違っていたが、大人向けのハイ・ファンタジー超大作に仕上がっていて、素晴らしい。幾多もの重層的なテーマも面白いが、アクションも友情も胸を打つ。ラヴストーリーはイマイチなのもジャクソンらしいが。時々、この異形溢れる中つ国に戻りたくなる。旅の仲間に再会したくなる。


チャイナタウン(1974)

初見は中学2-3年の年末年始の深夜映画放送番組だったか。1930年代のL.A.を舞台にしたハードボイルド・ミステリは雰囲気たっぷり。ミステリとしての面白さで引っ張り、観客は私立探偵J・J・ギティスと一緒に富豪一族の忌まわしき闇を覗き込む事になる。ロバート・タウン一世一代の脚本に、ロマン・ポランスキー演出ジョン・A・アロンゾの撮影に、ジェリー・ゴールドスミスのやるせない音楽。ジャック・ニコルソンフェイ・ダナウェイジョン・ヒューストンと役者も揃っていた。フィルム・ノワールとしてもベスト1だ。後年、ノートリミングのLDを購入し、その素晴らしい映像美を堪能する事になる。


L.A.コンフィデンシャル(1997)

日本公開は配給会社がワーナーから日本ヘラルドに変わったとかで、翌1998年夏になり、独身最後に観た映画となった(一緒に観たのは今の妻で、入籍1週間前だった)。オールナイトで日比谷で観たが、上映終了後に拍手が起きていたのも印象深い。『チャイナタウン』とは逆にモダンな感覚で撮られた1950年代L.A.を舞台にしたフィルム・ノワールは、ゴールドスミスが音楽を担当しているのにあちらとは全く違う雰囲気。だがこの苛烈な男達の激突の描き方が、現代風でとても良かった。後にジェイムズ・エルロイの原作を読んで、場面場面は同じなのに筋が全く違っていて仰天したものだ。脚本家たちは素晴らしい脚色をした。ラッセル・クロウガイ・ピアースケヴィン・スペイシーと主役3人の描き分けも良い。


(この項、続く)

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