$12.5M in Series C Funding

かなり厳しいVC環境下にも関わらず、追加出資を受けたAdMob。詳細は下記参照。

How much:

  • Jan/09: $12.5M Series C (Draper Fisher Jurvetson, Northgate Capital)
  • Oct/08: $15.7M Series C (Sequoia & Accel)
  • Mar/07: $15.0M Series B (Sequoia & Accel)
  • 合計 $43.2M

What (investments):

  • 主要市場開拓: 西ヨーロッパ、インド、南アフリカ、日本などでスタッフ採用とローカライゼイション
  • プラットフォーム開発: ターゲティング、最適化、アルゴリズムなど
  • パートナー促進: 広告主&媒体とのパートナーシップ促進
  • US事業強化: Sales と BizDep 増員

インターネット大潮流-VIII

Slide 45,46

VCの現況は・・・

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日米を比較して際立つのが黒字化までの期間。1年目から黒字のEBayを除き、IPOで資金調達するまでマイナス10-30億円のEBITDAを覚悟でビジネスモデルを描き、巨額の先行投資をするアメリカ。それに対し、早期黒字化を目指し、コツコツ投資する日本。その背景には、主要投資家であるVCと企業側(創業者や役職員)のスタンスの違いあり。

各VCから数千万円をかき集め、数億円の連合資金の下、早期黒字化の強烈なプレッシャーを受ける日本の経営陣。一方、大手VC一社からでも数十億円を集め、巨額の先行投資にも寛容な中で大きなビジネスモデルを描けるアメリカの経営陣。どっちがいいかは別にして、主にVC、そしてVCに資金を提供する投資家の価値観(ホームランを狙うかシングルヒットを積み重ねるか)の違いが、その数値の裏にあり。

US代表

日本代表


(注)太枠はIPOした年。ミクシーは、SNSを開始した年から試算。日本代表の場合、創業1年目の業績は入手できなかったので空欄。

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シリコンバレーの強み。実感したのが、人材の流動性インターン先のAdMob では、新卒はStanford, 中途採用の多くがYahoo!。キャリアアップの機会が多く提供され、人と企業の循環がうまく機能。そして、仕事を通して人生を楽しもうという文化。

インターネット大潮流-VII

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データポータビリティーの最有力、Facebook Conect。
「あなたの友達の魯山人さんが星ヶ岡茶寮という料亭で食事しましたよ」という口コミ伝達システムSNS Social Ads。それは、Google ではなく、Facebookが開発した人と人との相関関係図ソーシャルグラフ (Social Graph) 技術が土台。このプラットフォームが固まれば、今度は顧客同士が情報を交換し、企業側が何もしなくても自然に顧客DB価値が高まる仕組み、つまり勝手にデータを提供してくれる仕組みができあがる。これが複雑系の本質的魔力。

例えば、会員が商品購入履歴を公開しあうことで、店舗ごとの評判や価格を参考できるシステム。Facebook が規定したソーシャルグラフによるアプリケーションプラットフォームが、アプリ開発者にとって魅力的なら、商品購入履歴を公開できるようなアプリケーションや、店舗別の評判や価格を一覧比較できるようなアプリケーションは、彼らが勝手に作ってくれる。今度はそのアプリを使って、顧客同士が勝手に情報をシェアするので、共有知が顧客DBに蓄積される。One stop, One table, One to one の理想的世界。人間関係を土台に、アプリ開発者や顧客など複数の補完者を活用して、ギアを数段あげて成長する仕組み、次世代ウェブアプリケーションプラットフォームを担う最右翼がFacebook。つまり、ネット上にあふれ出した人間関係を整理して付加価値を生み出す時代のチャンピオンになれそうなのがFacebook Conect。

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ではSNSに弱いGoogleは、どう戦おうとしているのか。それは、Facebookのようなプロフィールを持っているサービスと、データを欲しがっているサイトの間に立つ戦略。様々なSNSと手を組み、重要なデータ仲介人となることで、実際にソーシャルネットワークを持たない最も重要なソーシャルネットワークになる可能性を秘めた、次元を変えた戦い方。

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ネット上の戦法が、刀を持って単独で戦う手法から、複数の企業がネットワークでつながり、お互いに影響しあいながらシナジー効果を生み出し、ネットワーク価値を作り出す「企業生態系」へと変貌。力の源泉が、複雑系の魔力。

インターネット大潮流-VI

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「アプリケーション」プラットフォーム」の流れに対し、垂直統合を推し進めるSoftBank。先見性の優れた投資、今の矛先はアジア。

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ネットビジネス究極の目的は、人々のあらゆる情報をデジタル化して、人間データベースを構築すること。その本源が、「ユーザー数に比例して価値が向上するデータベース」なため、データポータビリティという考え方へ発展。

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ユーザーを塀に囲まれた庭の中で一日中過ごさせる時代が終焉。次は、ユーザーに関するデータをできる限り手元に置いて、自分のサイトにいないときでも自社ブランドを使って認証させるようにする戦いへ移行。ユーザー情報の中で最も重要なのが、個人識別情報なので、OpenIDを発行する側になろうとするのが今の戦い。OpenIDがあれば、Yahooなどのアカウントで他サイトにログインすることができるため、ユーザーはネット上で何度もリストを作り直すことが不要。

データポータビリティーの核心は、ソーシャルネットワークが、ユーザーの明確な承認の下で、相互にデータを交換できるようにすること。Flickrの写真、Twitterのメッセージ、YouTubeのビデオなどを自分のブログに貼り付けたいと思うなら、コンセンサスを得たポリシーと手順によってそれを可能にしようというのがデータポータビリティー。つまり、個人の分散化 (decentralize) を採用しつつ、ユーザーが望めば再び集中化 (centralize) も可能という概念。

インターネット大潮流-V

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丸の内ビル、東京ミッドタウン汐留シオサイトなどの集客競争に当てはめると、プラットフォームが丸の内や六本木などの立地、インフラはそこへたどり着く行程やアクセスのしやすさ、コンテンツは有名ブランドや地方の行列店などのテナント、アプリケーションはコンテンツ販売を促進するサポーター。理想的には、行列に並ばなくても空いたら受付順に携帯に知らせてくれるシステム。他のサービス業界でいえば、セブンイレブンの強みであるPOSシステムを使った在庫管理、回転寿司の画面注文システムなど。

都心ビルの集客競争の場合、インフラやアプリケーションに差はないので、メディアは「東京に新たな観光スポット、東京ミッドタウン。丸の内ビルをしのぐ・・・」など、丸の内 vs. 六本木の構図、プラットフォームの戦いとして報道したがるが、プラットフォームにも大差はないので、実質はキラーコンテンツ獲得・創出合戦=顧客の囲い込み合戦。

  • コンテンツ: テナント-> 有名ブランド、地方の行列店、テレビ局、アニメ世界、アトラクション
  • アプリケーション: 効率的な販売手法-> 行列緩和、サプライチェーン管理システム
  • プラットフォーム: 立地-> 丸の内、六本木、汐留
  • インフラ: 移動・行程-> 路線網、移動時間・スピード、混雑状況、道幅、快適さ

Content is King

次世代規格=有利な立地を競うプラットフォームの戦いでは、都心ビルの集客競争と同じようにコンテンツが勝敗のカギを握る。例えばVHS vs. ベータ戦争では、録画時間の差をテコにレンタルビデオ市場を押さえたVHS。以前紹介した次世代DVD競争では、ハリウッド映画の囲い込み合戦が長期化したが、敵の主力ワーナーの寝返りにより勝利したBlu-ray陣営。ゲーム機では、プレイステーションの人気を決定づけた「ファイナルファンタジーVII」、ニンテンドーDSでは「脳を鍛える大人のDSトレーニング」。

ウェブサービス: Yahoo! から Google

コンテンツ、アプリケーション、プラットフォームを提供者の数で見ると、コンテンツ>アプリケーション>プラットフォームなので、一番おいしいポジションはどんな分野においてもプラットフォーム提供者。ウェブサービスでもインターネットへの入り口 ポータルという一等地をめぐり熾烈な戦いが繰り広げられたが、プラットフォーム戦線を制したのはYahoo!。 現在も王者に君臨する Yahoo Japan に当てはめると、オークションやYahoo!メールがアプリケーション。ニュース、天気、ファイナンス、動画などがコンテンツ。それらを上に乗せたプラットフォームは全ウェブユーザーの8割近くが訪れる超人気スポットとして君臨。90年代は「Content is King」 という経験則がうまく機能し、自前で様々なコンテンツをかき集め、プラットフォーム戦線に勝利したYahoo! だったが、現在のウェブ世界チャンピオンはコンテンツを何一つ持たないGoogle。なぜなんだ?

過去10年間、ウェブはどちらかというとウェブプラットフォームとウェブコンテンツを巡る「コンテンツ」プラットフォームの戦いだったが、ここ数年で潮目が変化。ウェブの主戦場は「アプリケーション」プラットフォームに移りつつあり、08年が劇的に変わりそうな節目の予感。分かりやすい例が、次に説明するMicrosoft vs. Google

Microsoft の焦り: 「こちら側」から「あちら側」/ 「インストール型」アプリから「ウェブ」アプリへ

OSという「プラットフォーム」と、Word/Excel/PowerPointなどの「アプリケーション」を支配し、PCソフトウェアの王者に君臨するMicrosoft。97年にインターネットが爆発的に普及し始めた時、最初に危機感を持ったのがYahoo! でもAmazonでもなく、ブラウザという「アプリケーション」を持っていたNetscapeビル・ゲイツをして「全ての経営資源をインターネットに集中」と言わしめたが、その背景にはブラウザというソフトウェア「アプリケーション」を抑えれば、ウェブもまた支配下におけるとの考えがあったはず。その後、あらゆる手を使ってNetscape を駆逐し、王者Yahoo! に対してもポータルMSNで対抗。

しかし、ウェブを支配したのは相手の強みを弱みに変える柔道戦略を展開し、ゲームのルールを変えたGoogle。同様の戦略は、販売チャネルがない弱みを直販という強みに変え、下図Iのようにライバルができないことをして「企業資産の負債化」戦略を推し進めたDellでもみられた。つまり、Microsoftの強み、手元のPC側「こちら側」では動かず、ウェブ側「あちら側」で動く現在最強の「ウェブアプリケーション検索エンジンを導入。検索連動型の広告配信システム (AdSense/ AdWords) と連携させることで、最強のビジネスモデルとしても機能している。

検索エンジンに次ぐ強力な「ウェブアプリケーションGoogle MapとGmailは、これまでのインストール型アプリケーションを駆逐し、「さよならOutlook」 現象を巻き起こしている。そして次の標的はWord/Excel/PowerPointなどのMS Office。「あちら側」には、互換性のあるMS Officeモドキが無料で提供され、作成ファイルは「こちら側」のPCに保存する必要がなく、「あちら側」に保存すれば、家や会社以外、海外からもアクセスできる。さらに「あちら側」では迷惑メール除去やウイルス駆除も世界最高峰の技術でカバーしてくれるので、「こちら側」で頻繁に行っていたファイル更新の手間も省ける。そして何より、バージョンアップ毎に殆ど使わない機能をふんだんに組み込んだ重いファイルを意図的に作り出し、パソコンの起動速度を低下させ、買い替えを促す策略ともおさらばできる。

最近、Microsoftがしゃかりきになっているのは、Googleによる「こちら側」から「あちら側」への情報大移動計画により、「インストール型」アプリから「ウェブ」アプリへの流れが加速し、最終的に「さよなら Microsoft」現象が起きかねない事態にあるため。

主戦場の変化: 「コンテンツ」から「アプリケーション」プラットフォームへ

過去十数年、ウェブ上のコンテンツ(情報)流通者として名を馳せていたネット御三家、Yahoo!Amazon、eBay。その中で、大きく進化したのが以前紹介したAmazon。誰もがAmazon島の資源を使ってお金もうけできるよう、自らの頭脳部「商品データ」の全てをわかりやすく公開(APIを公開)。それによりAmazonは、何もせず勝手に島の売れ筋商品をわかりやすく表示してくれる強力な営業マンを多数確保。”自力”で「コンテンツ」を囲い込む閉鎖的・小脳競争から、”補完者”の衆知を集め戦場をより大きな「プラットフォーム」に求めた開放的・大脳競争へ移行。その結果、AmazonはWeb 1.0 の「ネット小売」から、Web 2.0 の「e-commerceプラットフォーム」企業へと飛躍。

Amazonの進化を受けて、現在はAPIを公開して自分たちのプラットフォームに創造性のある「アプリケーション」をどれだけ作ってもらえるか、「アプリケーション」誘致競争に移行。現在のウェブ世界チャンピオンGoogleの基本戦略も同じで、当分基盤が揺るぎそうにないが、最近急激に力をつけてきた期待の新星がFacebookAppleiPhone。次世代ウェブアプリケーションプラットフォームとの呼び声高いFacebookは、既に20万人のアプリ開発者と2万を超えるアプリケーションを抱え、毎日100以上のアプリが追加されている。一方、PCからMobile Internetへの流れを追い風に、Mobile Internetプラットフォームを目指すiPhone SDKは、累計ダウンロード数が20万件以上、「フォーチュン500企業の1/3」が新iPhoneの企業向け機能に関心を示しているほど。

インターネット大潮流-IV

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  • アナログの情報革命: 1440 印刷技術-> 活版(大衆に普及)-> 1839年 写真 (記憶の限界-ある時間を記録)-> 1876 ベル電話 言葉を運ぶ-> 1891 ビデオ (映像を記憶)
  • デジタル情報革命: 20th 後半 印刷、写真、音声、映像がデジタル化-> webに乗せて移動コストを限りなくゼロにすることが本来の意味

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  • 19th 以前は食料、20th 物を消費、21th 情報。
  • 中高生は携帯電話が命、メールできない、ブログがみれない、コミュニティに参加できない、コンテンツが見れない、電話できない、さみしくて死亡同然-> 若い頃の環境差がデジタルデバイド
  • 1440 印刷技術以降、560年間の印刷した紙の総量。2015年には世界で生み出される1日の情報量が上回る「情報ビッグバン」、大量情報消費時代へ。
  • 生まれながらにしてネット環境に溶け込んできた世代が、経済活動を開始する2010年代初期。私の好きな言葉、「経営は時間の関数」に当てはめると、ネットビジネスの本格的躍進はその頃から開始されるはず。

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広告主にとって最も価値のある部分、Desire-> Action へのアプローチを可能にしたのが、Google の検索連動型配信システム (AdSense/ AdWords) 。検索連動型だと、あらかじめ興味のある言葉とマッチさせるので、行動に結びつきやすい部分を標的にできる。

ところで、人には大きく分けて二つの人格、プライベートと仕事で使い分ける人格「コミュニティパーソナリティ」と、時間、場所、気持ちなど状況に応じて異なる「シチュエーションパーソナリティ」がある。これらの人格は購買行動と密接に関わっている。例えば、昼食で300円の価格差に頭を悩ます人格と、旅行先ではためらいもなく3,000円追加してワンランク上の部屋を選択する人格。社費ならビジネスクラス、私費旅行ならエコノミーで我慢する人格。同じ商品でも奥さんからおねだりされる場合と、キャバクラのお姉ちゃんからの場合。

従来の属性ターゲティングだと、都内在住、30歳、独身男性、勤務先は金融業界、年収800万円なら、統計データを基にこんなライフスタイルで、こういう商品が欲しいはず、という標準モデルを当てはめた。一方、Googleモデルのように「ある行動をした人に絞り込む」行動ターゲティングだと、「こんな人はこんな行動をするだろう」という曖昧な仮説での置き換えが不要になり、単一パーソナリティからマルチパーソナリティ (コミュニティ&シチュエーションパーソナリティ) へのターゲティングが可能になる。その結果、より正確かつ効果的に購買行動を促せるようになるほか、アプローチも多様化する。

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SoftBank 孫さんが年初に発した「2008年はモバイルインターネット元年」。PC からモバイルインターネットへ兆候は、06年後半から推察。
家庭PCからの月間ページビューは07年に頭打ちとなり、08年には初めて減少に転じたほか、一人あたり月間ページビューは06年3月の2,077をピークに減少、08年4月には4年前の水準1,667にまで低下