葉酸

葉酸(ようさん)はビタミンM、ビタミンB9、プテロイルグルタミン酸とも呼ばれ、水溶性ビタミンに分類される生理活性物質です。プテリジンにパラアミノ安息香酸グルタミン酸が結合した構造を持ちます。葉酸は、1941年に乳酸菌の増殖因子としてホウレンソウの葉から発見されました。ホウレンソウの葉はラテン語で folium と呼ばれることから葉酸 (folic acid) と名付けられました。

葉酸は、その名前の通り植物の緑の葉の部分に多く含まれています。ほうれん草、からし菜、高菜、春菊、ブロッコリー、アスパラガス、白菜、レタス、カリフラワー、ぜんまいなどに多いので積極的に食べましょう。その他、イチゴや夏みかんなどの果物類、さつまいも、日本かぼちゃ、大豆、そら豆、納豆、あまのりなどにも多く含まれます。

葉酸は妊婦のビタミンとも呼ばれています。妊娠するとほとんどのビタミンが多く必要になりますが、特にビタミンB群のひとつである葉酸が必要です。厚生労働省では、神経管閉鎖障害のリスク低減のために、妊娠を計画している女性は食品に加えて、いわゆる栄養補助食品から1日0.4mg(400μg)の葉酸を摂取するよう呼びかけています。

厚生労働省では、食品からの摂取に加えて、サプリメントから1日0.4mg(400μg)の葉酸の補給を勧めています。まず一日に野菜350g程度を摂ることなどにより葉酸400μgの摂取は可能ですが、野菜などの食品から葉酸を充分にとれていない方が多いことなどがあげられます。また食品中の葉酸は熱に弱く、水溶性のため煮汁中に溶出し、調理に際して50%近く分解してしまいます。また、生体内の利用率(吸収率)は、サプリメント中の葉酸は85%程度ですが、食品中の葉酸は50%程度と見積もられています。

上記の理由により当面の間、確実に補給できるサプリメント葉酸を薦めているようです。

フコイダン

フコイダンとは、1913年にスウェーデンの大学教授 Kylin氏により昆布などの褐藻類の粘質物から発見され、彼によって「フコイダン」と名づけられました。食べることのできる海藻類の中で、特に褐藻類であるモズク、昆布、わかめ、ヒジキ、メカブなどに含まれるヌルヌルした成分です。なかでも、モズクには「フコイダン」の含有量が、他の海藻類に比べてたいへん多いことがわかっています。

フコイダンは 硫酸化多糖体の一種です。硫酸化多糖体というのは、糖がいくつも結合しあって、くっついたもの(多糖体)に、さらに硫酸基という成分が結合したものをいいます。

多糖体というと、アロエに含まれるムコ多糖体やアガリクスに含まれている β - グルカンなどがよく知られています。フコイダンも同じく、たくさんの糖がつながりあった多糖体で、主な成分としてはフコースを中心にガラクトース、キシロース、ウロン酸、などで構成されています。

アロエに含まれるムコ多糖体や、アガリスクに含まれているβグルカン、イネ科の植物に含まれるアラビノキシランなどのほかの多糖体と、フコイダンが、大きく異なる点としては、フコイダンは【硫酸基】を含むという点があります。

フコイダンには、アポトーシス作用が報告されています。アポトーシスとは、不要となった細胞が自殺する現象で、老化して不要になった細胞や体に危険をもたらす細胞は排除するという、からだの中のプログラムのことです。

人間の体の細胞は約60兆個もあり、日々3000個以上もの細胞がアポトーシスし、生まれ変わります。しかし、なんらかの原因で遺伝子情報にミスが発生してしまったり、発がん物質・活性酸素放射線などで細胞に傷がつき間違った分裂を始めてしまった細胞はアポトーシスしなくなりどんどん増殖を始めてしまいます。

この傷ついた細胞が、がん細胞になるのです。つまり、がんは自分の細胞から生まれた異常細胞なのです。(がん細胞はおよそ10万個に成長すると体に異変が起こると言われています。)

フコイダンはそのアポトーシスしなくなった異常細胞に直接アポトーシスすることを誘導します。体に入ったフコイダンががんに直接接触し、がんとなった異常な細胞を、元の正常な細胞に戻るようにうながします。そして正常に戻った細胞は、からだの中にある元々のプログラムにしたがって、老化し不要になると自殺をするのです。こうしてがん細胞は正常細胞になることによって死滅していきます。これがアポトーシス作用です。

1996年に開催された第55回 日本がん学会では、フコイダンが正常細胞には影響を与えず、がん細胞だけをアポトーシスさせる作用があるという成果も発表されました。フコイダンは、正常な細胞は傷つけることなく、がん細胞だけに働きかけるのです。

アスタキサンチン

アスタキサンチンは、鮭の身やイクラ、藻などに多く含まれるカロテノイドの一種。鮮やかな赤い色をしており、鮭の遡上の際に大量に発生する活性酸素から筋肉を守り、イクラの卵の中にあるDNAを紫外線から守るなど、非常に強力な抗酸化作用があることで知られています。この働きは私たちの人体にとっても同様。その力は、抗酸化成分として有名なビタミンEなどと比べても、少ない量で抗酸化作用が期待できるほど強力です。

大学の陸上部16名を2グループに分け、一方のグループだけにアスタキサンチンを一日6mg、4週間摂取してもらう試験を実施したところ、摂取したグループは運動後に体内で発生する疲労物質といわれる乳酸値が低く抑えられることを確認。運動時の活性酸素を素早く消去して筋疲労を和らげるとともに、乳酸値の上昇を抑えることで持久力も向上すると考えられ、世界的に有名なアスリートの中にもアスタキサンチンを摂取する人がいるという事実にもうなずけます。

過剰な紫外線を浴びたダメージが強く現れるのが皮膚。紫外線により大量に発生する一重項酸素やヒドロキシラジカルという活性酸素は、シミやシワの原因のひとつです。アスタキサンチンは、活性酸素の中でも特にこれらに強く働きかけることで知られ、美しい肌を保つためには欠かせない抗酸化成分です。

目には皮膚と同様に、常に紫外線にさらされており、活性酸素が大量に発生しやすい部位。アスタキサンチンは目の組織内に入って抗酸化作用を発揮するので、酸化を原因とする眼病や老化の予防にも効果があると考えられています。また、目は毛様体筋という筋肉を使ってレンズの厚みを変えることでピントを合わせています。アスタキサンチンは、毛様体筋の緊張・疲労を緩和。使いすぎによる疲れ目の改善にも役立ちます。

脳には、無用な栄養や有害な成分が入り込まないように血液脳関門があり、多くの抗酸化成分はここを通れません。アスタキサンチンは脳内に入れる数少ない抗酸化成分。脳内の活性酸素を消去することで脳をサビから守り、活性酸素が原因といわれている脳疾患(脳腫瘍、脳梗塞脳出血など)の予防にも役立つと考えられています。

活性酸素は、体内のあらゆる細胞膜を酸化させてしまいます。中でも毒性が強いものは、ガンをはじめとする生活習慣病の引き金になるほど。アスタキサンチンは毒性が強い活性酸素にも強力に働きかけますので、生活習慣病を予防するだけでなく、細胞レベルのアンチエイジングで老化を予防すると期待されています。

血液中のLDLコレステロールが酸化すると、血管壁に入り込み、蓄積されると血管壁を傷つけ、動脈硬化の原因になるといわれています。アスタキサンチンの強力な抗酸化作用は、LDLコレステロールの酸化も抑制。動脈硬化の予防にもつながります。

活性酸素にはいくつかの種類があり、それらに有効に働きかける抗酸化成分も様々。そのため、いくらアスタキサンチンが強力だからといって、それだけで済ますのではなく、ビタミンC・E、ベータカロテンといった様々な抗酸化成分も、普段の食生活の中で意識して摂ることが大切です。

プエラリア・ミリフィカ

プエラリア・ミリフィカ(学名Pueraria mirifica)は、タイ北部に自生するマメ科の植物で、根が大きな塊状になるのが特徴です。タイでは白ガウクルア(一般名White kwao keur)と呼ばれ、その塊根は若返りの薬として知られていました。また、食用にもされていたようです。古くは、赤ガウクルア(学名Butea superba)と呼ばれる植物と混同されていましたが、現在では違う植物として区別されています。日本でよく知られている葛(クズ、学名Pueraria lobata)の近縁種です。

プエラリア・ミリフィカには、エストロゲン(女性ホルモン)とよく似た構造と性質をもつ物質が多く見いだされています。これらは総称して植物性エストロゲンと呼ばれています。植物性エストロゲンは、エストロゲンの受容体に結合することでエストロゲンに似たホルモン作用を示します。プエラリアにもこのような成分が多く含まれていることが知られています。

エストロゲンを活性化する誘導体はゲネスティン、ダイゼインに大別できますがが、プエラリア・ミリフィカは、より活性の強い類縁体・ミロエステロールやデオキシミロエステロールが含まれ、更年期障害の軽減や、ホルモン置換療法、他にも女性の美肌作用などに効果が期待できるとされています。

また女性が注目するのは、過去、イギリスの学術雑誌『Nature』において“プエラリア・ミリフィカには「プエラリン」という美乳効果をもつ成分(大豆イソフラボンにはほとんどない)が多く含まれる”との趣旨が発表されたことも、大きな理由の1つと思われます。一般には“白”の多くが「ガウクルア」とも表記され、サプリメントとして市販されています。

ただし、プエラリアが含むミロエステロール(強力なエストロゲン活性をもつ成分)等は、その効果の強さから、当然に副作用をも考慮する必要があります。サプリメントとして濃縮されたものについては、過剰摂取に注意が必要です。

プラセンタ

プラセンタは英語で胎盤という意味です。 しかし健康食品や化粧品で「プラセンタ」と呼んでいるのは胎盤そのものではなく、胎盤から細胞分裂を促進する成長因子(グロースファクタ)や他の栄養素を抽出したものことです。哺乳類は、たった一個の卵とたった一個の精子が出会った後に受精卵となって子宮壁に着床し、そこからもの凄いスピードで基幹細胞から目的となる各種の細胞に分化ながら、細胞分裂を繰り返していきます。そして、数十兆という多数の細胞にまでなって赤ちゃんの体が形成された後に、赤ちゃんは母親の外に出てきます。

赤ちゃんが子宮の中で爆発的な細胞分裂を起こす上で、胎盤が重要な役割を担っています。役割の1つが、母体から栄養や酸素などを取り出して赤ちゃんに送ることです。そして1つが、赤ちゃんの細胞分裂を高速かつ正確に行うための秘密兵器である「成長因子」成分を生成して赤ちゃんに送ることです。成長因子は、細胞分裂因子とかグロースファクタとかとも呼ばれます。ちなみに、戦争中、親の栄養状況が極端に悪くても、赤ちゃんが子宮内で驚異的な成長を見せることがあったと言われていますが、これは、大いに胎盤の役割によるものです。

昨今は、技術が進み、プラセンタの有効成分を安全に抽出することが可能となり、また研究が進み、プラセンタの様々な効果や機能が科学的に実証されており、更なる研究も行われています。

現在までの研究では、プラセンタには、単なる栄養成分だけではなく、細胞の分裂を適切にコントロールする成分が含まれていることがわかっています。 これを、専門用語で 「成長因子」(グロース・ファクター) あるいは 「細胞増殖因子」 といいます。 この成分は、もともとは胎児が子宮の中で驚異的な成長を確実に行うために必要とされるものです。

細胞分裂が必要な細胞の表面には受容体 (レセプタ) と呼ばれる鍵穴が現れます。 プラセンタの成長因子は、その鍵穴から細胞にアクセスし、細胞に対して細胞分裂が適切に行われるのに必要な情報を伝達します。 その情報を受け取ると、細胞は分裂し、新しい元気な細胞を作り出します。 また、末梢の毛細血管まで作り出すという研究結果もあります。 しかも、癌化した細胞は増殖させないという研究結果もあるようです。

つまり、プラセンタは体全体の様々な部位に対して、上記の作業を行い、その結果、細胞分裂が必要な古くなって弱った細胞や怪我などでダメージを受けた細胞から新しい細胞を作り出すのを助ける働きがあると考えられます。

細胞のリフレッシュとあいまって、血流、情報伝達物質、ホルモンバランスなどの改善等の総合的な効果によって、肌をきれいにしたり、体の調子を整えたり、やる気が出てきたりと、生命活動のレベルをアップさせ、活き活きとした生活へと導くことにつながるわけです。

シトルリン

シトルリン(Citrulline)はアミノ酸の一種で、1930年に、日本でスイカから発見されました。シトルリンという名前はスイカの学名Citrullus vulgaris(シトルラス ブルガリス)から名づけられたものです。シトルリンはスイカの原種といわれているカラハリ砂漠の野生スイカに多く含まれており、光が強く乾燥した過酷な環境で生きていくのに重要な役割を果たしている成分だと考えられています。

日本では2007年よりサプリメントなどの食品素材として新たに使用が認められた成分ですが、海外では以前からすでに使用されており、米国では血流改善、動脈硬化予防、精力増強などを目的としたサプリメント、欧州ではシトルリン−リンゴ酸塩が疲労回復の医薬品として販売されています。

シトルリンたんぱく質を構成するアミノ酸と同様な成分で(遊離アミノ酸)、人体の生命維持活動に関わっている重要な成分です。

シトルリンは、ニンニクやタマネギ、スイカ、ゴーヤなどに含まれている成分で精力アップの効果があるといわれています。男性器の血流をアップする効果や男性器へ血流が入りやすくする効果があり、勃起を促す働きをします。

また、シトルリンは、腎機能を活発にして、利尿作用を向上させる働きもあり、便秘の解消やむくみの解消、水太りの解消などの効果を発揮するといわれています。さらに抗酸化作用もあり美肌を保つ働きもあるといわれています。

植物ステロール

年を重ねるにつれて慢性的な膝痛に悩まされるようになってきた方は多いのではないでしょうか。これは変形性膝関節症です。単に痛みや不快感が伴うだけでなく、悪化すれば動作に不自由が生じるため、放っておくわけにはいきません。変形性膝関節症は加齢に従って起こる最も一般的な関節炎。骨を保護してクッションの役割を果たす軟骨が歳と共に退化することから始まり、多くの場合、最初は痛みを伴いません。しかし、軟骨が薄くなり、骨同士がさらに擦れるようになると、骨棘や骨嚢胞ができるようになります。さらに進行すると、腱や靭帯、筋肉といった関節周りの構造を損傷するため、炎症が現れ、関節を動かすたび痛みに襲われます、そして、ついには関節を動かさなくても耐え難い痛みを感じるまでに悪化してしまうのです。

変形性膝関節症が生じる部位で特に多いのが膝です(変形性膝関節症)。歩く度に負荷がかかるため、多くの人がやりきれない悩みを抱えているはずです。従来、変形性関節症の治療は、症状を一時的に緩和する対症療法が中心でした。要するに鎮痛剤や非ステロイド系の抗炎症剤を用いて痛みを和らげるのです。しかし、これは「痛みを忘れさせる」だけで、原因となる軟骨の磨耗を改善している訳ではありません。

■ASUの継続的な摂取で、変形性膝関節症の症状が軽減

この状況を打破しうる素材として現在、世界的に注目を浴びているのが「ASU」です。ASUとは、Avocado Soybean Unsaponifiables(アボカド大豆不鹸化物)の略称。文字通りアボカドと大豆の油を素材とした植物ステロールの一種です。

ASUの働きは大きく2つ。関節に重要な働きをするプロテオグルカンの生成を大幅に増大させることと、炎症を悪化させるインターロイキンなどの炎症誘発性物質の生成を阻害する作用です。要するに、痛みを和らげつつ、すり減った軟骨を機能的、科学的に修復する働きを持っているわけです。これらの作用については世界的に臨床試験が重ねられています。ASUの研究は特にアメリカ、フランスなどで盛んに行われています。安全な処方薬として普通に利用されていますし、その他の薬や運動などを組み合わせた関節症治療プログラムを提供している病院も少なくありません。ASUの登場により、研究者や医療関係者の間では変形性関節症は「治るもの」という認識が浸透しつつあるのです。ASUがさらに普及すれば、膝痛に悩む世界中の人々が救われることになるでしょう。国内でも今後、関節炎の治療に劇的な変化と希望をもたらしてくれる素材として期待されています。