ベルリン1月21日(後編)

いかん、だいぶ日記をサボってしまった。
前回の続きは、暗闇レストランの話でしたね。

というわけで前菜が運ばれてきました。
最初にフォークに捕まり、口に入れられたのは、レタスっぽい葉っぱものだった。
ドレッシングがおいしい。白ワインビネガーか何かのピリっとした感じがしますわね。おいしゅうございますォホホ。とりあえず手当たりしだいフォークで突っつき、口に運ぶ。もう、言葉では言い表せません。おいしいのです。あと、自分が食べ物を噛む音とかもすごく良く聞こえる。嬉しいのか、興奮状態なのか。感動的。次に何か固形のものを口に入れた。柔らかく煮てあって、ほんのり甘い野菜。おい、しい。。。これはにんじんか。にんじんだろう。にんじんだ。にんじんにしてはクセが少ないけど、とにかくおいしい。このサラダには、葉っぱが何種類か、それとこの絶妙にんじんと、ナッツが何種類か振りかけられてる、って感じでした。ナッツもおいしい。松の実とアーモンドっぽいのはなんとなくわかった。
あと、ひとつ心配なのが、料理を残しやしないかということ。最後に、フォークで丁寧にお皿を撫でながら、ひっかかるものはないか、と探した。手も使ってしまう。誰も、見てないし。。。たまたま口に入れたのがかなり大きいレタスの一切れだったりして、口に入れるのが大変なのだけど顔全体を変形させ、かなりの大口を開けて食べることも許されてしまう。ちょっと調子に乗ってしまう。
ここでは、時間はゆっくり進む。食べる時間も長く取ってくれるし、お皿をテーブルに置いてかなり経ってからウェイターさんはお皿を取りに戻ってくる。前菜のお皿を取りに来てもらう頃になると、だんだん暗さにも慣れてきた。でもとりあえずおしゃべりは止まらない。今までこんなに長い間連続で話したことないだろう、ぐらい話が止まらない。お互いの顔を見てないとこんなに話しやすいのか。どうなんだろう。
そして、メインの料理がくる。とってもいい匂い。。。チーズの匂いがする。お皿を目の前に置いてもらうと、湯気が上がってくるのを感じる。私のフォークが最初にキャッチしたのはブロッコリー。。。まてよ、ブロッコリーか?カリフラワーか?それともあの緑色のカリフラワーっぽいやつか?茎の部分はみんな同じだけど、頭の部分でわかるはずだ。。。舌で確かめるけど結構わかりづらい。でも、まあ、甘みが強くて美味しい。次につっついたのが、平たいパスタ状のもので、歯ごたえがモチモチしててとてもおいしい。たぶん、Seitan (グルテンから出来てる)かテンペあたりのヴィーガン系のものだろう。*1その他にも違う食感のものがいくつかあるんだけど、わからずじまい。味付けもチーズが入ってるんだがどこか和風というかんじもして、とてもおいしい。かなりお腹一杯になった感じ。
トイレに行きたかったんだけど、暗い部屋を出て行くにはウェイターさんの助けが必要なので、どうしようか。。。デザートが終わるまで待とうか。。。彼の名前を読んでみても、返事がないし。。。まあいっか。
しばらくするとウェイターさんがお皿を取りに来てくれた。彼の声を聞くだけで、すごくほっとする。そしてあっという間に、デザートの時間に。時間が経つのがホントに早い。実は、自分の時計が暗闇で光るやつということに気づいて、こっそり時計を見てしまった。レストランに来てからもう2時間半!早い。でも、その時計さえもとても目障りなのではずしてしまった。デザートは、説明によると、小さなガラスのボウルに入っていて、チョコスティックが2本立っているのでそれを触れば位置関係がつかめるとのこと。確かに、2本のスティック、あります。そしてボウルの中身をスプーンでいただくと、なんともおいしいフルーツ!シロップ煮みたいなかんじ。煮てあるフルーツと、フレッシュなフルーツがあるみたい。マンゴーと葡萄はわかったけど、他のはわからなかった。何か一箇所にあつまった種を感じたんだけど。。。なんだったんだろう。あれは。
食べ終えると、ウェイターさんが迎えに来てくれて、再び汽車ポッポになって出口まで連れて行ってくれる。外へ出ると明かりがすごくまぶしい。。。ウェイターさんにお礼とバイバイして、レセプションデスクまで行くと、お姉さんがなんと、「メニューの答え」を持ってきて見せてくれた。これもシステムのひとつみたい。なーるほど!あーあれはあれだったのかー。というのがいくつもある。特に、あの前菜の、にんじんと思ってうまいうまいと食べていたやつ!あれは実はビートだった!あと、メイン料理にもきのこが入っていたらしんだがそれもわからなかった。あーおいしかった。。。

というわけで期待以上の体験を終えて、フレデリックとララちゃんと約束のバーまで急ぐ。今夜は女の人が20年代シャンソンを歌うらしくて、楽しみにしていたのだけど。。。間に合うかな。場所は、KreuzbergのJunction Barというところ。
着いてみたら結局ショウは終わっていて、とりあえず入ってお酒でもいただくことに。居たのはフレデリック・ララ、とフレデリックの姉ちゃんとララの友達3人。さっきのレストランの話でかなり盛り上がる。誰も行ったことがないらしい。たしかに軽く観光スポットみたくなっているかも。同じようなレストランが、チューリッヒ、ロンドン、パリにあるらしい。どうでもいいことだけど、お店でもらったパンフレットには、今まで訪れたことのあるセレブの名前かなんかが連なっていて、ナタリー・ポートマンの名が。これには嬉しかった。あの子はできる子だから。

というわけで、バーで一杯やったあとフレデリックと彼の姉ちゃん、と私たち二人で他のバーへ移動して飲むことに。名前は忘れたけど、かなりいい雰囲気のところだった。姉ちゃんのDina、おしゃべりで辛口で面白く、2時ぐらいまで色んな話しで盛り上がった。そして、私たち二人だけ先に帰ることに。帰り際にDinaが私らのためにタクシーを呼んでくれたんだけど、彼女の対処がかなり面白い。私たちはドイツ語もダメだしどう見ても観光客なので、ボラれるのを防ぐために、「私はこの街を知ってるのよ!」っていうドイツ語を教えてくれた。これを、大声で運転手に言いなさいよ!って、何度も繰り返す。他にも、「騙されないよ」とかも教えてくれたけどここまではやらなくていいよぅ、ということに(笑)。よし、タクシーが来た。このフレーズも、覚えた。でも、私たちが乗り込むとき、Dinaは、結局、その同じ言葉を自分で運転手に伝えていた。かなりの圧迫感で。。。(失笑)
タクシーの運ちゃんは結局とてもいい人で、おしゃべりなタイプだった。

21日おわり



22日
続けます。

今日も雨。。。しかし意地でも外で行動します。Karl-Marx-Alee(カール・マルクス通り)の旧ソビエト系の建築物が面白い、という話をきいたのでそこを歩くことに。この通りは、とにかくでかく、突風が吹き荒れ、寒い。冬にはおすすめしません。
たしかに、社会主義時代の名残があちこちに見える。多いのは、アパートビル。同じ形のが何個も連なる。あと、「人民ホール」みたいな名前のついてそうな建物がバーになってたり、映画館になっていたり。

この写真ではよく見えないけど、幾何学模様の連なる殺風景さみたいのが感じられる場所が多い。私はなんとなく好きです。
あまりにも寒いのでマルクス通り見学は途中であきらめる。電車へ急いで、PrezanderBergという北東の地域に行く。ちょっとおもしろいらしいから。でも付いてみたもののやっぱり寒く、コーヒー一杯飲んでからすぐ電車に戻った。ウンテル・デン・リンデン方面へ向かう。
ウンテル・デン・リンデンは森鴎外の『舞姫』にも出てきてすごく頭に焼き付いている名前だったんだけど、ベルリン中心部の大通りです。フンボルト大学ベルリン大学)や、美術館、博物館、オペラ座などが連なる。
フンボルト大学の前の大きなプラザは、1933年ナチスによって焚書が行われた場所。ユダヤ作家によるものを初め、ナチスの「好みにそぐわない」本が大々的に焼かれた。そのプラザの真ん中に、あるインスタレーションがある。
 
一枚目はちょっと見にくいけど、地面にいきなりこのガラス板があって、ガラスの下、地下に空間があり、空っぽの書棚が延々と並ぶ。英語では「Empty Library」と呼ばれているのをよく見かけます。2枚目が次の日の夜に撮ったもの。本棚がはっきり見えると思う。なんかとても神秘的なんだけど、恐ろしく、とても悲しい。いろいろなことを考えた。
"Dort, wo man Bücher verbrennt, verbrennt man auch am Ende Menschen."
というハインリッヒ・ハイネの有名な言葉が刻まれたプレートが隣にある。英語では、Where one begins by burning books, one will end up burning people.又はWhere they burn books, they will end up burning human beings, too. とされています。日本語だと正式な訳は『書物を焼く国は、やがてその国民も焼くであろう』と主語が『国』になってしまっているのがちょっと曖昧だけど、国には限らない。

それから通りを渡って、ドイツ歴史博物館に行くことにしました。ここが。。。すごかった。基本的に、今のドイツになっている地域の歴史、2000年ぶんぐらい、ハイどうぞってかんじ。古代から始まり、時代の流れに沿って回ります。近代史と古代史にあてられた情報の量が同じぐらい全部均等になっているので、古代の展示がすごく多く感じる。逆に言うと、近代のものが少なく感じる。それはこの博物館がそういうコンセプトだから。まぁとりあえず、すんごい情報の数。最初の古代やローマ帝国時代のほうはゆっくり細かく楽しんで観てしまったので、20世紀に入るともう疲れ果て、第2次大戦ごろになると吐き気がしてきた。でもやはりすごくいい博物館だと思う。絵画や彫刻、服飾類の展示がすごく多い。中二階の一角に作家・書物のコーナーがあったり、農民の生活のコーナーが設けられていたり、プレゼンの仕方もうまい。ハプスブルグ家周辺のアートや肖像レリーフなど、滑稽でホント面白いとずっと思っていたのだけど、実際わざと可笑しいものだけを展示しているようで楽しかった。「あーあの人達はああいうひとたちだったからね。別に。」みたいな。。。!
ワイマール時代の展示を楽しみにしていたけど、その時代のものはほとんど政治中心だった。そしてここでは実際に、1933年の焚書の映像が流されていた。その他にも、ナチ時代のプロパガンダの様々を本当に色々見ることが出来た。優生学ありさまを紹介する新聞の記事、ポスター、頭の大きさを測る器具。。。その辺が、印象的だった。全てがとても恐ろしかった。第2次大戦の終了の頃には、ホンッとに、なんか、ほっとして、吐き気がおさまった感じだった。アホみたいだけど。展示を一通り観たらすでに4時間経過していた。
博物館を出ると、どうしよう、何も出来ない。つ、疲れたー。。。疲れすぎて寒すぎて、たぶんブリトー屋に入って食べた気がするけどよく覚えてない。カリフォルニア風ブリトーを出すかわいらしいお店。美味しかったけどアメリカに居るみたいで変だった。周りに居る人はみんな英語しゃべってた。
そして、もう一度Karl-Marx-Aleeに戻って、朝見かけたバーに行ってみよう!ということに。力を振り絞り、電車に乗り、歩く。バーに座り、とにかく寒いのでコーヒーを注文、後からウィスキーも頼んで混ぜた。あーよかった。。。

バーカウンターでズボンの上からおしりはみだし中のドイツ人男子(ほんと笑ったよう、もう)

これが有名なBar Moskau(バー・モスクワ)の外観(この日は閉まっていた)

三日目が終わりました。





地下道大好き。

*1:ちょっと今発見してびっくりしたけど、seitanって生麩のことだったんだー!知らなかったー。