じじぃの「コンピュータで探す数字・素数のパラドックス!逆説の雑学」

メルセンヌ素数127 - 明日話したくなる「数」のお話 #5

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=DFqyIr6P45I

リーマン予想

コトバンク より
ドイツの数学者リーマンの論文「与えられた数より小さい素数の個数について」によって、1859年に提出された素数分布の規則性にかかわる予想。
数学における未解決の難題であり、ミレニアム問題の一つとしても知られる。リーマン仮説。

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『あっと驚く科学の数字』

数から科学を読む研究会/著 ブルーバックス 2015年発行

数学 1742万5170桁→現在知られている最大の素数の桁数 より

コンピュータで大きな素数を探す
それでは、今までに知られている最大の素数とはいったいどんな数字だろうか。
2013年1月、最大の素数が5年ぶりに更新された。それは2の5788万5161乗から1を引いた数で、最初の8桁は581887、最後の6桁は285951。全部で1742万5170桁の数字である。多数のボランティアのコンピュータを動員して素数を探すプロジェクト「GIMPS」(グレート・インターネット。メルセンヌ素数探策計画)による成果だった。このプロジェクトは1996年以来、分散コンピューティングによって最大の素数を探索しており、これが14回目の更新だった。

では、どうやってコンピュータは素数を見つけ出すのだろう。完全な素数生成公式はまだ見つかっていないが、手掛かりとなっているのが「メルセンヌ素数」である。メルセンヌ素数とは次の式で表せる素数をいう(pは素数)。
   
  Mp = 2p - 1
   
ただし、pが素数であっても2p - 1は必ずしも素数とは限らない。たとえば、M67素数ではない。そこで2p - 1をつくってから、それを素数判定法によってふるいに掛ける。これまで48個のメルセンヌ素数が見つかった。最大の素数は今後も更新されていくだろう。

大きな素数探しには実用的な価値もある。インターネットで買い物や振り込みをするときに使われている暗号は、素数を活用した公開鍵暗号RSA暗号)方式と呼ばれる暗号システムである。この方式では鍵として大きな素数2つの積を利用する。大きい素数ほど、得られた積を素因数分解して元の素数を知ることが難しくなる。この性質をもとにつくられたのがこの暗号シスエムだ。インターネットの安全性は、素数によって守られていることになる。

リーマン予想以外にも、素数についてまだ証明されていない未解決問題が数おおくある。おもなものをあげておこう。
・双子素数は無限に存在するか。
メルセンヌ素数は無限に存在するか。
・6以上の任意の偶数は2つの奇素数の和で表せるか(ゴールドバッハ予想)。

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じじぃの日記。

少し古い本だが、ブルーバックス『あっと驚く科学の数字』に、「1742万5170桁→現在知られている最大の素数の桁数」があった。

巨大な素数の一覧

2018年12月の時点で「素数として確認された最大の数」は282,589,933 - 1である。この素数は2486万2048桁の長さを持ち、2018年12月に Great Internet Mersenne Prime Search (GIMPS) によって発見された。
       ウィキペディアWikipedia)より
   
素数の作り方は?
数字の最後が1、3、7で終わっている数字?
1000以下の数字だったら、733、751、797とか。
733が素数であるのかどうかは、n=2からn=732まで順に733を割っていき、最後まで割り切れなかったら733は素数である。

メルセンヌ素数
素数生成の手掛かりとなっているのが「メルセンヌ素数」である。
メルセンヌ素数は公式のようで公式ではない。
素数は無限のパラドックスである。
   

今日(日本時間 5月6日)、ドジャース 大谷翔平 9号10号ホームランを打ちました!!

試合はドジャースブレーブス戦、ドジャースが5対1で勝ちました。

じじぃの「カオス・地球_320_LIFESPAN・第6章・老化細胞の除去・サイトカイン」

【炎症反応の説明できる?】炎症とサイトカインについて

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=W9GVl-85VEY

老化したヘルパーT細胞の動き


なんと、「免疫の老化」と「個体の老化」は関連していた…!老齢マウスに「若い細胞移植」「古い細胞除去」でわかった驚愕の事実

2023.11.17 現代ビジネス
●老化したヘルパーT細胞の動き
老化ヘルパーT細胞は、ヘルパーとしての機能は低下するのですが、インターロイキン‐6(IL‐6)やオステオポンチンなど炎症性のサイトカインは余計に分泌します。
また、インターロイキン‐21(IL-21)も産生します。老化ヘルパーT細胞が分泌する炎症性物質は、老化細胞が分泌するSASP(細胞老化関連分泌形質)因子の仲間です。

こうして起きる免疫老化に付随すると考えられている慢性炎症は、心血管疾患、動脈硬化症、がん、糖尿病、慢性腎臓病、非アルコール性脂肪肝、自己免疫疾患や神経変性疾患などの老化関連疾患を促進することがわかってきました。このような加齢に伴う慢性炎症による老化の促進を「炎症老化(inflammaging)」と呼びます。
https://gendai.media/articles/-/119100?page=3

LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界

【目次】
はじめに――いつまでも若々しくありたいという願い
■第1部 私たちは何を知っているのか(過去)
第1章 老化の唯一の原因――原初のサバイバル回路
第2章 弾き方を忘れたピアニスト
第3章 万人を蝕(むしば)む見えざる病気
■第2部 私たちは何を学びつつあるのか(現在)
第4章 あなたの長寿遺伝子を今すぐ働かせる方法
第5章 老化を治療する薬

第6章 若く健康な未来への躍進

第7章 医療におけるイノベーション
■第3部 私たちはどこへ行くのか(未来)
第8章 未来の世界はこうなる
第9章 私たちが築くべき未来
おわりに――世界を変える勇気をもとう

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『LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界』

デビッド・A・シンクレア、マシュー・D・ラプラント/著、梶山あゆみ/訳 東洋経済新報社 2020年発行

第6章 若く健康な未来への躍進 より

未来の選択肢①老化細胞を除去する

老化の典型的特徴の1つが「老化細胞の蓄積」だったのを思い出してほしい。老化細胞とは、増殖するのを永久にやめてしまった細胞のことだ。
若いヒト細胞を培養すると、40~60回ほど分裂したところでテロメアが致命的な短さになる。この限界点は、発見者である解剖学者のレナード・ヘイフリックにちなんで「ヘイフリック限界」と呼ばれている。テロメラーゼという酵素があればテロメアを伸ばすことができるのだが(この発見によってエリザベス・ブラックバーン、キャロル・グレイダー、ジャック・ゾスタックの3人が2009年のノーベル賞を受賞した)、細胞ががん化するのを防ぐために、幹細胞以外ではこの酵素のスイッチが切られている。だが1997年、驚くべき事実が明らかになった。培養した皮膚細胞にテロメラーゼを注入すると、細胞が老化しないのである。

テロメアの短縮がなぜ老化を引き起こすかについては、ほぼ解明されている。テロメアが非常に短くなると、その部分ではヒストンへの巻きつきが緩み、まるで革紐の先の金具が取れたかのように染色体末端のDNAがむき出しになる。細胞はその状態をDNAが切断された結果だと判断する。だからDNAの末端を修復しようとするが、そのとき別々の染色体の末端同士を融合させてしまうことがある。こうなると、細胞分裂の際に染色体が引きちぎられたり再結合したりしてゲノムがきわめて不安定になり、それが繰り返されるうちに細胞ががん化するおそれが出てくるのだ。

テロメアが短くなったときには、もっと安全な解決策がある。細胞の機能を止めてしまうことだ。それは、サバイバル回路を働きっぱなしにさせる結果として起きると私は考えている。テロメアがむき出しになって、DNAが切断したとみなされると、サーチュインなどのエピゲノム調節酵素は本来の持ち場から駆り出されたままになる。しかし、修復しようにも、つなぐべきもう一方のDNA末端が見当たらない。結果的に細胞の複製能力は停止する。それはちょうど、高齢の酵母のDNAが損傷することでSir2(サーチュイン、SIR1からSIR7まである)が接合型遺伝子から離れ、生殖能力が失われるのとよく似ている。

DNAが損傷したときと同じ反応が生じ、エピゲノムに大きな変化がもたされる現象は、ヒトの老化細胞で実際に起きることが確認されている。ICEマウス(エピゲノムを変化させることで老化が進んだのと同じ状態にしたマウス)の細胞にエピゲノムの雑音を加えた場合も、通常の細胞より早く老化が進むことがわかっている。だとすれば、私の考え方には見るべきところがありそうだ。神経細胞や筋肉細胞(ほとんどないしまったく分裂しない)が老化するのは、エピゲノムの雑音が原因であり、そのせいで細胞は本来のアイデンティティを失って活動を停止するのではないか。私はそう思っている。この反応は、DNAを損傷しても細胞が生き残れるようにするために進化したものなので、もともとは有益なものだ。しかし、負の側面も併せもっている。細胞が絶え間ないパニック状態に陥り、辺りにシグナルを送って、周囲の細胞をもパニックに陥れるのだ。

老化細胞によるダメージのメカニズム

老化細胞はよく「ゾンビ細胞」と表現される。いっそ死んでくれればいいのに、死ぬのを拒んでいるからだ。薄い組織片を凍らせて特殊な染色剤を加えると、ゾンビ細胞のところだけが青色に染色されてくっきりと見える。これは、ゾンビ細胞がつくるβ-ガラクトシダーゼという珍しい酵素が染料と反応するためだ。組織の老化が進んでいるほど、青い細胞が増える。たとえば、20代の白色脂肪細胞は白いが、中年では淡い青に、老年では濃い青に染まる。ぞっとするではないか。老化細胞の数が多いとすれば、体が老化の魔手に落ちている証拠なのだ。

老化細胞はたとえ数が少なくても、広い範囲にダメージを及ぼしかねない。分裂をやめているとはいえ、サイトカインという小さなタンパク質を放出し続けて炎症を起こし、免疫細胞のマクロファージを引き寄せて組織を攻撃させるのだ。慢性的な炎症は体に良くない。多発性硬化症や炎症性腸疾患、あるいは乾癬にかかっている人に訊いてみたらわかるはずだ。こうした病気は、すべてサイトカインが多すぎるために引き起こされる。炎症はまた、心臓病、糖尿病、認知症の引き金にもなる。エイジング(老化)に伴う病気の発症にインフラメーション(炎症)が中心的な役割を果たすことから、科学者はそのプロセスをよく「インフラメイジング(炎症性老化)」と呼ぶ。しかも、サイトカインは炎症の原因になるだけではない。生物界の黙示録さながらに、ほかの細胞までをもゾンビ化させる。こうなると、さらに周囲の細胞を刺激してがん化させ、それが広がるおそれさえ出てくる。

マウスの老化細胞を破壊すると、マウスが格段に健康になってかなり長生きすることがすでにわかっている。腎臓が健全に機能する機関も長くなるうえ、心臓のストレス耐性も高まる。メイヨー・クリニックの研究では、結果としてマウスの寿命が20~30%延びるのが確認された。疾患モデル動物で老化細胞を除去すると、線維性肺疾患の肺は柔軟性を増し、緑内障や変形性関節症の進行が遅くなり、あらゆる種類の腫瘍が小さくなる。

なぜ生物は老化するようになったのか、それを理解するのは学術的な研究のためばかりではない。老化細胞を防いだり破壊したりするうえで、より良い方法を編み出す役に立ってくれるからだ。細胞が老化するのは、私たちが原初のサバイバル回路を受け継いだ結果である。サバイバル回路とは、DNAの損傷が感知されたときに細胞の分裂や生殖を止めるよう進化したものだ。DNAの切断があまりに頻繁に起きたり、サバイバル回路に対する負荷が大きすぎたりすると、ヒトの細胞は分裂をやめ、パニックに陥ったままダメージを修復しようとする。高齢の酵母細胞の場合とまったく同じだ。そのせいで自らのエピゲノムを乱し、サイトカインを分泌する。これが細胞老化の最終段階だ。お世辞にも有終の美とはいえない状態である。

じじぃの「単為生殖・iPS細胞・処女懐胎のパラドックス!逆説の雑学」

「iPS細胞からつくった精子卵子で新しい命を誕生させていいの?」よくわかる!iPS細胞 vol.4

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=yHUfuC2yZDE&list=PL_ytIZDMhhuaYsmw6C4n_pqA9XyUVMu63

胎盤細胞の分化過程を模倣するモデルの構築


ヒトのナイーブ型iPS細胞から胎盤細胞を作る ~体外での胎盤発生モデルの構築に成功~

2021年4月8日 CiRA(サイラ)
ヒトのナイーブ型iPS細胞から初めて栄養外胚葉(TE) の作製に成功し、さらにその先の胎盤細胞へ続く細胞群への分化も確認できた。
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/210408-000001.html

『ヒトはなぜ病み、老いるのか―寿命の生物学』

若原正己/著 新日本出版社 2017年発行
iPS細胞から生殖細胞をつくる より
精子卵子などの配偶子のもとになる細胞は始原生殖細胞と呼ばれ、生殖腺の中に出現する。この始原生殖細胞は、名前に生殖細胞という字が入っているが原理的には体細胞だ。生殖腺の中で、始原生殖細胞がさまざまな段階を経て最終的に減数分裂をおこない、完成した配偶子(精子卵子)が出来上がる。

もしiPS細胞から始原生殖細胞を作り出すことができれば、死ぬべき細胞である体細胞と不死の細胞である生殖)細胞の壁の1つが乗り越えられることになる。

京都大学の斎藤通紀教授のグループは、マウスのiPS細胞から精子卵子のもとになる始原生殖細胞を作り出した。さらに、作り出された始原生殖細胞をもとに精子卵子を作り出すことにも成功している。その精子卵子を受精させマウスのES細胞と混ぜて子宮に戻すときちんとしたマウスが生まれてきた。2016年には、マウスの体細胞から作られたiPS細胞から大量の卵細胞がつくられ、精子と受精させて借り腹のマウスにいれることにより、多くのクローンマウスを作ることにも成功している。

ひとことで言えば、体細胞から新個体を作り出したということなので、これは実に驚くべき新技術なのだ。

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じじぃの日記。

若原正己著『ヒトはなぜ病み、老いるのか―寿命の生物学』という本に、「iPS細胞から生殖細胞をつくる」があった。

オスを必要とせずメスだけで子供を産む「単為生殖」の不思議

スミソニアン国立動物公園で生まれたアジアン・ウォータードラゴンの卵を見て飼育係は驚いた。なぜなら卵を産んだメスはオスに出会ったことがなかったからだ。遺伝子検査の結果、2016年8月24日に孵化した子供は、オスなしで生まれたことが確認された。

このようにメスだけで子供を作ることを「単為生殖」という。

女の体細胞の性染色体構成はXX型で、男の体細胞の性染色体構成はXY型だ。
しかし、性に関する生物の進化はさまざまだ。

集団で生活する「カクレクマノミ」は、集団の中で最も大きい個体がメス、2番目に大きい個体がオス、3番目以下は性的に成熟しない状態。 メスが死んだり集団からいなくなった場合、今までオスだった個体がメスに性転換する。

「ミズオオトカゲ」はオスがいない状態に置かれると、単為生殖でオスが生まれる。
実は、今まで2元(陰陽)で捉えられていた性別を、今ではグラデーション(多様性)で考えている研究者もいるのだとか。

もともと、X染色体にはY染色体よりも多くの遺伝子があり、Y型がなくなっても生殖は可能なのだ。

iPS細胞は、人間を探究する唯一無二のツールであることがわかってきた。ヒトにはヒト遺伝子の特殊性がある。マウスなどの動物実験とは違う独自のふるまいがiPS細胞でわかってきた。

処女懐胎」が現実のものとなろうとしている。

じじぃの「カオス・地球_319_LIFESPAN・第5章・老化を遅らせるサプリメントNMN」

【低糖質】レンジで簡単なのに旨い!ブロッコリーとアボカドのサラダ【ゆる呑みキッチン第157回】

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=zGA6QZqjmIQ

アボカドとブロッコリーのあえサラダ


   

若返り成分として人気の成分「NMN」って?


AL-FOODS株式会社の業界唯一の植物由来NMN「ブロッコリーNMN(R)」が商標登録完了。機能性表示食品制度対応・海外向けのプレミア需要素材として引合い増!

2024.04.18 1 AL-FOODS株式会社のプレスリリース
●若返り成分として人気の成分「NMN」って?
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は、私たちの体内にも存在する加齢によって減少していく物質で、ビタミンB3の代謝物の一種です。
NMNは体内でエネルギーを生み出すのに欠かせないNAD+という補酵素にすばやく変換されます。NMNを摂取することで、長寿遺伝子(酵素サーチュイン)が活性化し、細胞やミトコンドリアの機能低下やインスリン抵抗性の改善効果などがあると報告されています。
https://www.atpress.ne.jp/news/392037

LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界

【目次】
はじめに――いつまでも若々しくありたいという願い
■第1部 私たちは何を知っているのか(過去)
第1章 老化の唯一の原因――原初のサバイバル回路
第2章 弾き方を忘れたピアニスト
第3章 万人を蝕(むしば)む見えざる病気
■第2部 私たちは何を学びつつあるのか(現在)
第4章 あなたの長寿遺伝子を今すぐ働かせる方法

第5章 老化を治療する薬

第6章 若く健康な未来への躍進
第7章 医療におけるイノベーション
■第3部 私たちはどこへ行くのか(未来)
第8章 未来の世界はこうなる
第9章 私たちが築くべき未来
おわりに――世界を変える勇気をもとう

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『LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界』

デビッド・A・シンクレア、マシュー・D・ラプラント/著、梶山あゆみ/訳 東洋経済新報社 2020年発行

第5章 老化を治療する薬 より

NADを増加させるNRとNMN

現在はアイオワ大学の生化学部長を務めるチャールズ・ブレナーはビタミンB3の一形態であるNR(ニコチンアミドリポシド)が、きわめて重要なNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、エネルギーを産生する補酵素の一種。体内の細胞で起こる化学反応に不可欠な物質)の前駆体の1つであることを2004年に発見した(前駆体とは、生化学反応において特定の生成物のまえの段階にある一連の物質をいう)。そしてのちには、NRがNADを増加させ、結果的にSir2(サーチュイン、SIR1からSIR7まである)酵素の活動を高めることで、酵母細胞の寿命を延ばせることを見出した。NRは牛乳に微量が含まれるだけで、かつては希少な化学物質だった。今や機能性食品として毎月トン単位で販売されている。

一方、NRとは別の前駆体に狙いを定める研究者たちもいた。私たちもそちらのグループだ。

その前駆体はNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)と呼ばれている。これは、人間の細胞内でもつくられているし、アボカド、ブロッコリー、キャベツなどの食物にも含まれている。体内では、NRがまずNMNに変換され、次にそれがNADに変わる。

NRかNMNを入れた飲み薬を動物に与えると、体内のNAD濃度はそれから2~3時間で約25%上昇する。まるで、それまで絶食か相当な運動をしていたかのような上がり方だ。

今井眞一郎は同じガレンティ研究室にいた友人だ。2011年に今井は、NMNがNAD濃度を回復させることで、高齢マウスの2型糖尿病のいくつかの症状を治療できることを示した。その後、ハーバード大学の私の研究室メンバーが高齢マウスにNMNの注射を1週間続けただけで、ミトコンドリアが若いマウスのものと比べて遜色なく機能するようになることを見出した。

2016年、オーストラリアのニューサウスウェールズ大学にある私のもう1つの研究室が、同じ大学の薬理学教授マーガレット・モリスと共に、メスの肥満マウスとその子マウス(糖尿病になりやすい)にNMNを投与する共同研究を行なった。すると、2型糖尿病の1つのタイプをNMNで治療できることがわかった。また、本拠地であるハーバード大学の研究室では、NMNが高齢マウスに若いマウス以上の持久力を与えられることを発見した。このとき、しまいには例の「2017年マウス用ランニングマシンの大いなる悲劇」を引き起こしたわけだ。このせいで、ミニ・ランニングマシンの距離追跡プログラムの設定を変更せざるを得なくなる。というのも、高齢のマウスが、いや、どんなマウスであれ、3キロ近く走るとは誰も想定していなかったからだ。

NMNは、たんに高齢マウスをウルトラマラソンのランナーに変えるだけではない。私たちはマウスにNMNを与えて、平衡感覚、強調運動能力、俊敏さ、体力、記憶力を調べたこともある。NMNを使ったマウスと使わないマウスとの違いは目を疑うほどだった。人間ならとっくにシニア割引を受けられるようなマウスが、『アメリカン・ニンジャ・ウォーリアー[訳注 日本のテレビ番組『SASUKE』のアメリカ版]』の挑戦者に変貌していたのである。ほかの研究室の研究によれば、腎臓損傷、神経変性、ミトコンドリア病、およびフリードライヒ運動失調症を防ぐ効果もNMNにはある。フリードライヒ運動失調症は遺伝病で、元気に動き回っていた20歳の若者に車椅子生活を余儀なくさせてしまう。

NADを増強分子による生殖能力回復の可能性

NAD増強分子は、マウスの様々な病気を治す効果をもつとともに、老年期に与えてもマウスの寿命を延ばすことができる。また最新の研究からは、NAD増強分子が人間に対してもにたような健康効果を(マウスとまったく同じではないにせよ)もたらすことができると強く示唆されている。
    ・
留学生は続ける。「母もNMNのサプリメントを飲んでいるんですが……」。確かにそうだった。ほかの学生も、その家族も、何人か同じようにしている。「それがですね、あの……」。ここで一段と声をひそめる。「母のがまた始まったんです。つまりその……周期が」

何の周期かに気づくのにしばらくかかった。
閉経期の女性では、月経周期がかなり不規則になることがある。だから、最後の月経から1年が過ぎないと、たいていの医師は閉経と断定しない。

閉経後なのに出血があるとしたら心配だ。がんや、類線維腫や、感染症の徴候かもしれないし、薬の副作用のおそれもある。

「ちゃんと病院で診てもらった?」
「はい、どこも悪いところはないそうです。普通の生理と変わらないようだ、って」
それは面白い。「わかった。でも、もっと情報がいるな。お母さんに電話して、もう少し質問してみてくれる?」
    ・
月経が再開したとか、ウマが生殖能力を取り戻したというのは、あくまで事例証拠にすぎないし、また同様の事例の数も少ない。それでも、衰えた卵巣の機能を回復させる力がNAD増強分子にあるかもしれないと、示唆している点でじつに興味深い。それに、化学療法剤で卵子をすべて破壊されたマウスや、すでに閉経した高齢のマウスを使った実験では、NMNによって生殖能力が甦(よみがえ)ることが実際に確認されているのだ。ちなみに、同じ実験結果は複数回得られており、別の2つの研究室の別々の研究者によっても再現されている。にもかかわらず、あまりにも議論を呼びそうな結果であることから、研究チームのほぼ全員が発表しないことに賛成した。私だけが例外だった。研究論文は今もって未発表のままである。

私たち生物学者は何かを見落としているに違いない。それも重要な何かを。そう思えてならない。

ジョナサン・ティリーは、生殖生物学の分野で何かと物議を醸す研究者である。そのティリーが2004年、ヒト幹細胞は卵巣にも存在し、高齢になっても新しい卵子をつくり出せると主張した。この説には異論も多いものの、仮にそれが真実なら、高齢のマウスや化学療法剤を投与されたマウスでさえ生殖能力を取り戻せる理由が説明できそうだ。

じじぃの「ホーキング放射・ブラックホールのパラドックス!逆説の雑学」

物理学の常識が覆る…ブラックホールの構造にまつわる新説がヤバイ

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=XIywFeJzHlA


ブラックホールは暗黒エネルギーの源?初の観測的証拠が提示される!

2023.02.24 Lab BRAINS
ブラックホールの大きさと呼ばれるのは、この境目を超えると光ですら抜け出せない、という面の内側で定義されるよ。この面は「事象の地平面」と呼ばれるよ。

ただ、本当の意味でのブラックホールの本体は、事象の地平面の内側にある、無限に潰れた1点と言うことになるよ。これは「特異点」と呼ばれるよ。
https://lab-brains.as-1.co.jp/enjoy-learn/2023/02/43534/

『宇宙とは何か』

松原隆彦/著 SB新書 2024年発行

第6講 時間と空間 より

相対性理論量子論は相性が悪い?

宇宙には時空のゆがみ、ねじれがあるということからタイムマシンの話になりました。

ブラックホールワームホールは、時空の物理学である相対性理論から予言されているものです。相対性理論によって、時空は我々が普段思っているものとは違うということはよくわかりました。観測者によって変わる「相対的」なものだし、重力によってゆがめられてしまいます。しかし、その中身を詳しく見たいと思っても、よくわからないのです。

量子論は1つのキーになりそうですが、一般相対性理論量子論は相性が悪いと言われています。
重力という大きな世界の話と、ミクロの世界の話を矛盾なくくっつけることがなかなかできないんです。普通は別々の世界の話なのでいいんですが、宇宙の初期について考えるには組み合わせる必要が出てきます。

昔からこれは大きな問題だったのですが、量子論相対性理論を部分的にくっつけることに成功したのがホーキングです。ホーキングの「量子重力論」によれば、ブラックホールは量子効果によってわずかに光を出します。光さえ出てこられないと考えられていたブラックホールですが、量子効果でエネルギーが漏れ出てくることを計算で示したんです。まだ観測はされていないので確実ではありませんが、理論的には正しそうです。

ブラックホールが光を出すということは、ブラックホールが見えるんですか?

光が弱すぎるので、通常の手段では見えません。ただ、ブラックホールはエネルギーを放射してどんどんやせ細っていき、最後の最後になるとものすごいエネルギーを出すため、そこを観測できるのではないかという話があります。ブラックホールがなくなる瞬間にぶわっと明るくなり、そこが観測できると考えられています。

                    • -

じじぃの日記。

松原隆彦著『宇宙とは何か』という本に、「相対性理論量子論は相性が悪い?」というのがあった。

宇宙の6分の5を構成すると仮定されている謎の物質「ダークマター暗黒物質)」。

ダークマターは宇宙が始まったとき(ビッグバン)と同じ熱でできたと考えられている。

このダークマターが集まって超巨大ブラックホールを作ったのではないか、といわれている。

恒星サイズの天体が、重力に抵抗できず無限に潰れてしまった天体をブラックホールと呼び、その中心にある1点を「特異点」と呼んでいる。

ブラックホールが光を出すということは、ブラックホールが見えるんですか?」

実は、ブラックホールの境界線は不確定なのだそうだ。

ということは、そういった中立地帯からは、光が外に逃れることができる。つまり、ブラックホールは、厳密には「グレーホール」(=灰色の穴)なのだ。

このように、量子論を考慮に入れるとブラックホールが「灰色」になって、光が洩れることを「ホーキング放射」と呼んでいる。

光が洩れている

実は見えないといわれていたブラックホールが見えるのだ。

ブラックホールは、そのうち「グレーホール」と呼ばれるようになるかもしれない。

じじぃの「カオス・地球_318_LIFESPAN・第5章・糖尿病薬・メトホルミン」

【医師のメトホルミン解説】血糖値が安定すると『目』も健康になる

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Kviig8EQNJQ

糖尿病薬 メトホルミン塩酸塩錠


「不老長寿」研究に巨額マネーが流入...糖尿病薬メトホルミンが若返り薬に?

2021年6月18日 ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
●寿命を左右する約30%は遺伝的要因
「老化が疾病を引き起こす」と、バルジライは言う。「ポイントはそこにある。老化を止められれば、老化が疾病を引き起こすこともなくなる」。スーパーエイジャー(健康な長寿者)と呼ばれる人々に共通する「長寿遺伝子」の最初の発見者であり、長寿研究の世界的な権威であるバルジライが注目するのは、遺伝子の分野だ。

糖尿病の治療薬メトホルミンに心臓病や癌、認知症など老化と関連した慢性疾患の進行を遅らせる効果があるかを調べる大規模な試験も予定されている。65~79歳の患者3000人を対象に、5000万ドルの予算をかけて6年に及ぶ追跡調査を行う計画だ。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/06/post-96537_1.php

LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界

【目次】
はじめに――いつまでも若々しくありたいという願い
■第1部 私たちは何を知っているのか(過去)
第1章 老化の唯一の原因――原初のサバイバル回路
第2章 弾き方を忘れたピアニスト
第3章 万人を蝕(むしば)む見えざる病気
■第2部 私たちは何を学びつつあるのか(現在)
第4章 あなたの長寿遺伝子を今すぐ働かせる方法

第5章 老化を治療する薬

第6章 若く健康な未来への躍進
第7章 医療におけるイノベーション
■第3部 私たちはどこへ行くのか(未来)
第8章 未来の世界はこうなる
第9章 私たちが築くべき未来
おわりに――世界を変える勇気をもとう

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『LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界』

デビッド・A・シンクレア、マシュー・D・ラプラント/著、梶山あゆみ/訳 東洋経済新報社 2020年発行

第5章 老化を治療する薬 より

糖尿病治療薬として手頃な価格で処方されるメトホルミン

現代は椅子に座りっぱなしの生活習慣が増え、世界のどのスーパーマーケットにも糖や炭水化物が溢れている。
そのせいで、高血糖は年間380万人もの早すぎる死を招いている。糖尿病による死は、速やかでもなければ慈悲深くもない。失明、腎不全、脳卒中、足の潰瘍や壊疽、手足の切断といった、おそろしいものをたくさん連れてやって来る。

1950年代の半ば、薬学者のジャン・アロンと医師のジャン・ステルンはこの病気について研究した。そして、ガレガソウの主成分グア二ジンの誘導体(元の化合物の分子内の一部分が変化して生じた化合物のこと)を使うことで、インスリンの効かない2型糖尿病と闘えないかと考えた。どちらもフランス人だったので、ガレガソウは母国のいたるところで見られるおなじみの花である。

その誘導体はジメチルビグアニドと呼ばれる。それを服用すると2型糖尿病の治療に効果を発揮すると、ステルンは1957年の論文で発表した。今では一般に「メトホルミン」と呼ばれるこの薬は、以来、世界で最も広く使われ、最も効果の高い医薬品の1つとなっている。

メトホルミンがもつ健康長寿効果の発見

なるほど糖尿病薬の話はわかったが、それが健康長寿とどう関係するのか――読者はそう思っているに違いない。確かに、何の関係もないまま終わってもおかしくなかった。ところが今から数年前、研究者が不思議な現象に気づく。メトホルミンを服用している患者は、そうでない人より際だって健康状態がいいのである。しかもそれは、糖尿病が改善していることとは無関係のようだった。

それを裏づけるように、ごく少量のメトホルミンでもマウスの寿命がほぼ6%延びることが、アメリ国立衛生研究所(NIH)のラファエル・デ・カーボの研究室によって示されている。もっともそれは、体重が減ったことが大きいとの声もある。いずれにせよ、マウスで6%といえば、人間なら5年分の健康な寿命が追加されたことになる。この「健康な」という点が肝心だ。なにしろ、マウスではLDL(悪玉コレステロール)値が下がり、身体能力が改善したのである。こうした現象を支持する証拠は、時とともに増えてきている。齧歯類にメトホルミンを与える研究26件のうち、25件でがんの予防効果が確認された。

ラパマイシン(イースター島で半世紀前に採集された土の中の細菌から、得られた化学物質)と同様、メトホルミンを摂取した場合もカロリー制限に似た効果が現われる。ただし、ラパマイシンのようにTOR(タンパク質)を阻害するのではなく、ミトコンドリア代謝反応を制限する方向に働く。ミトコンドリアは「細胞の発電所」ともいわれ、ブドウ糖などをエネルギーに変換する仕事をしているが、メトホルミンにはこのプロセスを遅らせる作用があるのだ。すると、AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)が活性化する。AMPKは酵素の一種で、エネルギー量が低下したときにミトコンドリアの機能を回復させる機能をもつ。メトホルミンはSIR1(私たちの研究室のお気に入りの酵素、サーチュイン、SIR1からSIR7まである)の活性も高める。ほかにも、がん細胞の代謝を抑えたり、ミトコンドリアの数を増やしたり(ミトコンドリアの機能低下を補うために細胞がミトコンドリアをより多く生成しようとするため)、折りたたみ不全のタンパク質を除去したりする効果が明らかになっている。

ある研究では、68歳から81歳までのメトホルミン服用者4万1000人あまりを対象に、9年間の追跡調査を行った。その結果、服用者のあいだで、認知症、心血管系疾患、がん、虚弱、うつ病になる確率がメトホルミンによって低減されることが確認された。しかも「若干」などとレベルではない。すでに虚弱になるリスクのあったグループでは、非服用者と比べて、認知症の確率が4%、うつ病が16%、心血管系疾患が19%、虚弱が24%、がんが4%減少している。

メトホルミンのがん予防効果については、それよりはるかに高いとした研究もある。あらゆるがんを抑えられるわけではなく、前立腺がん、膀胱がん、腎臓がん、食道がんは難しいようだ。しかし、がんのリスクをときに40%も下げることは、25件ほどの研究で示されている。予防効果のとくに高いのが、肺がん、結腸・直腸がん、膵臓がん、乳がんだ。

これらの意味するところはじつに大きい。まずいコーヒーを1杯飲むより安い値段で、たった1つの安全な薬がそれだけ大勢の人の暮らしを著しく改善させたのである。

じじぃの「科学夜話・アルテミス計画・月に水は存在するのか?プライムニュース」

【日本人ついに月面へ】アルテミス計画 日本も参加 佐々木宏×坂井真一郎×鈴木一人×寺門和夫2024/5/2放送<後編>

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=IWiJqBA8guo

【記者解説】人が約半世紀ぶりに月へ!アルテミス計画の目的とは 日テレNEWS

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=i7qviGKpxI0&t=5s

プライムニュース(後編) アルテミス計画 2024年5月2日


インド探査機、月の南極に軟着陸 世界初、水資源注目

2023/8/23 産経ニュース
インド宇宙研究機構(ISRO)は23日、無人月探査機「チャンドラヤーン(月の乗り物)3号」が月の南極付近に軟着陸したと発表した。
月の南極付近への着陸は世界で初めて。月面着陸は米国、旧ソ連、中国に次ぎ4ヵ国目。
月の南極付近では水が氷の状態で存在する可能性があり、人間が長期滞在するための飲料水や酸素、燃料用の水素の原料に活用できるとして各国が注目している。今後の探査に期待がかかる。
https://www.sankei.com/article/20230823-WNE4P72PRRKM3F7EZLBE6YFTDE/

プライムニュース 「月探査機成功の舞台裏 ついに日本人月着陸へ 日本の宇宙開発未来像」

2024年5月2日 BSフジ
【キャスター】長野美郷、反町理 【ゲスト】佐々木宏(JAXA経営企画部参与 元JAXA理事)、坂井真一郎(JAXA宇宙科学研究所SLIMプロジェクトチームプロジェクトマネージャ)、鈴木一人(内閣府宇宙政策委員 東京大学公共政策大学院教授)、寺門和夫日本宇宙フォーラム宇宙政策調査研究センターフェロー)

日本の探査機が初の月着陸に成功し、日本人宇宙飛行士の月着陸も決まるなど、いまJAXAが熱い!各計画の担当者らに日本が描く宇宙の未来像を問う!

今年1月、JAXAの探査機SLIMが日本初の月面着陸に成功。さらに今月10日には、米国が主導する「アルテミス計画」での日本人宇宙飛行士の月面着陸と国産探査車両の利用で日米が合意するなど、月をめぐる動きが加速している。
探査機SLIM成功の舞台裏とは? そして米国が期待する日本の能力とは?JAXAの両計画担当者と政府の宇宙政策委員、宇宙開発計画を分析し続けてきた専門家らを迎えて日本が描く今後の宇宙開発を問う。
https://www.bsfuji.tv/primenews/

『本当は怖い宇宙のはなし---宇宙旅行に出かける前に読んでおく本!』

スペース探査室/編 KAWADE夢文庫 2013年発行

1章 「宇宙空間」の想像を絶する過酷さとは より

数々の探査で明らかになった「月」の不気味な真実

月はもっとも身近な天体だが……
おそらく月は、人類にとって最も身近で親しみのわく天体だろう。毎日変わる姿を肉眼で見ることができるし、ウサギのもちつき伝説をはじめ世界各地に突きにまつわる多くの神話や伝説が残されている。さらに、月は人類が地球以外で初めて降り立った天体でもある。

1969年、NASAによっておこなわれた有人月探査計画「アポロ計画」以来、人類は月の調査を進めてきた。現在までに12人の宇宙飛行士が月に着陸しており、いまも世界中で新たな月探査が計画・実施されている。だがその結果、月が想像以上に怖い天体であることが明らかになった。

1日に250℃の温度差がある過酷な環境
月の恐怖のひとつは環境である。「アポロ11号」で月に着いた宇宙飛行士が語ったように、月はどこまでも荒涼とした世界が続いている。人類の生存に必要な酸素がなく、地球のような大気や磁場も無いので太陽光線や放射線にさらされる。

また、太陽の光が当たらない場所はかなり低温になる。気温の差も激しく、日中は平均100℃以上になるのに対し、夜はマイナス150℃になる。仮に酸素があったとしても、この温度差のなかで人類は生きていけない。

さらに、月の表面「にある「レゴリス」という砂礫(されき)も厄介な存在だ。これは数十マイクロメートルときわめて小さな砂状の物質で、機械に入ると故障を起こすし、人が吸引すると体に悪影響を及ぼすのではないかといわれれいる。

かつては膨大な水が詰まっていた?!
それにしても、なぜ月はがらんどうになってしまったのか。「月空洞説」がある。
じつは、かつて月の内部には水がぎっしり詰まっていたといわれている。ところが、月が何らかの理由で地球に接近したとき、潮汐(ちょうせき)作用で地殻が壊され、水が一気に放出して、月はがらんどうの空洞になってしまったという。

2009年、NASAの月探査機が月の塵(ちり)のなかに、水蒸気や氷のかけらとして水が含まれていることを突き止めた。翌年には、インドの探査機が月のクレーターに6億トンもの水があることを発見している。これらは、かつて内部に貯められていた水の残りなのかもしれない。

ことの真相は不明だが、月はまだ謎めいた天体であることは確かだ。今後調査が進めば、さらなる恐怖の事実が見つかるかもしれない。

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じじぃの日記。

5月2日、BSフジ プライムニュース 「月探査機成功の舞台裏 ついに日本人月着陸へ 日本の宇宙開発未来像」を見た。

有人月面探査となるNASAの「アルテミス計画」は最終目標の有人火星探査計画のための1ステップだ。

月の南極には水があるらしい、ということはわかったが、水は凍った状態なのか、砂に付着した状態で存在するのかはまだ分かっていないらしい。

火星に行くには宇宙飛行士のために膨大な「水」を確保するため、今後NASAは南極付近の探査を行う予定だが、中国も月の南極の「水」を狙っているとのこと。

NASAは2027年までに有人月面着陸を行う計画を発表した。

中国は2030年に有人月面着陸を行う計画を発表していたが、NASAの2027年計画を聞いて前倒しで、計画を進めているとのこと。

まあ、実際に南極に「水」が見つかるかは、火星探査計画に大きな影響を与えるらしい。