Hatena::ブログ(Diary)

新東京邂逅記 by 長谷川高 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2017-04-22

[]Stay hungryであることの重要性


かつてスティーブジョブズは、招かれた米大学卒業式での名演説の最後に卒業生に向けて

Stay hungry, Stay foolish

という言葉を残しました。

現代この日本においてハングリーであり続けることは、日本人全般においてなかなか難しくなってきました。



先日、元金融機関の代表をされていた方と会食を致しました。

その方曰く、

「先の電通の長時間労働を原因とする自殺事件は悲しい出来事であったけれど、今回このいわゆる電通ショックが契機となり、日本はますます働かない普通以下の国となり、資源も何ももたないこの国は今後衰退していくのではないか」

とおっしゃっていました。



また、数年前から伊集院静さんが、エッセイ等で

「休日に開いている料理屋が(銀座等で)少なくなった、料理人が土日、休日をとったら腕を磨き修行をする時間がない。それ故(銀座の)料理屋の味はどんどん落ちてきている」と。



そんな折、知り合いの方に、中国深センの巨大書店の写真を送って頂きました。

その写真には本屋の中だけでなく本屋の外の至る所に多くの人が座って本を読んでいました。

本屋を中心とした難民キャンプのような光景でした。

その写真を見た時、かつて北京大学では夜11時を回っても図書館や校内で電燈が煌々とついているという話を聞いたことを思い出しました。

多くの学生達が電気代を節約する為に大学に残り深夜まで勉強をしていると。



また、以前見たドキュメンタリー番組では、中国の山岳民族の住む地域にある寮制の学校(といってもボロボロの校舎、宿舎)の日生活が印象的でした。

そのボロボロの学校兼寮には、山岳民族の秀才が集められ、寮生活をしながらより上の学校への進学を目指しているのですが、日本で言えば小中学生程度の年齢の子供が夜も明ける前、まだ暗い内から、屋外の外灯の下で立ったまま勉強をしているのでした。



かつての日本にもこんな時代が確かにあったと。

少なくとも私の親の世代、つまり日本の高度経済成長を担った世代には同じ様なハングリー精神があったと。



f:id:digicon:20170522075236j:image

出張でよく行く地方の小学校には今も二宮尊徳の銅像がある学校をよく見かけます。



私にもこの銅像のような顔をしていた時代があったような気がします。

やはり、どうにかこうにかstay hungry でいる様にしないといけないと、最近思いました。

働いて本を読んで人に会って、そして働いて本を読んで・・・これを繰り返していくしかないと。

この銅像に出会った早朝に直感的にそう感じました。





***

不動産、不動産投資の全般のご相談は下記へ

長谷川不動産経済社

2017-03-30

[]資産家に共通する行動パターン


今回、弊社のお客様でいわゆる資産家と呼ばれる方々の「行動パターン」について、これまでのお付き合いを通して感じたことを考察していきたいと存じます。

まずは彼ら彼女らは何故ゆえに資産家なのかという点に関して、弊社のお客様においてはおおよそ3つのパターンに分類できます。


  1. 上場企業のオーナー又はその親族の方々
  2. かつて会社を経営していたが、ある時期に本業は譲渡し(又は廃業し)、残った資産を管理するといった過去において不動産賃貸業に転業したケース
  3. 現在会社や病院等を経営しながら賃貸業を行っているケース

となります。それぞれのバックグラウンドは大きく異なるが、こういった方々には共通点が存在します。


  • 普段の生活は至って質素

例えば、先方の家や事務所ではなく外で打ち合わせ、ということもあるですが、私がホテルのカフェテリア等にお誘いすると、どの方も「もったいない。スタバかどこかに行きましょう」とおっしゃる。



以前、大阪商人、京都商人、江戸商人の家訓を研究したことがあったが、どの家の家訓にも共通しているのが「質素、倹約、始末」という点でした。お付き合いを通じてこのことを思い出す機会がよくあります。


しかしながら何もかも質素かと言えば、自宅、別荘、車、趣味(旅行、収集等)におけるお金の掛け方はそれぞれだが、それはやはり庶民レベルとは若干異なるかもしれません(が、その程度もよく世間で言われている程の乖離はないと感じます。)

一方、子弟の「教育」には大きな投資をしていると感じます。

「教育」に対する費用対効果が実は一番大きいことを知っているからだと思われます。



  • それぞれの専門家を抱えている

代々引き継がれている場合が多いのですが、お抱えの税理士、弁護士等顧問の先生がしっかり存在する。

不動産に関連した打ち合わせの時、やはり伺っているとどの先生も数十年のお付き合いというケースが多い。



  • 金融機関もメイン銀行が存在しかつ長い付き合いをしている

資産家の方が皆さん、メインの銀行が都市銀行であるかと言えば、実はそうとも限らない。

弊社の顧問先は信用金庫や地方銀行をメインとしているケースが意外に多い。

例えば、不動産に投資するような場合、まずは長いお付き合いのメインである銀行に打診しているケースが殆どだ。

弊社にも毎週のように銀行からの融資紹介のお願いが来るが、なかなかこの関係に中に入っていくのは難しいのではないかと感じる。

金利の低さだけではなく、本当に困っている時に傘を貸してくれるのはどこの銀行か?ということをよくよく見ていると感じる。

ブラックスワンが現われた時、つまり非常時にどこが助けてくれるのかを。



  • 投資行動の共通点

資産家の方の投資行動の共通点は「じっくり待てる」ということではないでしょうか。

もう十分に資産がある故、無理に投資する必要がないと言えば無いのである。

資産を分散させる為に投資するなり、資産を守る為に不動産の買い替えを行う、又は相続税対策で投資を行うといったケースが多い故か「まあ、良い案件があれば、ご紹介下さい。それより空室を埋めないと・・・何か良い案はないかな」といった感じである。

しかし、「これは投資適格だ!」と判断された時の行動はそれ相当に早いと言えるでしょう。

つまり決断すべき時の決断力はしっかりおもちになられている。

その熟慮考慮した後の素早い決断力がある故に家業が今まで続いているのだと感じます。



***

不動産、不動産投資の全般のご相談は下記へ

長谷川不動産経済社

2017-03-29

[]アパート・マンション建設にも逆張りの発想を

先日、12年前に土地の有効活用においてコンサルティングを行ったお客様が再来訪して下さいました。


当時のご相談内容は、お客様のご両親共に老人ホームへ入っている状況にあり、その毎月の費用が大きく、両親の貯金を取り崩している状況でした。それをどうにか賃料収入を得て持ち出しを減らしたいと。


結果として、埼玉県にお父様が以前より買ってあった土地にアパートを建て、その賃料で老人ホームの毎月の費用を賄うという計画をたてました。


私は、その地域性(不人気エリア)故、将来の需給バランンスの崩れを鑑み、間取り、配置、規模等々を助言させて頂きまました。


そして、そのアパートが12年間、空室無し、家賃値下がり無しの結果だとのことでした。

(実は、私もこの結果には驚きまました。駅5分の物件ですが不人気な沿線でしたので・・・)


周りの物件は空室が非常に目立つ中で大健闘?となりました。


当時の経緯を知らない若手の(当該アパートを施工をした)ハウスメーカーの(現在の)担当者が「誰がこのプランにしようとしたのですか?コンサルを入れたのですか?」と質問してくるそうです(笑)。


私の当時のコンサルティングは単純でして、「逆張り」です。

周辺の他の地主さんが建てないものを、競合の少ないものを建てただけなのです。

(後は、余計なものは削りに削りました。)

12年前アパート竣工後も、私の予想に反して周りでは、同じようなものばかりが建ち続け、結果として当該アパートの優位性が保たれてきたようです。

要は周りの敵失でこちらが自然と助けられたとも言えるのですが・・・。


同エリアにおいて、各建設会社は(私とは異なる)12年前と同じような通常?のプランを提案し同じようなアパートやマンションが建ち続けているようです。



***

不動産、不動産投資の全般のご相談は下記へ

長谷川不動産経済社

2017-02-09

[]連帯保証を取らない米国がつくったトランプ大統領


米国大統領トランプ氏をどのように理解すれば良いのか、世界中のインテリ層が困っているようです。

これまでの発言が、本気なのか、脅しなのか、口先だけなのか・・・。


そんな中で橘玲氏のブログは実に興味深い。

http://www.tachibana-akira.com/2017/01/7446

「ヤクザのビジネスでは、かならずしも発言(恐喝)と行動(犯罪)を一致させる必要はありません。そんなことをすれば、組員の大半は刑務所に入ってしまうからです。しかしその一方で、相手に口先だけだとバレてしまえば、いくら脅してもなんの効果もないでしょう。

そこでヤクザが利用するのが「不確実性」です。99%の確率でなにも起こらないが、1%の確率で殺されるかもしれないと思えば、生命はひとつしかないのですから、要求されたお金を払うのが合理的な判断になります。このようにしてヤクザは、暴力の行使による損失を最小限にしつつ、最大の恐喝効果を実現することができるのです。」


ヤクザのその手法をトランプ氏がとっているといった内容です。

しかし、私は、トランプ氏が恣意的にそういった戦略?をとっているのではないと感じます。


つまり彼は、全く戦略などなく、ただの天然なのだと。

彼は、単純に暴君であった子供時代のままの懲りないまま大人になったと感じます。

(同大統領が少年時代に気に入らない女教師を殴ったという話しは有名です)

おそらく子供の頃から今まで直情的に言いたいことを言って、かつやりたいことをやって来た、それが7割か8割程度(幸運にも)彼の思うように実現してきためでたい人間なのではないかと感じます。


その証拠にこれまで3回だか4回も会社を破綻させておきながら、未だに巨大ビルや邸宅をもった大金持ちなのですから。

だから彼には「本当の挫折」がない、70歳を過ぎても少年時代のままの「暴君的懲りない少年」なのだと。


日本にも、また不動産業界にもこういった人物が時々存在しました。


しかし、日本では皆、そういった方はいつの間にか表舞台から去りました。


何故ならば、日本では会社の代表個人による連帯保証制度が実に充実?しているので複数回会社を破綻しても復活し、懲りない者を誕生させる土壌など(ある意味残念ながら)ないからです。


よってトランプ大統領という人物は会社の代表個人の連帯保証を取らない(プロジェクトファイナンスが発展した)米国故に生まれた大統領であると強く感じます。


よって、結局のところトランプ大統領誕生によって発生した不確実性は未だ高いままだと感じるのです。



***

不動産、不動産投資の全般のご相談は下記へ

長谷川不動産経済社

2017-02-06

[]「活気」と「景気」はイコールなのだ


先日、友人がマカオに行ったのですが、立地の良い物件であれば、何でもない通常のファミリータイプのマンション価格が数億円であったと。

そういったマンションの築年数が30年、40年、50年といったものも多かったと。


f:id:digicon:20170206103326j:image



以前は1,000万円程度のマンションが今はざっくり1億円になった言った話を聞くと、私なんぞは、幾ら土地が狭いマカオと言えどやはり行き過ぎでその値上がり部分の過半はやはりバブルではないかと思ってしまいます。

しかし、そこまで価格を押し上げて来たのはその要因となった好景気があった訳です。(少なくとも今までは)


一方、マカオは不動産だけでなく、日本に比べ兎に角「活気」があったと言っていました。

カジノの経営は一頃の隆盛は一転し、現在では下降気味だそうですが、それでも街には活気があったと・・・・。

先般、台湾に行かれた方もやはり非常に活気があったと言われていました。

これは香港や上海、その他アジアの新興国を訪れた方が皆が一様に口にする言葉です。

「生老病死」の「老」と「死」を感じなかったと言った方もいました。

そこには、ただ「若さ」と「活気」があったと。



日本における何とも言えない活気の無さは、やはり1に高齢化、2に少子化の影響を地方都市だけでなく東京も大きく受けているからだと感じます。



これは根本的な問題故にどうも日銀が金融政策を大きく操作してもマクロ的にはなかなか厳しい道のりなのではと感じます。

移民政策を取れない日本はさらなる「観光の世界一化」と「農業(農地法)の改革と解放」、「医療・介護の分野の働く人の幸福化と産業化」が重要だと感じます。



手遅れにならない内に大きく舵を切らないといけないと。

これは政府の政策も個人のビジネスや投資・資産ポートフォリオも同じですね。




***

不動産、不動産投資の全般のご相談は下記へ

長谷川不動産経済社

2017-02-02

[]私とJAFの付き合いは長い。


普段はあまり有難いと思ったことはないが、先日のように夜道、急に車のハンドルが効かなくなり停止した時、JAFの存在は本当にありがたかった。

寒空の中、JAFの車が現れた時、感動すら覚えた。

故障車を当日は家へ、そして翌日はレッカーして頂き修理工場へ持ち込んだ。

これが全て無料なのだ。


私は古い中古の外車に乗っているのでJAFとの契約は不可欠である。

私の車はある意味(日本車に比べ)ハイリスク・ローリターン?かもしれないが、乗り心地とデザインが気に入っているから仕方がない。


私自身もリスクを負う投資家や不動産オーナーにとってJAFのような存在であれば理想だと感じる。

投資行為が上手くいっている時は特段必要ないのかもしれないが、いざという時には役に立つ。

それも「流石だ」と感じて頂けるレベルでだ。


又、更には、将来のリスクを予見して事前事前にリスクを回避するアドバイスをできればと。

リスク回避の価値はある時は非常に大きいことになるはずだ。

そしてこれこそがプロとしての役目だと感じている。





***

不動産、不動産投資の全般のご相談は下記へ

長谷川不動産経済社

2017-02-01

[]大勢の人が成功しだしたらピーク


株式投資でも不動産投資でも素人もプロも含め大勢の者が成功しているように感じたらその時がピークなのでしょう。

又はもう坂道を転がり始めているかもしれません。


旅館業でもラーメン屋さんでも長きに渡り成功を収めるのは難しいものです。

(私の家も祖父の代まで旅館業をしていました。)


何でも「業」として長期に渡り結果を出すのはそう簡単ではありません。


投資も賃貸業も「業」な訳ですからそれはそれなりに本来難しいはずです。


しかし、何だかよく分からないが皆が何となく上手く行っている、上手く行っている人がちょっと多いようだ・・・となるとそこには何か不自然なものを感じます。


やはり、そういったことは長くは続かないのではと感じます。


それ故、本来は来たる次の段階に備えて、色々と準備する必要があると思います。



***

不動産、不動産投資の全般のご相談は下記へ

長谷川不動産経済社

2017-01-31

[]これが本当の不確実性の時代だ


昨日、某経済誌の購読を辞めた。


トランプ大統領、この人こそが正に不確実性そのものだ。


おそらく私達現代の日本人がこれまで会ったことがない人間が米国の大統領になった。


中学時代のどの不良少年とも異なり、高校時代に会ったどの秀才とも歌舞伎町の不良学生とも異なり、大学時代、六本木を闊歩していたなんだかよく分からない大人とも、不動産業界に大勢いたバブルの紳士達の誰とも違う。


この大統領がこれからどんな行動を取るのか、誰も予想がつかない。


ましてインテリや評論家やアナリストの類には到底予想など不可能だろう。

よって、購読を辞めてしまった。



会社の近くのカフェで、若いOLさんが、

「トランプ、誰かんに暗殺されるんじゃないの!」とのたまう。


いや〜本当に不確実性の時代に入ってしまった。



皆さん、非常口の近くに移る時かもしれません。

ベルトを締めて、準備はできましたか?


***

不動産、不動産投資の全般のご相談は下記へ

長谷川不動産経済社

2016-11-24

[]直近の講演実績 by 長谷川高


今年は、「現在の不動産市況と業界の未来」等々と題して、不動産業界団体向けに講演を幾つかさせて頂きました。

全宅の品川区支部、全日の多摩西支部、大和ハウスや積水ハウスでは取引先である不動産業者さん向けの親睦会等々でも。

やはり業界にも大きな過渡期が来ていると感じました。

その他、土地の有効活用、不動産投資、賃貸業生き残り戦略等々、全国に参りました。

以下主な講演内容と主催者を掲載します。



講演のご依頼はこちらをご参照下さい。

http://www.hasekei.jp/lecture/index.html



2016/11/18

「これからどうなる?不動産市況と不動産経営」

積水ハウス様(豊橋支店)主催のセミナーにて


2016/11/11

「生き残る賃貸住宅経営とは?」

大和ハウス工業様(埼玉支社)主催のセミナーにて


2016/11/05

「生き残る賃貸住宅経営とは?」

大和ハウス工業本社様主催のセミナーにて


2016/10/20

「日本の不動産市況〜現状とその未来」

東京都宅地建物取引協会品川区支部様主催の講演会にて


2016/10/16

「勝つための不動産投資と賃貸経営術」

新潟日報社様主催の『資産いきいきセミナー』(新潟)にて


2016/10/15

「勝つための不動産投資と賃貸経営術」

新潟日報社様主催の『資産いきいきセミナー』(長岡)にて


2016/08/06

「これからの賃貸ビジネス」

全国賃貸住宅経営者協会連合会・京都中央支部様主催のセミナーにて


2016/05/08

「賢いマンション投資術」

東京建物様の不動産・住宅セミナーにて


2016/04/24

「失敗しない土地活用〜これからのアパート経営・生き残り戦略」

岩手日報社様主催『資産をつなぐ一日大学』にて


2016/04/19

「日本の不動産市況〜現状とその未来」

全日本不動産協会東京都本部多摩西支部様の法廷研修会にて



長谷川不動産経済社

2016-07-25

[]ミグ25戦闘機とベレンコ中尉亡命事件の思い出


先日、テレビで旧ソ連の最新鋭戦闘機、ミグ25(MiG-25)戦闘機に乗ったパイロット、ベレンコ中尉が函館空港に強行着陸し、その後米国に亡命したという事件をドキュメンタリーにて再現していました。

それを見ていて私も色々と当時のことを思い出し、懐かしく感じました。


f:id:digicon:20160725214058j:image


その当時、私の父は石川島播磨重工業(IHI)の航空宇宙事業部なる部署でロケットエンジン等の研究開発をしていました。

この事件が連日テレビニュースで報じられていたある夜、それも随分遅い時間に父に会社から電話がありました。

父はその電話が終わるとおもむろにスーツに着替え出し、

「これから出張に行って来る」

と言いました。



父は普段会社に行くようなラフなツイードのジャケット姿ではなく、紺のスーツを着始めました。

私は「珍しい、こんな夜にどこに出張なのか」とも思いました。



行き先を母親が尋ねると「ミグ戦闘機を見て来る」と一言。

険しい感じで急いで家を出ていきました。



それから数日経って父親はぶらっと、そう正にぶらっと帰ってきました。

尚かつ何故か笑顔で帰ってきたのです。



典型的な理系人間で人付き合いの苦手だった父は、普段からあまり喜怒哀楽を顔に出すことはありませんでした。しかし、その時は、何故かにこにこ笑いながら、つまり嬉しそうな顔で帰宅したのです。



私は「ミグ戦闘機はどうだったの?」といったことを父に聞いてみました。

その時返ってきた答えが、一言一句正しく記憶している訳ではないのですが


「大したことが無かった」


というようなものでした。

続けて


「真空管を使っていたよ」


とだけ私に告げて、この話しはこれで終わりといった感じでまた何時ものように黙ってしまいました。



それでも、やはり父親はどこか嬉しそうな表情をしていました。



私は「ジェット機に真空管??本当かいな?」と半信半疑でした。

当時、テレビ等の家電製品ですらもう真空管など使われておらず、全てトランジスターに換わっていたからです。



それが昨日、テレビを見ていたら、本当にあの最新鋭と言われたミグ戦闘機を分解したら真空管が使われているのを見て、日本の技術者がびっくりする場面が再現ドラマで出てきたのです。



父は30歳でIHIに転職する前は、防衛庁の第三研究所という所で誘導ミサイルの研究をしていました。

昭和6年生まれの父は戦争には行っていませんが、戦争の記憶は深くかつ鮮明にあったようです。

「自分の少年時代、周りの者は皆、戦闘機のパイロットになるのが夢だった。でも自分は戦闘機を造ることをしたかったんだ・・・」とも言っていました。だから自分の夢はある意味叶ったとも。

また、朝鮮戦争当時は、米軍の基地で敵弾を受けたファントム戦闘機の修理の為に(防衛庁から)借り出され、血で染まった操縦席に頭を突っ込んで何機も修理をしたとも言っていました。



ミグ25戦闘機がベレンコ中尉と共に日本にやって来た時は、正に東西冷戦の真っただ中で、今とは全く異なった緊張感がありました。

そして、当然ながら日本の仮想敵国筆頭はあのソ連でした。

ソ連機が日本の空域を侵犯し自衛隊機がスクランブル発進したといったニュースがしょっちゅうテレビで流れていた時代です。現在の尖閣諸島領海に頻繁に越境して来る中国船のニュースにある意味似ているかもしれません。



そのソ連が世界に誇る最新鋭戦闘機を見て、父は父なりに一技術者として確信をもって何かに安心したのかもしれません。




長谷川不動産経済社