Et Puis:幻想・怪奇・ミステリーの館

Et Puis(23号)特集幻想・怪奇・ミステリーの館 白地社 1991

日本幻想文学の特集。対談、作家論、作品論という国文学系の雑誌によく見られるスタイルを踏襲しています。
対談は双方の意見がなんとなくかみ合っていなくて、読む側からすればかえっておもしろい。
付録「幻想・怪奇・ミステリー図鑑」は上代から現代までの幻想文学を年表形式でまとめた労作。すっきりとした構成で入門ガイドとしては最適でしょう。
文学の潮流全体から幻想を捉えようとしており、幻想文学33号所収の「日本幻想文学年表」とはやや趣を異にしています、。その分、終始あいまいな解説となっている点が気になるところ。図版のチョイスもこれではいかがなものかと。

内容
☆対談〈幻想〉を読む
高田衛vs.川村湊 司会:寺田操

☆幻視者たち(作家論)
江戸川乱歩 鈴木貞美
夢野久作論 西原和海
古賀春江論 和田博文
久生十蘭論 川崎賢子
中井英夫論 室井光広
澁澤龍彦論 寺田操
種村季弘論 高村宏

☆スウィート・ホームへ(作品論)
幻想の部屋
吉本ばなな 「白河夜船」 古橋信孝
尾崎 翠 「第七官界彷徨」 中川成美
埴谷雄高 「闇の中の黒い馬」 高堂敏治
谷 譲次 「もだん・でかめろん」 江口雄輔
萩尾望都 「半神」 野谷文昭


怪奇の部屋
泉 鏡花 「草迷宮」 新井豊美
岸田理生 「最後の国」 丹生谷貴志
坂口安吾 「夜長姫と耳男」 高桑法子
折口信夫 「死者の書」 藤井貞和
赤江 瀑 「八雲が殺した」 春日久男


ミステリーの部屋
海野十三 「深夜の市長」 池田浩士
三島由紀夫 「孔雀」 堀江珠喜
筒井康隆 「虚人たち」 清水良典
半村 良 「産霊山秘録」 鎌田東二
大友克洋 「童夢」 木股知史


☆幻想・怪奇・ミステリー図鑑
上代〜近世…出口逸平
近代以降……中山昭彦