筒井康隆『虚人たち』中公文庫 (1984) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 感想 読点がない。改行がない。雑念なのか妄想なのか幻覚なのか夢なのか分からない思考の断片が永遠に連鎖してく。筒井氏の小説に読み慣れていない自分には最初から最後まで訳の分からない小説であった。換言すれば、要約の不可能性を感じさせる小説であり、その点においては卓越した独創性を持っていると思うのだが、トーマス・ベルンハルト『消去』も同じようなことをやっているので幾分かは独創性が薄れるはするものの、著者は従来の小説の形式から自由であることに重きを置こうとしたと思わせるこの様式は確…