写真にこだわる Twitter

2016-09-15

キヤノンEOS M 5の登場とこれから

22:21

f:id:ilovephoto:20160915214619j:image:right キヤノンから「いままでのミラーレスに満足しているか?」ということで、EVF 内蔵のミラーレスカメラ『EOS M5』が9月15日に発表されました。このカメラはEOS M シリーズで初となる「デュアルピクセル CMOS AF」の採用により素早く 追従性の高い AF を実現したといわれるもので、同時に小型・軽量設計を実現したミラーレスカメラ専用の高倍率ズームレンズ“EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM”が 2016年11月下旬より同時に発売されます。この「いままでのミラーレスに満足しているか?」とは、どういうことなのでしょうか。キヤノンによるとAPS-CサイズCMOSセンサーで、有効画素数約2,420万画素の全画素が撮像と位相差AFの両方を兼ねて機能するため、幅広いエリアで素早い合焦と滑らかな追従ができ、AF・AE(自動露出制御)追従で最高約7コマ/秒、AF固定では最高約9コマ/秒の連写性能を実現するというのです。つまりシャッターボタンを押したときのレスポンスが速いというのです。そこで、旧モデルのEOS M3のその部分を見ると、画素数2,420のハイブリッドCMOSセンサー、サーボAFで2.4コマ/秒、AF固定で4.2コマ/秒というわけです。そこで、EOSシリーズのミラーレス、APS-C、フルサイズに、最高標準感度を加えて比較してみたのが以下の表です。

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 こちらをご覧いただけるとおわかりのように、EOS M5は、EOS M3より連続撮影コマ速度が2倍以上向上しているのです。このあたりにM5は力を入れたことがよくわかります。キャッチフレーズの「いままでのミラーレスに満足しているか?」というのは、他社のミラーレス機を指しているのでしょうが、フルサイズミラーレス機を別にすれば、残念なが他社ミラーレスのAPS-C、M4/3の最高コマ速度ほうがわずかに早いというわけです。ただ、キヤノンはこの時期発売したEOS 5D Mark IVは、フルサイズですが連写は7コマ/秒の速度となっています。最高コマ速度は、人によってはとにかく早いほうがいいという人がいるのでしょうが、逆に4〜5コマ程度でもいいという人もいるのです。その点においては、少なくともキヤノンのラインナップには一眼レフもあり、14コマ/秒のEOS1DX Mark IIもあるわけで、EOS M5にそこを期待すること自体意味のないことです。むしろEOS 5D Mark IVも7コマ/秒としたあたりに、キヤノンとしてのコマ速度のバランスを見たのかもしれません。その点をさらに進めるとフルサイズよりも機械的な運動量、撮像素子のデータ量も場合によっては少ないわけですから、「フルサイズ⇒APS-C⇒M4/3」と連写速度は上げられるのではないかと思うのです。

 ところで現在、趣味として写真を楽しむ人は若い学生から高齢者まで男女を問わず多いのですが、先日とある写真教室の先生と話していたら、最近は生徒さんに一眼レフでなくミラーレス機を勧めているというのです。小型・軽量の普及タイプ一眼レフが存在することは十分承知しているようですが、高齢者に対して現在の高級一眼レフは肥大化しており、大きさ・重さの面から、勧めるのはつらいというのです。要は、趣味の人に所持することを満足させる小型・軽量の高級一眼レフやミラーレス機も十分に成立するはずなのです。今回発表された『EOS M5』がそれに応えられるかはわかりませんが、これからの技術進歩とシステム展開によると思うのです。また、さらにフルサイズに発展するのか、APS-Cのままでいくのかはわかりません。画素数、感度、コマ速度と進歩させてきたデジタルカメラに、小型・軽量のためには多少の小型センサーでも十分だという発展的な展開もあってもいいと思うのです。なぜならば、現代はフィルムカメラでなく、デジタルカメラだからです。 (^_-)-☆

2016-09-12

「ペンタックスK-1」を使ってみました

19:17

f:id:ilovephoto:20160908095832j:image:right リコーイメージングから35mm判フルサイズの一眼レフカメラ「ペンタックスK-1」が発売されたのは2016年4月のことでした。これでフルサイズの一眼レフカメラを製造するメーカーはキヤノンニコンソニーに次いで4社目となりました。

 そしてペンタックスK-1は、フルサイズ機であると同時に3,640万の高画素機でもあるのです。この3,640万画素近似の高画素撮像素子を搭載した一眼レフとしては2012年に発売されたニコンD800、D800Eが最初です。この2機種は2014年には改良統合されD810へと引き継がれました。この間一眼レフではありませんが2013年に発売されたミラーレスのソニーα7Rも同等の高画素撮像素子を使っていました。つまり、3,600万クラスフルサイズ機が登場して4年経過したのです。そしてペンタックスK-1が登場。この間、先行高画素機にはさまざまな技術進歩がありました。フルサイズであると同時に高画素機、そんな視点をもって、「ペンタックスK-1」は、先行3社にどこまで迫れたか、その実力を探ってみました。

 今回は、作例写真約30点にもなる大作となりました。詳細は、いつもと同じように京都MJの「ライカに始まりライカに終わる」のコーナーにアップしてあります。そちらをぜひご覧ください。

2016-08-06

「シグマsdクアトロ」を使ってみました

23:59

 シグマの独自イメージセンサーであるフォビオンを使ったレンズ交換式ミラーレス一眼「SIGMA sd Quattro」が発売されました。このカメラ、この時期一番注目度の高いカメラです。その注目する部分は、フォビオンセンサーのもつ独特な高画質にあるわけですが、高画質ゆえの問題をクリアしたのがミラーレス一眼なのです。

 シグマの一眼レフは、フィルム時代の“シグマsa-1(1983)”、デジタル時代には“シグマSD9(2002)”に始まり2010年の“SD15”まで、数々のモデルを脈々と作り続けてきたのです。そして今回のミラーレス機“sdクアトロ”の登場です。早速使用感をレポートしてみました。この場では、画質を十分に検討することができませんので、いつものように京都MJサーバー「第四十回、シグマsdクアトロを使ってみました」としてアップしてあります。

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≪18〜35mmF1.8DC HSM Artを装着したsdクアトロ

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ひまわりsdクアトロ、18〜35mmF1.8DCレンズ、 焦点距離35mm(52.5mm)、絞り優先AE、F2.8・1/4000秒、AUTO ISO100、VIVIDモード、AWB≫

2016-07-31

カメラ博物館でカメラとレンズの特性を知ろう

15:52

 日本カメラ博物館に解像力チャートとコリメーター、シャッター・EE試験機が配備され、ご自分のカメラやレンズを持参されれば、その性能の一端を測定することができるようになりました。解像力チャートは、JIS解像力チャートであり、日本カメラ財団の前身である日本写真機光学機器検査協会の時代に頒布されていましたが、コンゴー(CONGO、金剛)などのブランドを持つ大判レンズメーカーの山崎光学研究所(東京日野市)が、廃業するに伴い日本カメラ博物館に1.6mのコリメーターとともに寄贈されたものです。山崎光学の創業は1924(大正13)年で、初代山崎光七氏が、1906(明治39)年に浅沼商会に入社し、1924年に退社し、高価な外国製レンズに対し廉価な純国産大判カメラ用レンズを作るために興しましたが、日本でも最古に属する写真用レンズメーカーとして知られています。ここで最古に属すると書いたのは、小西六が国産初の量産カメラ「チェリー手提用暗函」発売したのが1903(明治36)年、日本光学工業の創業が1917(大正6)年で、山崎光学が純国産の大判カメラ用レンズを完成させたのが昭和6年ですから、写真レンズの専業メーカーとしては十分に古いわけです。

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≪フィルムカメラ時代の測定器が配備されています。左から、解像力チャート、1600mmコリメーター(焦点距離320mmレンズまで測定可能、パール光学製)、400mmコリメーター(焦点距離80mmレンズまで測定可能、旭光学工業製)、マルチシャッターテスター(シャッター速度、露出を測定できます。京立電機製)、400mmコリメーター、マルチシャッターテスターは写真機検査協会の時代のものです。コリメーターは、平行光束を作り出す光学系で、カメラの無限遠の精度を知ったり調整することができます。≫

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チャート全体が短辺方向で入るように合わせます。近くに大型の三脚が置いてあるのでカメラを装着し、視野中心がチャートの中心になるようにカメラとチャートが光軸に対し垂直に、撮像面とチャートが並行平面になるようにセットしますが、だいたいでいいです。もちろん手持ち撮影でも可能です。厳密にやると、均一照明で行うこと、チャート板がきわめて平面であること、撮影倍率を求めることなどが必要とされますが、目安としては十分です。35mm判フルサイズ、APS-Cだと左右に余裕が、マイクロ4/3のカメラだと縦横むだなく入ります。≫

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≪上の状態で撮影したチャートの部分拡大。左:中央部チャートを画素等倍まで拡大しました。右:最右上部をチャートを画素等倍まで拡大しました。黒と白のペアの間がどこまで分離しているかで、解像力の違いが判ります。右上のチャートでは、解像力のほか、白い線の左側に青く、右側に赤く色付きが見られます。これが倍率の色収差です≫

 このチャートによる解像力試験は、フィルムカメラ時代に確立されたもので、デジタルカメラの時代には別のチャートISOで定められています。したがって、このチャートを使ってレンズ性能を知るというより、そのレンズの性格を知れるというレベルに解釈したほうがいいです。それでも、レンズの銘柄による解像力の違い、開放絞りvs.絞り込んだ違い、カメラの画素数による解像力の違い、手ブレ補正機構ONとOFFの違い、手持ち撮影限界を知る、色収差、像面湾曲、ディストーションなど収差の発生の具合、などなど、さまざまなことがチェックできます。特にフィルムカメラ時代は、撮影後に現像されたフィルムをどこまで解像しているか光学顕微鏡で白黒ペアの分離を解読する作業がありましたが、現在では背面液晶モニターで簡単に画素等倍にまで拡大して見られるのですから便利です。撮影は、もともとカメラ博物館内は禁止でしたが、このゾーンだけはこの時期から撮影可能となっています。

 今回の山崎光学研究所の廃業に伴い、山崎啓三氏から、最終モデルのコンゴーレンズ他、多くの資料も寄贈されました。この中には尾関萬里氏が設計したコンゴーレンズの設計図面、写真家土門拳が戦前山崎光学の工場を訪れて撮影した写真の、複数のオリジナルプリントは長く山崎光学の社宝として大切に保存されていましたが、これを機会にとカメラ博物館へ寄贈されました。このうち土門拳が戦前山崎光学の工場を撮影した部分は、土門拳のフィルム資料では内容、所在が行方不明になっていた部分で、そこが明らかになり土門拳写真の研究資料としては大変貴重なものです。

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≪戦前の山崎光学、CONGOレンズ210mmF4.5(市川蔵)、K.YAMAZAKIは、初代山崎光七氏の頭文字。CONGOの名は1912年に進水した日本海軍の戦艦「金剛」から名をとったのです。 右:土門拳が戦前山崎光学の工場を撮影した写真のうちの1枚≫

注1)撮影するときは受付のお姉さんに声をかけましょう。

注2)新宿にある山崎光学写真研究所とは別会社です。

2016-07-20

タムロンSP85mmF1.8を使って

00:03

f:id:ilovephoto:20160714155115j:image:right タムロンがSPシリーズとして単焦点のSP35mmF1.8 Di VC USDとSP45mmF1.8 Di VC USDを2015年9月28日に、2016年2月にSP90mmF2.8 Di Macro 1:1 VC USD、2016年3月にSP85mmF1.8 Di VC USDを発売しています。これらのうちマクロを除く3本は、いずれも光学系が新設計で、すべて手ブレ補正機構、超音波モーターによるフォーカス駆動機構を搭載し、新しい外観デザインを採用してます。いずれもタムロンの高級レンズシリーズで、その描写は大いに気になるところです。発売から時間もたち、そろそろ次のシリーズレンズの登場があってもよさそうですが、遅ればせながら『SP85mmF1.8』をレポートしてみることにしました。

f:id:ilovephoto:20160714221343j:image:right まず85mmという焦点距離ですが、これは何に使うレンズかといわれると、やはりポートレイト用なのです。昨今のズームレンズ時代にあえて単焦点レンズを使う理由は、やはりボケ味が欲しいからです。フィルムカメラの時代には、単焦点といえば大口径で、つまり明るいレンズという考え方がありましたが、デジタルの時代になるとカメラ機種にもよりますが、フィルム時代には考えられなかったISO1600相当というような感度も常用に使えるようになりました。結果として、ズームレンズにはない大口径のボケを味わえるのが単焦点レンズであり、『タムロンSP85mmF1.8』なわけです。レンズ構成は9群13枚、特殊低分散ガラスと異常低分散ガラスが各1枚使われています。同じ焦点距離F値で、キヤノンが7群9枚、ニコンが9群9枚なので、タムロンはレンズの枚数が多い分だけ、高価だけど贅沢なつくりということになります。それでは、その効果のほどをご覧いただきましょう。

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≪花に囲まれて。絞りF2.5・1/200秒、マニュアル露出、ISO250、AWB、ニコンD810。最初に85mmはポートレイト用と書きましたが、もともとタムロンそのものがこのレンズをポートレイト用と定義しているのです。ところが僕のふだんのレンズ評価撮影場面のなかにはポートレイトはないのです。そこでこのレンズのもともとのオーナーである写真仲間の‘諸田圭祐さん’から拝借したのがこの写真なのです。感謝です≫

f:id:ilovephoto:20160714234747j:image:right とはいっても左右640ピクセルでは大伸ばしした時の鮮鋭度や調子はわかりませんので、50%に拡大した時の画像をトリミングして載せました。いかがでしょうか。ニコンD810は3,635万画素と高画素ですが、50%の拡大率でこの大きさですから、100%の画素等倍だとあまりにも大きすぎるわけです。いずれにしても、この拡大率でモデルさんにはさんにはごめんなさいという感じですが、高倍率に耐えられるお肌と、光学レンズ性能は立派なものなのです。

 そしてここで本当に見てもらいたいのは、トリミングのない全画面であって、ピントの合ったモデルさんをはさんだ前後ボケの描写なのです。これはシャープなモデルさんの髪の毛や眉毛に対し、滑らかな肌の感じ、さらには前後の柔らかなボケぐあいはタムロンSP85mmF1.8ならではというわけです。もちろん撮影した諸田さんの撮影技術にもよるところが大ですが、諸田さんの使用感では、柔らかな描写のなかにも解像性能が高く、ディストーションをまったく感じさせないところが、お気に入りの点だそうです。

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≪絞りF2.8・1/1250秒、プログラムAE、ISO200、AWB、ニコンD700。半逆光気味で、まだ若いカエデ種子を狙ってみました。種子シャープなのに対し、背景左の柔らかなボケ具合が、このレンズのもうひとつの特徴なのでしょう。そしてデジタルカメラでは目につく色収差の発生もかなり抑えられている印象があります。≫

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≪絞りF1.8・1/4000秒、絞り優先AE、ISO200、AWB、ニコンD700。いつもやるボケ味を見るテスト。手前の草の花にピントを合わせてありますが、背景のボケは絞り開放であるために大きくボケています。画面周辺にはわずかな口径食を感じますが、実際は少しでも絞り込めば、あまり目立たなくなります。しかしごく普通に使っていると、このクラスのレンズとしては画像の平坦性が良いと感じました。これはタムロンのテクニカルデータのMTF曲線を見ると、画面周辺までかなりフラットな曲線を描いていることからも読み取れます。≫

 いかがでしたか。メーカーがSP85mmF1.8はポートレイト用といってるのを、実はさまざまな場面での作例を撮影してあるのですが、野暮な写真の掲載はここまでにしておきます。

     ■完全電子マウントになったニコン用タムロンSP85mmF1.8■

f:id:ilovephoto:20160714232258j:image:right このレンズを使用しているときに面白いことに気づきました。今回使用したニコン用のSP85mmF1.8は完全電子マウントになっているのです。完全電子マウントとは、機械的な動作伝達でなく電気的な信号処理により、超音波モーターでレンズの進退、電磁アクチュエーターにより絞り羽根の開閉動作を行うものです。そこで改めて、先行の新SPシリーズのニコン用3本を調べてみると、従来と同様に絞り込みは機械的なレバー式となっているので、完全電子マウントは「SP85mmF1.8」が最初なのです。

 それでは、タムロン以外の社のニコン用はどうなっているのだろうと、いくつかの最新レンズを使用している写真仲間のHさんに調べてもらうと、以下のようになりました(作例写真もそうですが、もつべきものは友達ですね(^_-)-☆)。

 この完全電子マウントは、ご本家ニコンの場合には、2008年発売のPC-Eニッコール24mmF3.5D ED、PC-Eマイクロニッコール45mmF2.8D ED、PC-Eマイクロニッコール85mmF2.8D、2013年発売のAF-Sニッコール800mmF5.6E FL ED VRの4本を筆頭に、AF-S DXニッコール16-80mmF2.8-4E ED VR、AF-S NIKKOR 24-70mmF2.8E ED VR、AF-Sニッコール200-500mmF5.6E ED VR、AF-Sニッコール300mmF4E PF ED VR、AF-Sニッコール400mmF2.8E FL ED VR、AF-Sニッコール500mmF4E FL ED VRという具合に電子マウント化が静かに進んでいるのです。もともとPCレンズでは光学系を機械的に移動させるために絞りを動作させることはできなく、800mmでは光路長が長いので絞り羽根の動作を機械的に行うことは難しく、電磁式シャッターを採用するということを早くからやっていましたが、いつのまにか多くのニッコールレンズが完全電子マウントになっていたのは驚きです。これらは製品名にも明記されていて、開放F値の後に‘E’と表記されているので簡単に名称からも判別できます。さらにこの時期からタムロンも完全電子マウントになったわけですから、ちょっとしたニュースであり、技術の大きな流れの変化を感じるのです。

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≪左から、完全電子マウント:ニッコール24〜70mmF2.8E、レバー式:ニッコール14-24mmF2.8、レバー式:シグマ35mmF1.4DG≫

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≪左から、レバー式:シグマ50mmF1.4DG、レバー式:トキナーAT-X11-20mmF2PRO DX、レバー式:トキナーAT-X24〜70mmF2.8PRO FX


 これでおわかりのように、キヤノンEOSをのぞき、一眼レフでは一部のニッコールレンズとタムロンSP85mmF1.8だけが完全電子マウントなのです。当然これからの流れとして、ニコン、タムロン、他社を含めて今後は完全電子マウント化していくだろうことは明らかです。

 完全電子マウントは、現在に繋がるカメラとしては1987年に登場したキヤノンEOS650が最初でした。当時は本格的AF化を先行したミノルタα7000が、ボディ内AFモーター駆動でレバー式絞りバネ駆動であったのです。その時期ニコンAFはボディ内モーター、絞り羽根は機械的なレバー式であったのですが、約30年近い歳月を経て完全電子マウントに移行しつつあるのですから感慨深いものがあります。

 当時は「一眼レフAFはレンズ内モーターかボディ内モーターか」というような雑誌での特集企画が組まれたりもしましたが、懐かしい思いでです。完全電子マウントは、その後登場したミラーレス一眼ではほとんどすべてがそうであり、一眼レフでも完全電子マウント化への対応への流れは当然となり、残るところはペンタックスタックスKマウントだけとなりますが、これも時間の問題でしょう。

 今後もし各社交換レンズが完全電子マウントになれば、交換レンズレンズメーカーとしては、機械的なマウント部分と電子接点(もちろん情報の内容も含め)の対応で、各社のボディに対応できるようになるわけですから、製造する側にとってもユーザーにとってもメリットが出てくるわけです。これは、シグマのようにオプションでマウント交換をうたっているところにとっては朗報でしょう。そしてもうひとつ。4月にシグマが発売した「ソニーEマウントコンバーターMC-11」のように、「シグマ製キヤノンマウントレンズ→ソニーα7ボディ」でフル活用というような関係も、さらにニコンレンズへと拡大できる可能性がでてきたわけです。これはなにかすごいことが起きるような予感がするのです。 (^_-)-☆

2016-07-18

写真のもつ立体感“入江泰吉作品展「大和路郷愁」”より

23:51

  追記:写真画質の専門家からご意見をいただきました。巻末までご覧ください。

 いつもさまざまな写真家の作品を鑑賞していますが、先日JCIIフォトサロンで“入江泰吉作品展「大和路郷愁」”を見ていてびっくりしたことが起きました。それというのも、会期最初に見たときは、しっかり見ようと作品に近づいて目を凝らして鑑賞ていたのですが、どうも昨今の写真に比べるとピントの甘さが気になったのです。展示作品は半切モノクロが約85点で、入江泰吉が、昭和20年代から30年代に撮影した大和路の風景や当時の暮らしぶりをスナップしたものでしたが、その時代のカメラ技術ではそんなところだったのだろうと、考えていたのです。

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古都遠望、1957頃、“入江泰吉作品展「大和路郷愁」”より≫

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≪会場展示の一部≫

f:id:ilovephoto:20160718231142j:image:right ところが改めて後日、展示会場に入り、作品と距離をとって見渡してびっくりしました。すべての作品が、ものすごく立体的に見えるのです。不思議な現象でした。何人か他の人にも同じようにして見てもらうと、異口同音に立体的に見えるというのです。使用したカメラとしてズミクロン50mmF2付きのライカM3(1954年)とトリオター7.5cmF4.5付きのローライコードI(1933年)が展示されていましたが、なぜ立体的に見えるのだろうかと、一般的に考えられるであろう理由をいくつかあげてみました。

1)入江泰吉の作風は立体的に見えるような構図の選択が多い。

2)入江泰吉の作品はパンフォーカス的でなく、手前の被写体にピントを合わせているのが多い。

3)フィルムカメラで撮影したから。

4)どちらもドイツ製のライカローライで撮影したから。

5)どちらも標準レンズで撮影したから。

6)当時の黒白フィルムは乳剤層が厚かったから階調が豊かだった。

7)当時のフィルムは使用する銀量が多かったから階調が豊かだった。

8)当時はあまりやらなかったであろう、プリント拡大率が半切と大きいので近くから見ると甘く見えるが、距離をとって見ると写真が階調的につながりをもって見ることができる。

9)バライタ印画紙で焼いているから。

 などなど、いずれも銀塩フィルム派なら喜びそうなことをあえて、上げ連ねてみましたが、当たらずとも遠からずといった感じです。では、現在のデジタルカメラではどうなのでしょうか?、まさか写真はデジタルカメラだと立体的な描写は得られないというようなことはありません。それはないはずですが、高画素タイプ(画素ピッチの細かい)の撮像素子になると、特定の場面では立体感が薄れるということは現実としてあります。こういう写真のもつ特性について、どこか大学の先生が解明してくれると助かるのです。いまや写真はエンジニア的な側面より、芸術的な部分での作品制作や写真史の研究が盛んですが、こういうことも研究テーマとして加わるといいなと思った次第です。入江泰吉作品展の会期は7月31日(日曜日)まで、百聞は一見に如かず、だまされたと思って、ぜひ足を運んで、作品を近くから・遠くからじっくり鑑賞してください。僕のいってることがお分かりいただけると思います。 (^_-)-☆

 ●写真画質の専門家、水口淳さんからのメール

 ちょっと気づくのが遅れたのですが、入江泰吉さんの写真に関するブログを先ほど拝見しました。じつは、先日、入江さんの写真展を見てまったく同じことを感じていました。画質の専門家として以前から問題意識を持っていたことでもありましたので、うれしくなってついメールをお送りしたという次第です。すみません。

 銀塩で、より立体感が感じられる理由も、もちろんあるのですが、ディジタルの側が立体感を損ねているというのも、両者の差を感じる大きな原因だと思っています。

 ディジタルで立体感がなくなる理由のひとつは、シャープネスの過度の強調にあります。シャープネスの補正は、レンズ等のMTF低下を補償し画質を向上させるたいへん有効な手段なのですが、記録された画像に適用するため、残念ながらレンズ性能によるMTF低下とデフォーカスによるMTF低下の区別ができません。

 過度に適用すると、デフォーカスによるボケが不自然になり、立体感を損ねてしまうのです。ディジタルの作品で、過度にシャープネスを適用してペラペラに薄っぺらく立体感が台無しになった作品を見るたび、残念な思いを抱いていました。今回の入江さんの作品は、必ずしもこのような小デフォーカスの部分を含むものばかりではありませんので、銀塩ならではの部分も含んでいると思います。

 それは、ディジタルよりも高い空間周波数が存在することと、現像効果によるシャープネス補正効果がディジタルとは異なった効き方をすること、それが鑑賞距離にうまく合致していること、などが関係していると思っています。少し前、日大さんのオリジナルプリント展でアダムスやウエストンの作品を見たのですが、高い周波数まで存在することによる、それは見事な立体感を感じました。

 これらのことは、ちゃんと調べて裏付けをとり、どこかで発表でもできればと思っているのですが、さて、ブログに書かれていたような市川さんのご期待にお応えできる日がくるかどうか・・・

注)文章は原文のままです。みなぐち じゅんさんは、日本写真学会会員で、ミノルタとソニーでカメラ開発を担当していました。  (20160803)

  さらなる続報です

●高橋 光太郎さんから

 市川さんの記事に関心を持ちつつ、私も先日この展覧会を拝見しましたが、立体感というか、遠近感というキーワードが頭に浮かびました。展示されていた多くの写真において、遠くの風景が霞んだように見え、実体より遠近感が強調されているように感じました。今のカメラやレンズは、遠くまで解像し過ぎて、もはや人間の感覚とのズレが出てきているのではないかと思った次第です。

●いはら ほつみさんから

 こちらの記事は私がデジタルで立体感を出すために行っている処理と考え方がにています。私の場合は鑑賞距離を考慮しながら解像感を落とす処理をしています。その上で少し細かい領域で明暗を強調していきます。人間の目にとってもっとも心地良い絵柄の細かさが画像の領域領域に応じて違った細かさであるなとは、経験値として思っております。おそらく、撮影時に明暗部をどう見極めてフレーミングをしているか、プリントワークの際に立体感をますようにどう焼き込み覆い焼きをするかそのあたりにかなと想像いたします。ちなみに、このあたりの技術を身につける上で一番役にたったのは、女性のメイクの方法で、それが、立体感をどう強調するかの最も良い解になっていると思いました。

●山木 和人さんから

 たいへん興味深く読ませていただきました。デジタル画像の場合、ナイスキト周波数が絶対的な解像限界を決めてしまうということも影響しているかもしれませんね。入江さんの展示会は拝見していませんが、作例にあるような作品の場合には、人間の視覚には近くにあるものの方がコントラスト高く、ディテールも見えて、遠くになるにつれてだんだんぼやけていくというのが通常の視覚体験だと思いますが、デジタルだとナイスキト周波数内にあるものは遠景にあるものも解像してしまい、視覚体験との逆転現象が起きることもあるのではないでしょうか?それに水口さんが指摘されたような輪郭強調が行われると、必要以上に山の稜線などがコントラスト高く見えてしまい不自然に見えるということがあるのかもしれません。本当のところはよくわかりませんが。

●山田 久美夫さんから

 遠近感や立体感を自然な形で強調する処理については、デジタルの時代になって、作者自身ができるようになったため、ご自身で画像処理をされるかたは、多かれ少なかれ、実践していると思われます(効果が出ているかどうかは別にして)。画像処理による、階調や色調、輪郭強調なノイズリダクションなどなどを駆使して、作者の意図を視覚的に伝わりやすくする作業が、作者自身の手で出来るのが、デジタルの最大の強み。しかし、いわゆる視覚誘導や細部調整による心理的な効果については、これまで、各自のノウハウとして蓄積されており、あまり表に出てこないのが現状です。もし、銀塩には感じられ、デジタルに感じられないのであれば、それはまだ、写真家側、もしくはもとの絵作りをするメーカー側が、デジタルを使いこなし切れていないということではないでしょうか?近年、デジタルの絵作りについての議論が希薄になっており、メーカー側も画質に関する進化を緩めている感がありますが、心を動かす写真という視点から見れば、まだまだ、やるべきことは山のようにあると思っています。銀塩時代に育ち、そのよさを知り、デジタル時代に生きている世代が、きちんとやるべき仕事だと思っています。写真家側もメーカーが作った絵作りに満足し、それが絶対的なものと考えている人もおられるようです。しかし、モノクロ時代、あれほど画面内で細部にわたり、きめ細かく処理した経験を持つ世代にとって、メーカーが作ったままの絵作りを最善と考えるのには大きな疑問があります。作者の意図を考えず一律的に作られたメーカーの絵作りを善し、作者が意図を持って画像処理で調整したものを是とする風潮が見受けられるのを残念に思う、今日この頃であります。なんか、偉そうなことを申し上げ、申し訳ありません・・・。

2016-07-11

サムスンのフラッグシップ機 NX1を使ってみました

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f:id:ilovephoto:20160709144834j:image:right 韓国サムスンのAPS-Cミラーレス一眼「SAMSUNG NX1」を使う機会に恵まれましたので使用感を報告します。このカメラが発表されたのは2014年ドイツケルンで開かれた写真映像見本市のフォトキナです。APS-C判2,820万画素裏面照射タイプのCMOS撮像素子を世界で最初に搭載し、15コマ/秒のAF撮影が可能、WiFiにIIIE802.11ac規格を採用し、4k映像信号をワイヤレスでPC/スマホ/モニターなどに転送でき、バッターが球を打った瞬間、ジャンプして飛び上がったところなどを簡単に撮れるサムスンオートショットと呼ばれるユニークな機能を搭載するなど、技術的にも大変意欲的なカメラでした。そして僕が最も注目したのは日本語文字の採用です。それまでサムスンは世界的に第3位のデジタルカメラメーカーとまでいわれたほどでしたが、それらのカメラは日本では発売されていなく、日本語対応ではなかったのです。それがNX1では、日本語対応になったのですから、いよいよ日本でも発売かとも一時は思われたのです。

 ところがNX1は海外では発売されたものの、日本では未発売どころか、2016年にはサムスンはカメラ製造から事実上撤退してしまったのです。これはサムスンのカメラ製造の屋台骨であったコンパクトデジタルカメラが、スマートフォン隆盛の影響をもろに受けたというのが大方の見方ですが、スマートフォンタブレットでも「Galaxy」という優良ブランドをもつ企業ならではの将来を見据えた判断なのでしょう。2010年に世界初のAPS-C判のレンズ交換式ミラーレス機であるNX10を発売して以来、短期間で数々の新機種を投入してきましたが、結局、レンズ交換式の高級機分野ではシェアを確保できないままに、コンパクト機とともに撤退を余儀なくされたわけです。そういう悲運のカメラですが、どのような実力をもっていたのでしょうか。いずれにしましても、左右640ピクセルの画像では判断するのは難しいので、全撮影結果を画素等倍まで拡大して見られるようにと、いつものように「京都MJのサーバー」にアップしてありますので、詳細はそちらをぜひご覧ください。 (^_-)-☆

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アジサイの向こうで:SamusungNX1、プロフェッショナルスタンダードズームレンズ16〜50mmF2-2.8 S ED OIS、焦点距離16mm(24mm)、プログラムAEモード、F4.5・1/400秒、ISO100、AWB≫