ついに息する人に声を掛けた。本年初声だ。 寝そびれたので、いっそのこととばかりに外出した。夜半の小雨は上っているが、曇り空で、アスファルトはあちこち濡れている。神社へ向う。もう初詣の人出もあるまい。そう思うのは私の常識足らずで、朝から参拝客があるものなのだろうか。 初詣の行列はなかった。が、境内のあちらとこちらとに、十人程度の集団がたむろしている。男はダークスーツにネクタイ。女もキャリアウーマンスーツ。いずれも正装だ。それらを縫うように進んでの独り参拝は、少々きまりが悪い。 無関心を装って、しばらく眺めた。どうやら定刻を待って一同拝殿に上り、宮司さんの祝詞を聴き、古式どおりのお祓いを受ける予約…