70年代のロンドンはまだ平和だった、気心知れた隣り近所

70年代のロンドンはまだ平和だった、気心知れた隣り近所

サッチャーは、そういう生温い社会に喝を入れる
 ために物欲をあおった。国民が物欲に目覚め、金
 儲けに狂騒し始めると、犯罪は急に増大した。
 殺人事件に強盗、住居侵入が普通になった。まさ
 にアメリカの小型版の国家に変貌していった。}
高尾慶子著『外国の男と結婚した日本の女たちの話』(23)
◇日本嫌いが日本のビジネスウーマンになった広子さん(10)
一九七〇年代のロンドン情勢(その2)

70年代のロンドンはまだ平和だった、気心知れた隣り近所

◆◇◆立ち読み・坐り読み◆◇◆

鈴木智彦『ヤクザと原発 福島第一潜入記』文藝春秋刊(54)

▼△第一章 私はなぜ原発作業員となったのか△▼

・福島コーリング・(その4)

●もはや『ロンドン・コーリング』を笑い飛ばせない

福島県公表:避難者数、仮設に9万7599人5月12日現在

◆◇◆立ち読みのはしご◆◇◆

高橋哲哉『犠牲のシステム 福島・沖縄』(集英社新書)☆(19)

▼△第一章 原発という犠牲のシステム〈19〉△▼
・責任からの遁走(その7)・

世論工作を含めて巨費を投じて推進される国策に巻き込まれる罠

高尾慶子著『外国の男と結婚した日本の女たちの話』(23)
◇日本嫌いが日本のビジネスウーマンになった広子さん(10)◇
一九七〇年代のロンドン情勢(その2)

70年代のロンドンはまだ平和だった、気心知れた隣り近所

《「 ・Olympic Flame touches down on the Isle of Man (The Olympic Flame is carried off of 'Firefly' by LOCOG Chief Executive Paul Deighton as the Flame touches down on the Isle of Man.) サッチャーは、そういう生温い社会に喝を入 れるために物欲をあおった。 国民が物欲に目覚め、金儲けに狂騒し始める と、犯罪は急に増大した。殺人事件に強盗、 住居侵入が普通になった。まさにアメリカの 小型版の国家に変貌していった。 銃を携帯しない警官として有名だった英国の 警官も、機関銃で巡回するようになった。そ して、二十一世紀にまで至る。 七〇年代のロンドンはまだ平和だった。移民 も少なく、日本のように隣り近所はみんな気 心知れた者同士。 朝からベーコン炒めにスクランブルエッグ、 トーストにコーヒーか紅茶の食事を国中が食 べていて、昼は、近くの店でフィシュ・アン ド・チップスか、スライスしたローストビー フ、夜は軽くサンドイッチと紅茶という風に、 みんな似たような物を食べていた。 それが大量の移民によって、習慣も食べる物 も多様化していって、英国の伝統は崩れてい った。 もう昔のように隣近所は気心の知れた人々の 集まりでもなく、宗教もキリスト教国と信じ ていたのに、大量のモズレムの移民で、国中 がブルカを被った女性、ヒジャブを被った女、 髭面の男であふれ、どこの国かわからなくな ってしまった。 ここは西洋化中近東か、はたまた南アジアか という様相で、移民は自分たちのコミュニテ ィをつくり英国化はしない。英国のナショナ リズムも伝統も崩れ去っていって、今や誰も この国を愛しはしない。 ・イギリスモード 」》 ◎ここでは、サッチャーは悪者扱いですが、 1979年の総選挙で保守党が勝利し、5月に、 サッチャー政権が誕生するのには、それなり の、要因がありました。70年代のイギリス では、さまざまなストライキが断続的に続き ました。 最悪なのは、1978年末から1979年始めにかけ て、基幹産業の労働組合が、大きな賃上げ合 意をしたために、公共サービス労働者もそれ に続こうとストライキに陸続と入っていきま した。 医者や看護師のストで病院は機能せず、給食 婦のストで学校は休校し、ゴミ収集人のスト でゴミは回収されず、墓堀人のストで死者が 埋葬されず、トラック運転手のストで暖房用 の灯油が配達されないなどの状態におちいり ました。 そんな情勢の中、サッチャーが登場し、国有 企業の民営化、金融引き締めによるインフレ の抑制、財政支出の削減、税制改革、規制緩 和、労働組合の弱体化などの政策を推し進め ていったのでした。 これらの政策により英国病の症状は、克服さ れていきましたが、サッチャー在任中には、 不況は改善されず、失業者数はむしろ増加し、 財政支出も減らなかったことや、反対派を排 除する強硬な態度などから、サッチャーは在 任中も、その後も、英国内では毀誉褒貶が相 半ばする存在となったのでした。 毀誉褒貶が相半ばする存在ならば、まだ結構 じゃないですかと言いたい。実は、誰かさん をほめたいところなのに、けなすタネしか見 当たらないのは、悲しい限りです。 (つづく) (Y299-129) **『外国の男と結婚した日本の女たちの話』 単行本:222ページ 出版社:展望社 (2012/02) 《――英国から万感の思いを込めてレポートする―― Inter Marriage と 日本女性のメンタリティ。異国に あってこそわかる……「日本」のこころ。〈東日本大 震災〉をとおしていっそう深まった母国への「愛」。 東日本大震災福島原発事故の現状を知って以来、私 は自分自身ががいかに「日本人」として母国に愛着が あるか改めて思い起こし、「日本」を書こうと決意し た。もう経済大国でも何でもない母国日本が、今は愛 しいと感じるようになった》 〔表紙帯から〕 〔目次〕 ・マルキストエジプト人と結婚した明子さんの場合 ・ロンドン生まれの英国人と結婚した三千代さんの場合 ・日本嫌いが日本のビジネスウーマンになった広子さん   の場合 ・ジャマイカ人の男と結婚した友子さんの場合 〔著者〕 ☆高尾 慶子(たかお けいこ)☆ 1942年姫路市生まれ。私立播磨高校から調理師専門学校に 進む。カトリック系病院の調理師、カトリック系身体障害 児施設の職員を経て、1972年に英国へ。イギリス人音楽家 と結婚。1976年二人で帰国し京都で暮らす。1982年離婚。 1988年に再び英国へ。ロンドンの日本レストランのウェイ トレス、映画監督リドリー・スコット氏邸のハウスキーパ ーなどを経て、1998年『イギリス人はおかしい』を発表し、 注目を浴びる。現在は、英国政府から年金の給付を受けつ つ執筆活動に専念している 著書は『イギリス人はおかしい』『イギリス人はかなしい』 『イギリス人はしたたか』『まだまだ言うぞイギリス・ニ ッポン』『書かずに我慢できないイギリス・ニッポン』『イ ギリス・ニッポンの政治の品格』ほか。 外国の男と結婚した日本の女たちの話 参照: ・2009-11-30『まだまだ言うぞ イギリス・ニッポン』を読む2011-06-24『イギリス・ニッポン政治の品格 』(1)

高尾慶子著『外国の男と結婚した日本の女たちの話』(23)

◆◇◆立ち読み・坐り読み◆◇◆

鈴木智彦『ヤクザと原発 福島第一潜入記』文藝春秋刊(54)

《「原発はタブーの宝庫。だからオレらが儲かる!」   某地方の暴力団組長   −暴力団専門ライターが実際に動いたからこそ    書ける原発という巨大なシノギ−  「原発は儲かる。どでかいシノギだな。電力会社と交渉して、   ゼネコンと話付けて、地元の土建屋に仕事を振る。代紋な   しではとても捌ききれん。原発はタブーの宝庫。裏社会の   俺たちには、打ち出の小槌となるんだよ」。ヤクザが語る   衝撃の事実。日本最大のタブーがいま明かされる!   ―誰も書けなかった 命懸けの衝撃ノンフィクション―》   【表紙帯から】 

▼△第一章 私はなぜ原発作業員となったのか△▼

・福島コーリング・(その4)

●もはや『ロンドン・コーリング』を笑い飛ばせない

《「――放医研はリアルタイムで被爆者の治療を行なっている最先端 医療機関である。1F(東京電力福島第一原発)での被爆者も、最後 はここに運ばれる。 医者には守秘義務があり、東電もこれまでの治療の実態を、プライベ ートを理由に明らかにしない。このお願い(放医研からの)はつまり、 様々な制約を持つ放医研がギリギリ発信できる国民に対する注意報で はないのか? おそらく放医研は、今後の1Fでの作業は厳しいものなると実感して いる。日々の治療や測定で、急性症状が出てもおかしくない被爆――  1000ミリシーベルトの線量を食ってもおかしくないと感じている から、こうしたお願いを出したのではないかと推測する。 イギリスのパンクバンド、クラッシュには『ロンドン・コーリング』 という名曲がある。 反原発運動の最盛期、将来、放射能に汚染されたロンドンのラジオ局 が、必死に実況中継を行う衝撃的な歌詞が全世界の若者に支持され、 大ヒットを記録した。 1Fの現状を知る私には、もはや『ロンドン・コーリング』を笑い飛 ばせない。『福島コーリング』の可能性は十分ある。 ――」》
The Clash - London Calling
(GimmeBackMyBullets75さんが 2011/03/11 にアップロード) ヤクザと原発 福島第一潜入記文藝春秋 (2011/12/15) ・〈目次〉・ 序 章 ヤクザの告白「原発はどでかいシノギ」 →第1章 私はなぜ原発作業員となったのか 第2章 放射能vs.暴力団専門ライター 第3章 フクシマ50が明かす「3・11」の死闘 第4章 ついに潜入!1Fという修羅場 第5章 原発稼業の懲りない面々 終 章 「ヤクザと原発」の落とし前 ◎ちなみに、原子力発電所で働いている人たちは、1年間で10万人 程度いると予測されています。このような放射線業務従事者を対象に 言われているのが、「1年間で20ミリシーベルト以上浴びるな」と いう被爆量なのです。 それがですよ、昨年04月30日の事故対策統合本部の会見で、細野豪志 首相補佐官(当時)は、子どもに年間20ミリシーベルトの高い放射線 量の被ばくを認めることになる政府の基準を批判し、小佐古敏荘・東 大教授が内閣官房参与を辞任したことについて、「原子力安全委員会 のアドバイスを受けてこの基準を採用した」と述べ、問題がないこと を強調したのでした。恐ろしい無知蒙昧。

福島県公表:避難者数、仮設に9万7599人5月12日現在

◆◇◆立ち読みのはしご◆◇◆

高橋哲哉『犠牲のシステム 福島・沖縄』(集英社新書)☆(19)

《経済成長も安全保障も「犠牲」の上に成り立っている。  『靖国問題』以来、6年ぶりの書き下ろし新書!  本書のテーマは、犠牲のシステムとしての福島と沖縄  である。それは、一九四五年の敗戦以後、今日までの  日本を「戦後日本」と呼ぶなら、これら二つの地名が、  戦後日本の国家体制に組み込まれた二つの犠牲のシス  テムを表しているからだ。》【表紙帯から】
▼△第一章 原発という犠牲のシステム〈19〉△▼
・責任からの遁走(その7)・

世論工作を含めて巨費を投じて推進される国策に巻き込まれる罠

《「――経産省や東電は、あらゆる機会にあらゆる手段で、「多重防 御システムだ」「自然災害による事故も絶対ありえない」などと言っ てきた。 それだけ言われば、地域社会が信用するのは当然だった」(佐藤前知 事)。 かっての戦争と同じく、世論工作を含めて巨費を投じて推進される国 策に巻き込まれないことは難しい。 たしかに、「騙される」には「騙される側の責任」もないとは言えな い。しかし、補助金も何も地元にとっては「安全」が前提であって、 その前提なしに原発を受け入れる住民は存在しない。 大事故と補助金との「等価交換」など成り立たないのである。 この意味で、「絶対安全」の宣伝にお墨付きを与えてきた原子力科学 の専門家、学者・技術者たちの責任は重い。 経産省の下に組織された無数の委員会や審議会の役職を務め、巨額の 研究費を電力会社から提供されてことで国策に取り込まれてきた学者 たちのなしには、「原発安全神話」は成り立たなかった。 広告費欲しさに「安全」宣伝を垂れ流し、批判的なスタンスの学者・ ジャーナリストを排除してきた、テレビなどマスメディアの罪も同断 である。 ――」》 ◎「SPEEDI」には、20年以上にわたって100億円を超える 税金がつぎ込まれてきました。ところが、原子力安全委員会斑目春 樹委員長は、その公開遅延を指摘されて、「SPEEDIのデータが 迅速に公開されたとしても、住民の避難には役に立たないのだ」と発 言したのでした(素人にはわからんとばかりに!)。ポカン? 犠牲のシステム 福島・沖縄 (集英社新書)集英社 (2012/1/17) ・〈目次〉・ 第一部 福島 ・第一章 原発という犠牲のシステム ・第ニ章 犠牲のシステムとしての原発、再論 ・第三章 原発事故と震災の思想論 第ニ部 沖縄 ・第四章 「植民地」としての沖縄 ・第五章 沖縄に照射される福島 〈参考〉 ・沖縄県民斯く戦えり・  発 沖縄根拠地隊司令官    (大田實・海軍少将)  宛 海軍次官  左の電文を次官に御通報方取り計らいを得たし  (略)  一木一草焦土と化せん。糧食6月一杯を支うる  のみなりという。沖縄県民斯く戦えり。  県民に対し、後世特別の御高配を賜らんことを。              〈昭和20年6月6日〉

≪都会歳時記≫

[都市・現代の視座1000句]句集 古家 元「文學の森」刊]
〔夏〕 動物  江の島は彼方手のひらにかたつむり
http://shop.bungak.com/products/detail.php?product_id=143

≫平成万葉集

読売新聞社 (編集)、「万葉のこころを未来へ」推進委員会 (編集)
日本海を二分けにして切り立てるここ禄剛埼は奥能登の崖
進士幸子(80歳)石川県

◆◇◆悪魔の辞典より◆◇◆

アンブローズ ビアス (著)、Ambrose Bierce (原著)、 西川 正身 (翻訳)
日(day n.)
その大部分は浪費に終わるのが常である二十四時間から なる一期間。この一期間は、二つの部分、つまり、真正 の日と、夜ないし真正ならざる日とに分かたれ――前者 は実務の持つさまざまな罪のためにもっぱら使われ、後 者はいま一つ別の種類の罪を犯すのに捧げられる。而し てこの二つの種類の社会活動は、その一部分がお互いに 重なり合っている。 新編 悪魔の辞典 (岩波文庫)

☆★☆言えそうで言えない英会話表現☆★☆

彼は正直な人みたいね。
He has the look of an honest man.
<NHKラジオ 「英語5分間トレーニング」岩村圭南 講師> ※この番組の放送は4月1日で終了しています。

◎◆◎アートのたのしみ《英国篇》◎◆

J.W. Waterhouse“オデュッセウスとセイレーン”
(Ulysses and the Sirens) (1891年・National Gallery of Victoria, Melbourne, Australia) ◎半身女性で、半身が鳥(のちに魚)の三人の姉妹。 鳥の翼を持ち、美しい歌声で船乗りたちを魅してし まいす。この歌声を聞いた船乗りたちは、岩に船を 衝突させてしまいます。オデュセウスはこのことを、 魔女キルケから警告されていました。 オデュセウスはとも(船尾)の水夫たちの耳に蝋を 詰めさせて、歌声が聞こえないようにしました。そ して、自らは、身体をマストに縛り付けたのでした。 オデュッセウスセイレンたちの美しい姿と歌声が 聞こえると、もう、たまらなくなり、マストを引き 抜き海に飛び込んでしまいそうになりましたが、幸 いも仲間が彼を押さえつけてくれたおかげで、無事、 その海域を通過することができました。ちなみに、 セイレーンは「サイレン」の語源となっています。 ◇ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス (Jhon William Waterhouse〈1849-1917〉) ・イギリス ラファエル前派・ ウォーターハウスは、父が画家でたびたびローマに滞在して いた関係で、ローマで出生。この年、イタリアではガリバル ディのシャツ隊がローマを占拠する統一戦争が起こり、イギ リスでは、アカデミズムに反旗を翻したラファエル前派の作 品がロイヤル・アカデミーなどの美術展に初めて出品された ました。 ウォーターハウスは、父親のアトリエで絵を勉強し、1870年 にアカデミー美術学校に入学。アルマ・タデマの影響もあっ て、古代史に題材を取った絵が多い。ロイヤル・アカデミー でも成績がよく、「魔法の円」が国に買い上げられたり、多 くの賞を取っています。後期の作品にラファエル前派的な作 品が多い。バーン・ジョーンズのように詩情にあふれていま すが、ウォーターハウスの方がより造形性、素描力が優れい ます。古典と新風がよく調和した画風を世におくりました。