県幹部と各市町村長、議会議長による県・市町村行政懇談会が31日、県庁で開かれた。国と県で協議を進めている国道や1級河川の権限移譲について、斎藤弘知事が説明。首長側から「市長会などで以前から慎重に対応してほしいと要望している」「防災上の安全性確保の面でも、国が管理し続けるべきであり、安易に移管を受けるべきでない」など、不明確な権限移譲に否定的な意見が相次いだ。
 地方分権改革推進本部が示した第1次勧告では、一般国道の国直轄区間のうち地域内交通を担う道路や、1つの都道府県内で完結する1級河川の管理などの権限を当該の都道府県に移管するとしている。総務、国土、財務の3省は、権限移譲に関し、直轄事業における国負担率並みの交付金による財政措置などを検討することで合意。本県では、国道112号や赤川などが対象になっている。懇談会で、斎藤知事は国道と河川の権限移譲を進める上で、「分権ありき」と「市町村の意見の尊重」が大前提との見解を示し、年内を目標に進められている第2次勧告に向け、国との協議を進めていることを紹介した。これに対し、首長側から「災害時を考えると、安全性の面からも高い対応能力を持つ国が継続して管理することが、住民の安心感にもつながる」「地方への移譲だけが先行し、制度設計、さらに移管に際しての担保も不透明で、不安ばかりが募っている。受けるのは時期尚早」など、現段階での移管受け入れに批判的な声が上がった。斎藤知事は「まだまだ制度も流動的であり、いろんな機会をとらえ、現状を報告しながら、皆さんの意見を聞いていきたい」などと語った。

本記事では,山形県において県・市町村行政懇談会が開催され,同県知事より,地方分権改革推進委員会における審議状況等の説明の後,市町村長等との間で意見交換が行われたことを紹介.同県HP等においても同懇談会の情報を把握することができず,詳細な内容については現段階では分からない.残念.
同記事の報道を拝読させて頂く限りでは,市町村側からは「不明確な権限移譲に否定的な意見が相次いだ」とのこと.同記事にもある一級河川に関する地方分権改革推進委員会での審議では,一の都道府県内で完結する53水系うち「都道府県への移管候補は,40%程度」*1と資料説明がなされたこともあってか,11月2日付の読売新聞では国土交通省から提示された移譲対象候補案は20水系に絞られつつある様相にあるが*2,市町村側からすれば,公開討議は開催されてはいても『第二次勧告』の内容(及びその後取扱)への「不確実性」があることと,更には『第二次勧告』が確定し,実施に至った場合での新たな実施主体(都道府県)に対する「不確実性」という「二重の不確実性」に直面するなかで,いわば「予期の予期」*3を強いられる現状からすれば,確実性の高い現行制度維持への反応が多くなることも仕方がない部分もあるのだろうか.ただ,同種の不確実性を縮減する仕組みが,「協議の場」であることは確か.
同「協議の場」こそが,3月8日の本備忘録4月24日の本備忘録8月22日の本備忘録でも取り上げたように「条例による事務処理特例制度」を対象におき,近年,下名が高い関心持ちつつ,観察し続けているテーマの一つ.10月31日に公開された,いわゆる集中改革プランの取組状況(2005年〜2007年)を見てみると,同期間内に新設された「市町村との協議の場や研究会の設置」は,13自治体であったことが分かる.これは,2004年度末では27自治体であった同種の「協議の場」が,昨年度末までに40自治体で設置済であることになる(なお,2006年度からは,2自治体が新設)*4.そのため,同省による全国的な動向把握は,非常に参考となる調査結果.
ただ,同省の調査結果からは,数値のみの公開に止まっており,具体的な機能を把握することができないことは仕方がないとしても(これは,下名のお仕事),実際に,市町村と都道府県間におかれている「協議の場」のうち,具体的にどの「場」を指しているかが把握できないという難点もあるようにも思われる.例えば,同県の場合のように,公選職者との間で協議(懇談)が行われるような「県・市町村行政懇談会」が,同調査にいう「場」に該当するのか,または,担当者間での協議が行われるような「県・市町村地方分権検討委員会」*5のみを特定しているのだろうか.同調査結果の公表のみでは,調査結果の含意を峻別ができない部分も残る.
限られた観察結果からは,実際には,両方の「協議の場」を設け,をいわば「政治と行政」とが相補的に機能することで,何れかもが「意思決定の場」と「意思表明の回路」*6となり,「協議」から「同意」へと結びつくようにも観察しているが,どうなのだろうか.もう少し観察を深めたい.