児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童に対する福祉犯の端緒


 そもそも人が動けば必ず痕跡が残る。相手方がいれば相手方の記憶にも残る。端緒はどこにでもありますね。
 ラブホテルでは自動車のナンバーを記録していることが多い。証拠でもよく見かけます。

 どこからバレるかわかりませんが、携帯の通話・メール履歴というのが有力らしいです。
児童買春の相手方が児童買春の件や他の件で警察に駆け込む場合も多いようです。
 取り締まる側としては、「少年少女の補導・保護強化」が端緒となるんでしょうね。

事例集
生徒の母親が昨年十月、同署に「娘の金遣いが荒い」と相談したことで発覚した。

周旋された生徒の買春を巡っては、町職員ら五人がすでに逮捕されており、その捜査の中で周旋の事実が判明した。

無職少女が、サイトを通じて知り合った別の男性とのトラブルを警察に相談し、発覚した

同月19日に県警のサイバーパトロールが発見し捜査していた

元教諭が8月、16歳の少女と性的関係を持った容疑で逮捕され、自宅からCDに、容疑者の画像が含まれていたことから発覚した。

 同署に、昨年八月三十一日、「パソコン通信ネットの掲示板に、女子高生などとのみだらな行為を撮影したビデオの販売広告を出している者がいる」との通報が寄せられ、事件が発覚した。

事件は女子生徒の友人の家出騒動が端緒で発覚。

同署はこの少女を補導したのをきっかけに、昨年7月にも、牛久市の会社員を児童買春容疑で逮捕している。

通学先の高校に、高校生の裸の写真が入った差出人不明の封書が送りつけられて発覚した。

昨年8月に県警に匿名メールの相談があり、事件が発覚した。

少女が別の児童買春被害に遭い、同署などが事情を聞いたところ、酒井容疑者の犯行が発覚した。

女子生徒の携帯電話に同容疑者の電話番号が残されていたことから発覚した。

昨年末、福岡県警の相談窓口、少年サポートセンターに匿名の相談が寄せられて発覚。

女性が同署に被害を届け出て発覚

女子生徒を補導して発覚した。

6月にドイツの警察当局からICPO(国際刑事警察機構)を通じ、捜査要請があった。

八月に強制わいせつの疑いで逮捕されており、那覇署などの取り調べで余罪が発覚した

流通経路の捜査過程で、インターネットを通じて児童ポルノビデオを販売していた大分県津久見市の無職の男(26)(児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕)が浮上、男の自宅を調べたところ、容疑者と中学生の映ったビデオが出てきた。

県警は9月、この少女にわいせつ行為をした疑いで被告(42)=同罪で起訴=を逮捕。被告と少女の供述からhの存在が浮上した。

容疑者が約五万円を支払うと約束したのに五千円しか支払わなかったため、女子中学生が男性の友人三人とともに同容疑者の勤務先に押し掛け、金を要求。困った同容疑者が一一○番し、事件が発覚したという。

 中学生と高校生の保護者から「娘が家に帰らなくなり、行動がおかしい」との相談を受けた両署が捜査し、両容疑者を特定した。

同署は、逮捕時に容疑者が同じ名刺を複数持っており、自宅から押収したノートに数十人の少女の名前が記載されていたことから、ほかの少女にも同じ手口でいかがわしい行為をしていた可能性もあるとみて同容疑者を追及する。

容疑者は銀行のキャッシュカードを渡したが、偽の暗証番号を教えられ、金を引き出せなかった少女が、同じ出会い系サイトの掲示板に再び別の名前で登録。今年1月下旬、別の少女と思い込んで兵庫県川西市内の待ち合わせ場所に現れた容疑者に、少女とその男友達(18)が、金を払うように迫って口論となり、通行人が110番して事件が発覚した。

同署は昨年9月下旬、同店を家宅捜索し、わいせつビデオ計211本を押収。店長ら2人をわいせつ図画販売目的所持の疑いで逮捕した。押収したビデオを専門医が鑑定、モデルの少女が18歳未満と確認されたという。

こうした被害者のうち、後ろめたさや恐怖感から家族に打ち明けられず、被害届を出さないケースも多く、今回の事件でも府警が押収した両容疑者のメモから発覚した犯行もあった。

女子児童一人の両親が娘の財布に所持金が多いことに気づき、問いつめたところ、事情が発覚し、県警に相談した。

横浜税関川崎外郵出張所の職員が、米国の同じ住所地から複数の日本人名で郵便物が送られていたことから不審に思い、検査したところ、DVDが見つかったという。

 同署によると、女生徒の保護者から「娘が援助交際をしているのではないか」と相談を受け、事件が発覚。容疑者は名前や職業を教えていなかったが、女生徒が車のナンバーや特徴を覚えていたため浮上した。

 同署によると、容疑者が現金を払わずに逃げたため、少女がホテル前で騒ぎ、通行人が110番通報。駆け付けた同署員が少女から事情を聴き、事件が発覚した。同容疑者は容疑を認めているという。

先月15日、同市南区の男性に別の少女の買春をあっせんした容疑で逮捕されていた。

 同容疑者と中学生はツーショット・ダイヤルを通じて知り合った。買春については中学生の方から持ち掛けたという。少女のうちの一人が警察に補導されたことから、発覚した。

 画像を発見したドイツの警察当局から国際刑事警察機構(ICPO)を通じて通報があり発覚した。

被告は今年八月、足立区の女性(21)からプロダクション登録料名目で一万二千円をだまし取ろうとした詐欺未遂罪で起訴されており、同課が余罪を追及する中で、わいせつ行為が発覚した。

 新宿署が、歌舞伎町付近にいたこの少女を補導したことから発覚した。

会社員の携帯メールの通信記録などから二人を割り出した。


 容疑者は少女に渡した現金入りの封筒の中身を、すきを見て白紙にすり替えた上、自分の身元が分からないように少女の携帯電話二台を壊したため、怒った少女が一一○番。

容疑者は既に、女子中学生(14)に偽札を渡してみだらな行為をした児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪で起訴されているが、いずれの犯行も、女子中学生の知人の男2人が、この偽札を使って逮捕されたことから発覚した。

同県警が別の事件で押収した携帯電話に画像が残っていたことから、犯行が発覚した。

少女が八月下旬に補導されたことから事件が発覚した。

女子生徒の家族が同署に相談して事件が発覚した。

警察庁は今年6月から山形、千葉、岡山の3県で新システムの試験運用を開始。「第1号」として山形県警が7月、児童買春禁止法違反の疑いで専門学校生を逮捕した。

女子生徒が一連の児童買春事件報道を見て、「援助交際」をやめようと同署に相談に訪れ発覚した。

少女の母親が8月に同署に相談に来て発覚した。


県警は十月、児童福祉法違反容疑で出張ヘルス店を摘発。少女が×市の店にも派遣されていたため同店を家宅捜索し、押収資料などから被疑者を割り出し、今月七日逮捕した

その後、少女が教師に相談し、学校側が署に届け出ていた。

容疑者はこの画像をインターネット上で流していた。この生徒が9月4日、同署に被害届を出し発覚した。

被害者の女性店員(17)の記憶をもとにシステムで作成し、似顔絵にそっくりの男が市内のホテルを利用していることを突き止め、身元を割り出した。

通常のビデオ作品以外に裏ビデオを販売しているとの風評があり、内偵していたという

小牧署などが匿名の情報を元に捜査していた。

それでも「児童買春&時効」「児童買春&公訴時効」「児童売春 時効」「回春 時効」「援助交際 時効」「円光 時効」「援交 時効」で検索する方へ

http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/child/bunken.htm
 「児童売春」「回春」は間違っています。
 「円光」「援交」「¥交」とかの隠語はキリがないですね。

 作曲家逮捕ですか?急に検索が増えました。「無料」「匿名」電話相談も頻繁です(勘弁して下さい)。
 逮捕報道があると不安になるようです。
 「暗数」が見えてきたようです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040422-00000140-kyodo-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040422-00000478-jij-soci

 一応児童買春罪だけなら3年、13歳で致傷なら10年で、中間の罪もありますけど。それを聞いて安心できますか?罪を犯していれば、逮捕される危険性は変わらないと思います。
罪を犯していてもできるだけ逮捕されないように・被害児童への慰謝も行えるようにするのが弁護士の仕事だと思っています。

 この種の犯罪で逮捕されれば、たとえ刑事処分が罰金・執行猶予であっても、その後の人生は大きく変わります。

 よくある「逮捕されたら御願いします」みたいな予約はこの意味では無意味だ。また、だいたい、逮捕されたら頼りになるのは、すぐ来てくれる身近な弁護士であって、いつ逮捕されるのか決まっていないのだから、予約は無意味である。



http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/child/bunken.htm
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20040416#p6
 よく質問されるので念押ししておくと、児童買春罪なら時効は一応3年であるが、容疑を強姦・強制わいせつ・児童福祉法淫行罪等の重い刑に切替えれば、時効を延長できるし、実質的には強姦・強制わいせつ・児童福祉法淫行に該当する行為を「児童買春罪」として「軽く」「広く」「迅速に」処理している実務からすれば、児童買春行為を他の重い罪(強姦・強制わいせつ・児童福祉法淫行罪等)で立件することは比較的容易であり、不当とは言えない。だから、児童買春罪の公訴時効を気にしても、必ずしも有益ではない。

 要はやった行為と適用される罰条によって、公訴時効は変わるのである。今さら、どうしようもないことである。

 一応の目安として関係条文を挙げる。
   刑事訴訟法第250条〔公訴時効の期間〕
   時効は、左の期間を経過することによつて完成する。
   一 死刑にあたる罪については十五年
   二 無期の懲役又は禁錮にあたる罪については十年
   三 長期十年以上の懲役又は禁錮にあたる罪については七年
   四 長期十年未満の懲役又は禁錮にあたる罪については五年
   五 長期五年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金にあたる罪については三年
   六 拘留又は科料にあたる罪については一年

  関係する罪の法定刑
   児童買春(4条)
    3年以下の懲役又は100万円以下の罰金
   児童買春周旋(5条)
    1項 3年以下の懲役又は300万円以下の罰金
    2項 5年以下の懲役又は500万円以下の罰金
   児童買春勧誘(6条)
    1項3年以下の懲役又は300万円以下の罰金
    2項5年以下の懲役又は500万円以下の罰金
   強制わいせつ(176条)
    6月以上7年以下の懲役
   強姦(177条) 
    2年以上の有期懲役(15年)
   強制わいせつ致傷・強姦致傷(181条)
    無期又は3年以上
   淫行勧誘(182条) 
    3年以下の懲役又は30万円以下の罰金
   児童福祉法淫行させる行為(34条1項6号)
    10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
   青少年保護育成条例 
    自治体によって異なる。上限は懲役2年。

サイバー犯罪条約とわいせつ図画

 サイバー犯罪条約児童ポルノについて規定していますが、わいせつ図画については規定していない。
 わいせつ図画についての刑法改正は、サイバー犯罪条約とは関係ないって、法制審議会の会議録にも出てたと思うよ。
  法制審議会030414
  それから,要綱の第二の「わいせつ物頒布等の罪の改正」につきましては,
  直接にはサイバー犯罪条約に対応するものではございません。

 東京地裁判決のその部分は訂正してもらいたいところだ。


http://courtdomino2.courts.go.jp/kshanrei.nsf/0/06AE18CE0A3B7D2D49256E530022F513?OpenDocument
事件番号  :平成14年刑(わ)第3618号
事件名   :わいせつ図画頒布
裁判年月日 :H16. 1.13
裁判所名  :東京地方裁判所
部     :刑事第2部
 b(a) しかしながら,日本国内においても,近時,様々な性表現物が氾濫して,一般の人々にも比較的容易に入手可能な状態となり,その内容も過激さを増してきており,その傾向は,インターネットの普及によって更に強まってきていることがうかがわれるところ,このような性表現物をめぐる社会状況の変化は,それ自体,性的秩序やその基礎となる最少限度の性道徳,更には健全な性風俗の維持にも脅威を及ぼしかねないものというべきである。
 (b) こうしたインターネットの普及を受けて,いわゆるサイバー犯罪への対応のため,平成13年11月,「サイバー犯罪に関する条約」が欧州評議会で採択され,我が国もG7諸国や欧州の大多数の国と共に同条約に署名している。その後,法務大臣は,同条約の締結批准に向けた法整備のために,法制審議会に対し,ハイテク犯罪に対処するための刑事法の整備に関する諮問を行い,これを受けて,法制審議会は,平成15年9月に,その要綱(骨子)の答申を行ったが,その審議の過程において,刑法175条の処罰範囲を,わいせつな電磁的記録に係る記録媒体の頒布等のほか,電気通信の送信によるわいせつな電磁的記録その他の記録の頒布等といったいわゆるサイバーポルノに拡張するための改正(同要綱(骨子)第2)については,全会一致で採択されている(ジュリスト1257号参照)。
 このようなサイバーポルノ規制の立法化に向けた動きは,我が国の法律専門家の間で,わいせつ物の頒布等を処罰する必要性のみならず,その処罰範囲をサイバーポルノにまで拡張する必要性についても,コンセンサスが得られていることを示すものである。
 (c) また,刑法175条の運用状況についてみても,露骨な性表現を内容とするビデオテープ,DVD,写真集等の頒布等については,今日においても,捜査当局による摘発が頻繁に行われ,その相当数が同条により処罰されている。すなわち,警察によるわいせつ物頒布等被疑事件の検挙人員は,昭和58年の2388人をピークに減少傾向にはあるが,平成10年が881人,平成14年も483人(このうちネットワーク利用犯罪の検挙件数は109件)を数える(各年度の犯罪白書による。)。わいせつ物頒布等の罪で有罪判決又は略式命令を受けた人員についても,ほぼ同様の傾向がみられるのであり,詳細な罪名別の統計が公表された最終年である平成10年には,有罪判決を受けた者が218人,略式命令を受けた者が311人の合計529人に及んでいる(各年度の司法統計年報2刑事編による。)。そして,このような刑法175条の運用について,一般国民から,特に不当とみられることなく,むしろ当然のこととして受け入れられていることは,公知の事実である。
 この点,捜査当局による摘発は,おびただしい数に上る性表現物の一部についてのみ行われ,同様の露骨な性表現物であっても,その相当数が摘発を免れているとうかがわれるが,これは,捜査当局の人員や捜査能力の限界に基づくものにすぎず,露骨な性表現物が事実上放任されているなどと評価すべき筋合いのものでないことはいうまでもない。

児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書の締結について承認を求めるの件

http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1D94596.htm
参議院審議終了年月日/参議院審議結果 平成16年 4月21日/承認

 児童ポルノ法の改正はどうなっているんでしょうか?
http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/child/031019.htmでは弱腰姿勢を批判しています。
2)改正案
 改正案は、立法義務がある上記①②については明文規定を置いているが、③については規定していない。
 また、上記の留保可能部分は全部留保する結果となっている。
 結局、改正案は条約の規定に対して、総じて消極的である。
(3)児童ポルノ取得勧誘罪の可罰性について。
 ここで上記③の取得勧誘罪の創設について検討する。
 取得勧誘罪・利用可能にする罪については留保できないが、そもそも可罰性の根拠は何なのか。また、取得行為(留保可能)を処罰しないで取得勧誘等(留保不可)のみを処罰することの合理性についても検討しなければならない。
 思うに、条約では取得行為・送信配付行為ともに処罰することを前提にしているので、取得勧誘罪はそれらの前段階の関与形態として処罰を求めているものと解される。
 もとより現行法が児童ポルノを譲り受ける行為を処罰していないのは、わいせつ物の罪(刑法175条)の体裁を借用したものであって、積極的な理由はない。
 わいせつ物の場合に、譲り受けた者が処罰されないのは、わいせつ物の罪は反復継続性・営業犯性を予定しているが、譲受人には反復継続性・営業犯性が認められないこと、保護法益は社会的法益であるから多数回行われて初めて可罰的と評価されることによると解される。また、講学上は、必要的共犯の一方だけを処罰する規定がある場合には、他方には刑法総論の共犯処罰規定は原則として処罰されないとされるから、取得者は販売・頒布罪の共犯にも当たらない。
 しかし、児童ポルノ罪の場合は、児童ポルノに関する行為は、描写された者への性的虐待・商業的搾取(個人的法益の侵害)であるが故に処罰されるのであるから、必ずしも、反復継続性・営業犯性は当罰性の要件とならないし、また、取得者を共犯として処罰しない理由はない。従って、児童ポルノの取得行為には当罰性が認められるし、販売・頒布罪の共犯も成立しうると解すべきである。
 
 また、条約上、取得勧誘行為の主体を販売者に限定せず、販売罪とは別個に児童ポルノ取得勧誘行為を処罰する理由は、取得行為自体の可罰性に基づくものと解されるところ、取得勧誘行為による法益侵害は取得行為そのものの法益侵害よりも間接的であるから、取得勧誘行為を処罰して、取得行為は処罰しないというのは一貫性に欠けるし、取得勧誘行為の処罰理由を説明できない。
 この意味で、立法論として、取得勧誘行為の処罰を検討するにあたっては、取得行為の処罰の可否を議論することが不可避である。改正案はこの議論を避けるために取得勧誘行為の処罰化を見送ったとも観測される。
 
(4)まとめ
 結局、改正案は条約に対して総じて極めて消極的な対応であるだけでなく、必要な議論を先送りにして、条約上の立法義務を十分に果たしていないと評価せざるを得ない。
 

警察庁指定「サイバー犯罪」

サイバー犯罪条約も国会通過です。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1D943CA.htm
参議院審議終了年月日/参議院審議結果 平成16年 4月21日/可決
 著作権法の送信可能化・公衆送信の処罰化についても規定されています。


ということで、こういうニュース。
http://newsflash.nifty.com/news/ts/ts__kyodo_20040422ts005.htm
警察庁が「サイバー犯罪」認定(共同通信)
 だとかいっても、捜査方法は相変わらず、物と人の確保ですから、警察も犯人も弁護人も東奔西走させられるわけですよ。
 その割りには法定刑が軽い・1件当たりの被害額が小さいというので、やっぱり目先の強盗・殺人事件に人手を割くことになって、「サイバー」は後回しになる。
 ハイテク犯罪では、大阪府警は目立たないでしょ。

なお、サイバー犯罪条約については日弁連の報告書が出ています。
http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/child/jfba030506syber.htm
第4 立法の必要性
1 立法の必要性
 現行法で担保されておらず、かつ留保が許されない部分については、立法が急がれる。
 すなわち、経産省報告書が言うように「同項の『児童ポルノ』の定義規定を改正し、児童ポルノ画像データが含まれることを明文で追加するか、又は児童ポルノデータをコンピュータ・システムを通じて送信すること」、および、「コンピュータ・システムを通じて児童ポルノの取得を勧誘し又はその利用を可能にすること」について立法の必要がある。
 ただし、新規の構成要件を追加するに当たっては、次のような問題点を解決する必要がある。
 

製造罪の罪数処理

 媒体の容量が大きくなると、児童ポルノ等の違法データを次々追加して記録することも多くなるであろう。
 製造罪の罪数を生成された媒体の個数を基準にして決めるとすれば、最終的には1個の児童ポルノ媒体が作られたから1罪ともいえる、製造行為に着目すれば、記録するたびに1罪ともいえる。
 製造罪を作った人は、こんな論点考えたこともなかったであろう。弁護人も手探りなら、裁判所も手探りで、被告人はそんな法律で実刑を宣告されたりしている。

著作権法違反でも同じ論点が出てくる。


東京高裁H15.6.4原田説
 一個の機会に撮影して製造した物は一罪と解するべきであるが,本件のMOについては,全く別の機会に製作されたファイルが追加記録されているのであるから,媒体は同一でも追加記録は別罪を構成するものというべきである。原判決の「弁護人の主張に対する判断」の1は,画像データが同一でも別の媒体に複写すれば製造に当たる旨を説示したにすぎず,媒体が同一であれば一罪になる旨判示したものではなく,所論は原判決を正解しないものといわざるを得ない。


同事件控訴理由
 製造罪について原判決は、撮影行為を基準に1回1罪と解しているが、原判決が児童ポルノ=有体物であるという前提にたつ以上は、製造罪の個数も、製造された児童ポルノの個数によるべきである。
 すなわち、原判決の法令適用からは、製造罪の「判示第1の別紙一覧表A番号3の罪」=児童SのビデオテープおよびMOの製造を1罪としていることが明らかである。製造罪は8罪成立すると判示したのである。
 ここでは媒体ではなく、撮影行為の数を基準に罪数を処理している。
(法令の適用)
被告人の判示第1の各所為は,いずれも児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条2項に,
  (中略)
いずれも所定刑中懲役刑を選択し,以上は刑法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により刑及び犯情の最も重い判示第1の別紙一覧表A番号3の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役2年に処し,

 しかし、他方、原判決は弁護人の主張に対して、撮影によりCF作成により製造罪が成立し、HDDへのコピーも製造罪となり、MOへのコピーも製造罪になるとして、媒体を基準にして製造罪の罪数を判断すべきと判示している。
(弁護人の主張に対する判断)
1弁護人は,判示第1の児童ポルノの製造罪について,撮影行為によるコンパクトフラッシュの作成のみが製造と評価されるべきであって,コンパクトフラッシュ上のデータに変更がない限り,その後のハードディスク,光磁気ディスクへの単なる複製は製造罪にあたらない旨を主張する。しかしながら,児童ポルノ製造について,条文上,製造についての手段は特に限定されておらず,頒布,販売等の目的をもって,写真,ビデオテープそのほかの物であって,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項各号に該当するものを作出すれば足り,それらの各行為がいずれも処罰対象となり得るものである。複製された光磁気ディスク等を用い,あるいはこれが基礎となり新たな物を作出できるのであって,ハードディスク,光磁気ディスクへの複製行為が不可罰的事後行為であるとは到底認めることはできない。
2弁護人は,本件における光磁気ディスクを単にバックアップ用として所持していたものであり,これ自体被告人に販売する目的がなかった旨を主張する。しかしながら,前掲各証拠によれば,被告人が本件の光磁気ディスクを単にバックアップ用のみとして所持したものではなく,場合によっては販売する意思をも有していたことが認められるのであり,仮に,直接の販売の対象ではなく,単にバックアップ用として利用する意思しか有しないとしても,光磁気ディスクから複写物が生み出され,社会一般に流布される危険性は極めて高いものであって,これを販売の目的から除外する理由はなく,弁護人の上記主張は採用できない。
 これは理由齟齬であるとともに、罪数処理には法令適用の誤りがある。
 原判決の法令適用に明確に現われた製造罪の罪数処理方法によれば、MOに関しては、結局1枚しか製造していないから、撮影行為が何回に及んでも単純に1個の製造罪である。
 ビデオテープは12本製造されているから、12罪である。
 合計、製造罪は13罪である。
 原判決には法令適用の誤りと理由齟齬があるから、原判決は破棄を免れない。

2 原判決の製造罪部分
(罪となるべき事実)
被告人は,
第1販売の目的をもって,別紙一覧表A記載のとおり,平成13年12月27日から平成14年4月26日までの間,前後8回にわたり,新潟県所在の「」206号室ほか6か所において,M(昭和59年月日生,当時17歳)ほか2名が18歳に満たない児童であることを知りながら,同児童らを相手方とする性交場面又は性交類似行為場面若しくは性器等をビデオカメラで撮影し,同ビデオカメラに装着したビデオテープ12巻に記録,蔵置させるとともに,同児童らを相手方とする性交場面又は性交類似行為場面若しくは性器等を露骨にデジタルカメラで撮影した画像データを同デジタルカメラに装着したコンパクトフラッシュ等を経由した上,平成13年12月27日から平成14年2月11日までの間,被告人方において,パーソナルコンピューターを使用し,同画像データ51画像を光磁気ディスク1枚に記録,蔵置させ,もって,児童を相手方とする性交又は性交類似行為に係る児童の姿態等を視覚により認識できる方法により描写するなどした児童ポルノを製造し,

3 MOに追加記録する場合は単純一罪
 原判決の考え方によれば、製造された物の個数によって決まる。
 ところで、数回の撮影行為があっても画像を児童ポルノとせずにあくまで媒体(MO)を児童ポルノとするのであれば、特に、「デジタルカメラで撮影した画像データを同デジタルカメラに装着したコンパクトフラッシュ等を経由した上,平成13年12月27日から平成14年2月11日までの間,被告人方において,パーソナルコンピューターを使用し,同画像データ51画像を光磁気ディスク1枚に記録,蔵置させ,」というふうに撮影からMOまでを包括してとらえるならば、撮影行為の回数・被描写者数にかかわらず、MOの数だけの製造罪が成立するはずである。
 電子媒体が大容量化している現代において、1個の媒体に記録蔵置できる画像データは何千・何万枚になり、わいせつ図画や児童ポルノの場合にはそれだけ法益侵害が大きくなり犯情も重くなるはずであるが、原判決はあくまで器の数で決めるというのである。個人的には時代遅れであると思う。

4 まとめ
 原判決は、弁護人に主張に対する判断では物を基準として製造罪の成立を論じると言いながら、罪数では製造行為を基準としている。
 これは理由齟齬であるとともに、いずれか又は両方に法令適用の誤りがある。
 よって、原判決には法令適用の誤りと理由齟齬があるから、原判決は破棄を免れない。

外国法廷での公判調書の証拠能力

判例出てます。公判調書は「3号書面」
http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/%24DefaultView/EDAA40B4DA22923749256DEF0006B4CA?OpenDocument

 国外犯処罰を規定する法律ができていますが、国外犯の場合には、証拠も国外にあって、外国官憲作成の調書なんかも証拠請求されていますが、刑事訴訟法には規定がないんですよ。「3号」って「その他」ですよ。
 犯罪は国境を越える、捜査も国境を越える、証拠も国境を越える、しかし、証拠法は相変わらず国内犯のみを前提にしています。
 弁護人が全部同意してくれているから、あんまり問題にならないのでしょうけど。
 検察官請求証拠の一部でも不同意にして、検察官立証を少しでも減らせば、少しは軽くなるんですよ。外国官憲作成の書面なんて、真っ先に不同意にしておかないと。

 しかし、外国の公判調書が3号なら、1号・2号の要件は厳しい感じがしますね。外国警察の員面も3号ですね。


第321条〔被告人以外の者の供述書面の証拠能力〕
被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるものは、次に掲げる場合に限り、これを証拠とすることができる。
一 裁判官の面前(第百五十七条の四第一項に規定する方法による場合を含む。)における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は供述者が公判準備若しくは公判期日において前の供述と異つた供述をしたとき。
二 検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は公判準備若しくは公判期日において前の供述と相反するか若しくは実質的に異つた供述をしたとき。但し、公判準備又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限る。
三 前二号に掲げる書面以外の書面については、供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明又は国外にいるため公判準備又は公判期日において供述することができず、且つ、その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき。但し、その供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限る。
②被告人以外の者の公判準備若しくは公判期日における供述を録取した書面又は裁判所若しくは裁判官の検証の結果を記載した書面は、前項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
③検察官、検察事務官又は司法警察職員の検証の結果を記載した書面は、その供述者が公判期日において証人として尋問を受け、その真正に作成されたものであることを供述したときは、第一項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
④鑑定の経過及び結果を記載した書面で鑑定人の作成したものについても、前項と同様である。
〔平一二法七四第一項改正〕


http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/%24DefaultView/EDAA40B4DA22923749256DEF0006B4CA?OpenDocument
判例 平成15年11月26日 第一小法廷決定 平成14年(あ)第409号 覚せい剤取締法違反,関税法違反被告事件
要旨:
 大韓民国の公判廷における関係者の供述を記載した同国の公判調書が刑訴法321条1項3号の書面に当たるとされた事

理    由
 弁護人渡辺孝の上告趣意は,単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 なお,ソウル地方法院に起訴されたAの同法院の公判廷における供述を記載した本件公判調書の証拠能力について職権で判断する。
 第1審判決及び原判決の認定並びに記録によれば,本件公判調書は,日本国外にいるため公判準備又は公判期日において供述することができないAの供述を録取したものであり,かつ,本件覚せい剤密輸入の謀議の内容等を証明するのに不可欠な証拠であるところ,同人の上記供述は,自らの意思で任意に供述できるよう手続的保障がされている大韓民国の法令にのっとり,同国の裁判官,検察官及び弁護人が在廷する公開の法廷において,質問に対し陳述を拒否することができる旨告げられた上でされたというものである。
 このようにして作成された本件公判調書は,特に信用すべき情況の下にされた供述を録取したものであることが優に認められるから,刑訴法321条1項3号により本件公判調書の証拠能力を認めた原判決の判断は正当として是認することができる。
 よって,刑訴法414条,386条1項3号,181条1項ただし書,刑法21条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 泉 紱治 裁判官 深澤武久 裁判官 横尾和子 裁判官 甲斐中辰夫 裁判官 島田仁郎)

児童ポルノ・児童買春等児童に対する性的虐待事件における弁護過誤(児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・青少年条例等)

 被害者がいないと誤解していた弁護人・弁護士のせいで被告人が実刑になった事例を紹介している。

http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/child/bengokago.html

 現在相談中の事件では、別の裁判所・別の被告人の
 「児童買春・被害者6名・前科なし」
 「児童買春・被害者3名・前科なし」
について、いずれも、元検事の弁護士が私選弁護人(奇しくもいずれも「着手金100万円」!)となって
  検察官請求証拠には全部同意
  情状立証は家族と贖罪寄附
  被害児童への慰謝必要なし
  1〜2回で結審
という弁護方針をとって、いずれも実刑判決となったとのことである。

 普通、被害者3名では実刑にならないし、実刑相当事案ならもっと弁護人立証尽くすはずなのに。着手金も高いし、国選弁護人よりひどい。詐欺みたいなものです。
 控訴審弁護を頼まれるわけですが、被告人サイドは、もうあとがないし、弁護人不信だし、お金もないということで、なかなか受任する弁護士もいない。

 こういう話を聞くと、当職も、とお〜い支部の最高被害者6名の事件について、被害弁償とかやってギリギリの執行猶予判決をもらってきたのだから、世間の相場としてこれくらい頂いてもよかったのかと反省するわけです。廃止された弁護士会報酬規程では「刑事事件着手金 30万円〜」ってなってたから、そんなものだと思ってました。

 そんな愚痴はさておき、刑事の弁護過誤の場合、不利益受けるのは被告人・被疑者であって、しかも、刑務所に服役するという強烈な不利益である。あとから弁護士訴えても失われた月日は戻らない。弁護士探しをもう少し慎重して欲しいと思います。方針を契約書すること・途中で方針が合わなくなったときに弁護人を交替させることに躊躇しない契約内容とすること・・・。


http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/child/bengokago.html
 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律を知らない弁護士(たいていの弁護士)にとっては、児童買春・児童ポルノ被告事件は、
   被害者はいない。
   被害者の救済措置は必要ない。
   被害者との示談交渉も必要がない。
   前科がなければ執行猶予必至。
と誤解されているから、着手金・報酬金が楽勝で稼げる「おいしい事件」と思われている。

 それは誤解であって、被告人がそのような弁護士を軽信すると思わぬ不利益を受けることがあるので注意喚起のために事例を紹介する。
 被告人も易きに流されてはいけない。問われているのは、被告人の行為についての責任である。