九州旅行1日目

寝台特急富士@大分

朝目が覚めると、横に広電と思わしき線路が並走していた。
だんだん海が近づいてきて、宮島口を過ぎてしばらく走っていくと、道端に黄色いガードレールが。どうやら山口県に入ったようです。列車は至って順調に西へと進んでいます。
夜明けの瀬戸内。天気がよければ海沿いで朝の素晴らしい眺めに出会えるところですが、残念ながら天気は雨。
山陽新幹線はかなり山のほうを突き抜けていくのに対して、山陽本線は海沿いを柳内経由で少し遠回り。
すぐ近くの6号車と7号車の間で車内販売も始まり、富士ぶさ車内でのみ販売されるうえに数量限定の柳井駅の幕の内なんかは相当前から並んでいないとまず入手出来ない代物らしいんですが、自分は既に昨日買ったお弁当があるのでパス。


富士ぶさ廃止記念うなぎ弁当
富士ぶさ廃止記念のうなぎ弁当。さすがのNREだけあってこれも美味でした。しかし朝からうなぎとはまた豪勢ですな。


だんだん明るくはなったもののどんよりとした鈍色の雨雲が覆う空の下、山口ののどかな風景の中をしばらく進んでいったかと思うとまもなく下関。
半年前の夏に新下関を通りがかった時は外見がボロボロになってしまった訓練車の0系がいたものですが、それももう過去の話に。
幡生で山陰本線と合流すれば、間もなく本州の西の端、下関に到着です。
本当なら機関車の付け替えそっちのけでふく天うどんを買いに行くつもりだったんですが、残念ながら売店はお弁当とかだけでうどんの営業はナシ。というわけで急遽予定を変更して一番前で機関車の付け替えをみることになったんですが、まぁさすがにこの時期ということもあってすごい人だかりです。


EF81-411@下関
関門トンネル区間での牽引機はEF81の411号機。しかしこれだけ暗くてもISOを800とかまで上げればまともにズームして写真が撮れるとはさすが一眼、恐るべし。


そして付け替えが終わるといよいよ九州へ向けて出発。
以前九州方面から411系なんかがJR西日本管内に乗り入れをしていたのも無くなり、この列車が廃止になってしまうと九州方面と下関以東を直通する列車はもう無くなってしまいます。そして、関門トンネルを抜ける唯一の優等列車がこの列車。
寝台特急に乗って関門海峡を渡って九州に行くことももう出来なくなるとは…寂しいもんです。
しかしまぁ、国際海峡にもなっている津軽海峡とは違ってここの海峡は歩いて渡れるほど狭いわけで、わずか数分で対岸の門司駅に到着。


はやぶさ号・富士号発車案内@門司
富士とはやぶさ、両方の発車案内が並ぶ光景が見られるのはここだけ。


門司駅と富士・はやぶさ
ここで2つの列車がいよいよ分割されて別々の方向へと進むので、停車時間もかなり長め。


ED76-90はやぶさHM@門司
大勢のギャラリーが見守る中、はやぶさを牽引するED76が入ってきました。


415系国鉄色@門司
反対側のホームに国鉄色415系を発見。この色に復元されたのは1編成だけのはずなのに、このあたりに旅行に行くたびに見かけているような印象があるのは気のせいか…?


ここで切り離したはやぶさはさっきのED76に牽かれて熊本へ向かい、残された富士にもちゃんと機関車がついていよいよ単独の寝台特急富士として出発です。
門司を出てすぐに小倉に停まり、その後日豊本線へ。
市街地を抜けた後は田んぼの真ん中ののどかなところを走り、中津を過ぎてしばらくすると…





USA。なんと行き着いた先はアメリカだったのです…!?
宇佐駅駅名標


このあたりになってくるとローカルムード満点になってきて、一部では単線の区間なんかも出始めます。
そして杵築ではなんとソニックの待避のため停車。特急が特急を待避するというのはまた変な話というか、かつてブルトレが鉄路の花形だった時代からすれば考えられないような話ですが、やはり今となっては振り子付きの高速の電車特急にとっては寝台特急などただの邪魔者でしかないのかもしれません。。


そして山間部を抜けるといよいよ左手に別府湾が見えてきます。国道と並走しつつ温泉地・別府駅に到着。いよいよ終点も間近。
そのまま海沿いをしばらく走り、ついに終点・大分に到着。
実に17時間にも及ぶ長旅でしたが、それほど長かったと思えない、むしろ短かったような気がする快適な素晴らしい旅でした。


寝台特急富士@大分


寝台特急富士@大分
そして、しばらくの間停まっていた列車は、長い汽笛一声、我々の前から走り去って行きました。
もうこの列車に乗ることはできないけど、こうして乗った思い出はいつまでも残っていくことでしょう。


ちなみに、大分駅にはこんなのも。
特急ソニック混結編成@大分
ソニック増結のために新しく必要になって急遽増備した車両との混結編成。
色こそ青く塗られているものの、そのつるりとした車体や独特の車内などはどこからどう見ても白いソニックです。なんかすごい違和感。


883系特急ソニック@大分
そしてこちらが従来の883系で揃えられたソニック。リニューアルされて昔よりは少し大人しい印象にはなったものの、それでもやっぱり独特の外観。


ちなみに大分駅では富士の記念グッズをいろいろ販売していたので、自分も記念にポストカードのセットを購入。


さて、まずは荷物を預けに駅前の東横インへ。これでずいぶん荷物が軽くなりました。
しかしずいぶんと安さを前面にアピールする旗を立ててるなぁと思ったら、道路を挟んで真向かいにあるホテルも全く同じことやっててなんか吹いたw
そしてもう時間もお昼なので食べるお店を探して、とりあえず駅前にあった大きな商業施設のビルに入ってみたものの、ファッションやら何やらいろんなフロアがあるというのにレストランフロアが全くないとは驚き。
他にもなんか無駄にややこしい地下道(なぜか道路を歩いて渡れない)があったりと、地方都市の中心部というのはいつ見てもなんか不思議な構造になってるもんです。
そんなわけで仕方なく駅に戻ったら、豊後茶屋という案外良さげな店があったのでそこに入ってみる。


豊後定食
豊後定食。大分の郷土料理が手軽に味わえるメニュー。
どうやら大分では鶏を唐揚げとかではなく天ぷらにして食べるという食文化があるようで、これはなかなか美味。
そしてだんご汁。だんご汁という名前だからすいとんや白玉ぜんざいのように丸っこい団子が入っているのかと思いきや、このだんごというのが平べったいきしめんのような形。それが入った味噌汁がこのだんご汁。要は山梨のほうとうとかとよく似た食べ物ですな。甘めのお味噌が効いててこれも美味しかったです。ちなみにこれにきなこを付けて食べるおやつが大分のおやつ『やせうま』なんだとか。


というわけで腹ごなしも済んだわけですが、雨も降っててどこかを歩き回るには不向きな天気。久々に地獄巡りとかもなかなか魅力的ではあるんですがさすがにこの天気では行こうという気も起こらず、しかし大分に来て何もしないのも勿体ないというわけで、敢えて今日は別府ではなく由布院へ行こうという流れに。


さっき富士が到着したホームは地上ホームだったんですが、将来的には大分駅も味気のない高架駅になってしまうようで、久大本線の乗り場は先に出来ている高架乗り場。
キハ185系特急ゆふ@大分
2日に1日はゆふDXになるらしいんですが、今日は普通の真っ赤な185系のゆふ。
しかしこの185系も内装は綺麗にリニューアルされてるのでいかにもJR九州らしい感じに。個人的にはこのキハ185系という車両は結構気に入ってたりします。
街を抜けた後は単線の線路をトコトコと、それほど疾走という雰囲気ではないもののゆっくりと山のほうへと登っていく。
少しうとうとしながら列車の旅を楽しんでいるうちに、あっという間に由布院に到着。この時最後尾の車両の幕が抜けていて蛍光灯丸出しになっていたのがちょっと気になりました。


由布院駅
ゆふいん驛。印象的なデザインの駅舎は、窓口はあっても中に改札がないという不思議な作り。


幸い雨も止んだので、由布院の街を歩いてみることに。
実はここ、既に2回も来ているんですが、初めて来たのは家族旅行。その時は車で素通りで、2回目は中1の鉄研旅行。ゆふいんの森でここまで来てすぐに乗り換えだったので駅から外に出てもいないという状態で、一度も街中を歩いたことがなかったのでちょうどいい機会。
まずはとあるお土産物屋さんで、かぼす胡椒やら他にもいろいろおみやげを購入。由布院のイメージに合いそうな可愛らしい洋菓子とかも見かけたものの、何しろ神戸〜西宮にかけての洋菓子激戦区に住んでいると旅行先で洋菓子を買おうという気にまずならないんですよね。。


由布院にて(その1)
おみやげ屋さんや小洒落たお店がたくさん並んでいる賑やかな通りを少し横に逸れると、もうそこはのどかな高原地帯。
山のほうから湯気が立っているのは、雲ではなくあれは温泉なんでしょうね。


そしてそう。由布院といえば温泉。
しかし時間が時間なわけで、日帰り入浴ができるいい感じのお宿というのはどこももうこの時間になると宿泊客専用の時間帯に。
いろいろ回ってみたものの見つかる気配もなく、あっても徒歩圏内とは到底思えない場所ばかりだったので、近くの宿のカウンターで尋ねてみていろいろと話を聞いたもののやはり遠そう。
仕方なく近くをぶらぶらと歩いていると、地元の人が使ってるような健康センター的な施設を発見。もちろんここなら安いし営業時間内。もはや選択肢は他に無かったので、温泉という意味では同じだしここに入ってみることに。
まぁ雰囲気はそんなに洒落た温泉ではなく普通のお風呂という感じではあったものの、ちゃんと露天風呂はあったしなにしろお客さんが少ないので周りの目も気にせずゆったりできるのでなかなか良かったです。
お風呂から上がった後は休憩所で冷たい飲み物を飲みつつずいぶんのんびりと。血圧測定器があったので測ってみたら正常値でした。あーよかった。。
さて、もう店もだんだん閉まる時間帯になってきてしまったものの、列車の時間まではしばらくあったので再び通りを歩いてみる。
由布院にて(その2)
バスツアーの客はもうとっくに帰った後だし、宿泊客は宿に行った後。通りはがらんとしています。
しかしこの夕方の曇り空の下の通りはなかなか味のあるいい雰囲気。逆にこの天気のほうが良かったのかもしれません。


時間になったので駅に戻る。もうこの時間になると由布院に用がある観光客なんていないので特急はありません。
階段を渡った3番線に停まっていた赤いキハ200系に乗り込み発車を待っていると、反対側からキハ125系が登場。
キハ125系@由布院
こういういわゆるレールバス系の気動車が何両も繋がっているとちょっとした違和感があります。


JR九州というのはまぁなかなかサービスの行き届いてる会社で、ローカル線の車両といえどもクオリティはかなり高い。
転クロのシートに腰掛けて、真っ暗な車窓は何も見えない中、今日の疲れや温泉の効果もあって4人ともよく寝てました。


そして大分に到着。もうすっかり夜なので、今日の夕食をどうしようかということになったわけですが、まず一旦ホテルに戻ったあとで魚通のid:gillhanter氏が見つけてくれたお店へ行くことに。
地元の生け簀のある居酒屋だったんですが、ここでは注文してから捌いてくれる活け造りが楽しめます。


ヒラメ活け造り
ヒラメの活け造り。こんな立派な活け造りを食べるのはもしかすると生まれて初めてかも。
これをポン酢でいただくわけですが、なるほど白身魚なだけあってポン酢によく合うあっさりとした味。皮の食感も含め、てっさとかにも近い食べ物といった感じ。


そして自分も恥ずかしながら知らなかったんですが、この季節の大分の海の幸といえばまず外せないのがこれでしょう。


関サバ活け造り
そう、関サバ。
鯖という魚は『サバを読む』とか『鯖の生き腐れ』という言葉もあるくらい見た目には分かりにくいけど足が速く、これだけ一般的に食卓に並ぶ魚でありながら酢で〆ていないものはまずお目にかかれない魚。つまりよほど新鮮なものでないと生で食べられない魚なんです。
しかしもちろんつい数分前まで生け簀で元気に泳いでいた魚なわけで、これが新鮮でないはずがない。血合い肉がこれほどまでに鮮やかなクリムゾンに染まっているなんて感動モノです。
もちろん自分も生のサバなんて食べるのは初めてなのでどんな味なのかすごく楽しみだったんですが、とにかく脂がのっていて非常に濃厚な美味。舌触りも滑らかで、こんなに美味しい魚があったのかと思うくらい。ブリの刺身もこれと同じくらい脂がのっているもんですが、ブリのような独特の酸味といったクセもなく、非常に食べやすい魚でした。いやーこれは絶品。
本当ならさらにイカのお造りも注文したんですが、それはどうやら入荷されていなかったようで食べられなかったんですが、注文してなくて良かったと思えるくらいの大満足のボリューム。
これにさらにそれぞれご飯ものを一品つけたんですが、それでも割り勘で一人2000円以下というビックリのお値段でした。東京や大阪でこんなもの食べたらこの倍は軽くするよね普通。


そんなわけで大満足の夕食も終わり、ようやく旅行の1日目が終了。天気も思ったほどひどくならず、とっても充実した1日でした。

車番・乗車距離

東京〜大分:東海道本線山陽本線鹿児島本線日豊本線寝台特急富士/大分、スハネフ15-21
大分〜由布院久大本線特急ゆふ4号/博多、キハ185-15
由布院〜大分:久大本線・普通/大分、キハ200-105


●乗車距離(1日・富士含む):1347.1km