【文徒】2014年(平成26)4月11日(第2巻67号・通巻269号)

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1)【記事】雑誌のデジタル化とは、どういうことなのか?
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】雑誌のデジタル化とは、どういうことなのか?

これまで雑誌は販売チャネルとして書店、コンビニ、即売を想定していれば良かった。雑誌の形態も「紙」のメディアにとどまっていれば良かった。しかし、これからはそうはいくまい。「紙」の雑誌を旗艦=基幹にしつつも、最大多数の読者を獲得するためには、「紙」のビジネスだけでは駄目だということに自覚的にならねばなるまい。
「デジタル」の領域においても橋頭保を築かない限り、雑誌の多くはその生命を縮めることになるだろう。現在、デジタル化が最も進んでいるのはマンガ誌である。
しかし、「デジタル」の領域に橋頭保を築くということを「紙」の雑誌をそのままデジタル化して配信するということだけに限定的に考えてはなるまい。もちろん、それもひとつのアプローチであるが、それが総てではないということだ。雑誌を構成する記事をバラ売りするということも必要なはずである。あるいは、大特集だけをまとめて配信することも必要だろうし、何回かぶんの記事をまとめて配信するということも必要だろう。
雑誌のデジタル化とは読者が求めるカスタマイズを総て実現することにあるとさえ言っても構わないかもしれない。
そういう意味で「週刊文春」が佐村河内守の嘘を暴いたスクープを電子書籍として配信したのは正しいし、ニコニコ動画と組んで連載を除いた総ての特集記事を「週刊文春デジタル」として月額864円で配信し始めたことも正しい選択である。
しかし、雑誌がデジタル領域で覚悟しなければならないのは、塵も積もれば山となるビジネスにならざるを得ないということである。恐らく、様々なカタチにカスタマイズされたデジタル版の一つ一つを取ってみれば、そのダウンロード数は到底、「紙」の雑誌に及ばないはずである。女性誌では、紙版とデジタル版のセット売りも考えられるだろう。
出版社が労を惜しんではならないのである。読者=ユーザーのニーズにどこまでも寄り添っていく木目細かな対応が求められているのである。

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2)【本日の一行情報】

講談社はコミックス「GIANT KILLING」31巻を刊行するが通常版に加えて、東日本大震災を機に東北地方のサッカー復興のために設立された任意団体「東北人魂」(東北人魂を持つJ選手の会)の3年間に及ぶ活動を佐野美樹が記録した同名の写真集をチャリティブックとして付けた特装版も刊行する。
http://morning.moae.jp/news/1060
佐野美樹のツイートも紹介しておこう。
「3年間、ずっと取材・撮影させて頂いてきた、東北人魂の活動の記録がフォトブックとなり発売されます。来月発売の「GIANT KILLING31巻」と同封で発売され、お買い上げ頂くと、売り上げの一部が東北人魂の活動資金となります。価格は単行本と合わせて1500円です」
「東北人魂フォトブックはもちろん、製作陣は全員、完全ボランティアで作っています。ページ数は少ないですが、とてもいいものに出来上がったと思っています。沢山載せたい写真がありすぎて、選ぶのに苦労しました。巻末には小笠原・熊林・遠藤・岩清水4選手の座談会も載っています!」
「東北人魂の活動を沢山の人に知ってもらいたい。そんな気持ちから始まり、こうしてフォトブックという形で世の中に出せることをすごく嬉しく思います。東日本大震災から3年が経ちますが、被災地はまだどこも復興には至っていません。これからも皆で心を寄せて行けたらと思います」
http://twilog.org/sanomiki

講談社の「別冊少年マガジン」の電子書籍版が9日発売の5月号より同時配信されることになった。確かに「ぶ厚い」マンガ誌は電子書籍版のほうが携行性や保管性に優れている。
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20140410_643676.html
「イブニング」も4月22日発売の10号より、電子書籍版を紙版の発売日に同時配信することになった。併せて2014年1〜9号のバックナンバーも配信する。
http://kc.kodansha.co.jp/magazine/news_detail.php/02134/9457
マンガのデジタル化は一気に進むのだろう。

◎コールセンターサービスのトランスコスモスASEAN最大の電子書籍ストア Ookbee(ウークビー、本社・バンコク)の発行済株式総数の10%以上を取得することになった。
http://www.trans-cosmos.co.jp/company/news/140408.html
Ookbeeはこういう電子書籍ストア。
http://ookbee.com/
それにしても色々な資本が「出版」に関わり始めたものだ。しかも、国境を問わずに、だ。日本の大手出版社もグローバル化を一層進めていくことになるのだろう。

◎電子取次のメディアドゥの2014年2月決算は経常利益が前年同期比623.2%増の2億2,800万円と大幅に増。「LINEマンガ」の貢献大なのだろう。
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1138203
電子書店「ポンパレeブックストア」もリクルートライフスタイルと共同運営している。

資生堂の魚谷雅彦社長が資生堂マーケティング改革を象徴するブランドとして「SHISEIDO」を選んだことは正しい。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2014&d=0408&f=business_0408_055.shtml
資生堂はファインと付けようがトイレタリー企業でないことを魚谷はライオン出身者であるがゆえに逆に理解できるのだろう。

◎トゥ・ディファクトが運営するhonto電子書籍ストアは、祥伝社と連携して4月21日まで、おかざき真理の人気作品「&(アンド)」の完結キャンペーンを実施し、第1巻を半額で配信している。
http://honto.jp/cp/ebook/2014/and

ダイヤモンド社アメリカのレブハー・フリードマン社が50%ずつ出資しているダイヤモンド・フリードマン社が流通専門誌「チェーンストアエイジ」などの編集記者を募集している。
http://next.rikunabi.com/company/cmi0123689002/nx1_rq0010718886/?fr=cp_s00320
同社の最年少社員が26歳。入社5年30歳で年収580万円。

宮崎駿の監督引退後の初仕事はジブリ美術館で5月31日から開催される「クルミわり人形とネズミの王さま展」だ。
http://matome.naver.jp/odai/2139693297597113201

◎「どこかの書店員」の告発!
「確保したくても特にKADOKAWA系列は本当に最近重版しない」
ADOKAWAは上場しているがゆえに売上率重視なのだろう。売上率を重視し過ぎると機会損失が生まれる。
「しかし売れているものを書店側が動いて確保しなければならないというのはどうなんでしょうか?利用している神田村の取次は好調のアニメ化作品入ったら『入荷しました!!早めに注文ください!!』という連絡をくれますが日販はそれが一切無い。むしろこれが売れているので重版分くださいっ!!とこちらからいってへーそうなんですかー知りませんでした。と動き出すのはいかがなものかと思います」
恐らくトーハンだって似たようなものだろう。取次と書店の間に信頼関係が構築されていない不幸である。
http://urawa14.blog40.fc2.com/blog-entry-351.html

フェイスブックのユーザー数でインドが今年中にアメリカを抜き世界第一位の座につきそうなんだって!2010年に1000万人以下だったユーザーが現在1億人を越え、そのうち約8400万人が携帯電話で利用しているのだそうだ。
http://jp.techcrunch.com/2014/04/09/20140408facebooks-india-user-base-crosses-100m-set-to-become-its-biggest-market/

博報堂出身の早川与規が代表取締役会長をつとめるユナイテッドの運営するスマホ特化型広告配信プラットフォームDSP「Bypass(http://bypass.jp/ja)」が、サービス開始から1年11ヶ月で累計広告主数2,000社を突破した。
http://united.jp/news/release/20140409-1/
しかし、こういう歴史を持つ企業は全うと言えるのだろうか。
http://united.jp/corporate/history/
もともとはネットエイジという社名だった。ここの持分法関連会社が富士山マガジンサービスである。

◎「Layar Creator」はオランダのLayarが開発したシステム。
「Layarでは、Gamour、Elle、Cosmopolitanといった雑誌やブランドなど、およそ8万の企業と提携。例えば雑誌のページに、モデルが服を着用したAR対応の画像があるとする。ユーザーはスマートフォンの画面をかざして画像を読み取る。すると、着用している服のブランド名や値段、販売店などの情報がポップアップし、より詳しい情報にアクセスできるようなかたちだ」
http://techable.jp/archives/13130

◎ティーンが好きな雑誌ランキング。第1位「セブンティーン」、第2位「ノンノ」、第3位「ポップティーン」、第4位「ヴィヴィ」、第5位「キューティ」、第6位「ジッパー」。集英社強し、だ。
http://news.mynavi.jp/news/2014/04/09/238/
「JOLonline」による調査結果。これが「JOLonline」。フリーペーパーも出している。
https://jol.me/
マイナビのライフデザイン事業部の仕事である。

松居一代が自らのブログで「週刊文春」の記者を告発している!信じがたい事態が起き、松居は警察署の生活安全課に飛び込んだと書いているが、「信じがたい事態」がどういう事態であったのかは書かれていない。これでは説得力に欠けるよな。
http://blog.matsui-kazuyo.jp/
昨日まで上記URLのブログに実名告発していたのだが、今日になると繋がらない。こちらをご覧下さい。
http://geitopi.com/%E4%BA%8B%E4%BB%B6%E3%83%BB%E4%BA%8B%E6%95%85%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%AB/%E6%9D%BE%E5%B1%85%E4%B8%80%E4%BB%A3%E3%81%8C%E9%80%B1%E5%88%8A%E6%96%87%E6%98%A5%E3%81%AE%E8%A8%98%E8%80%85%E3%83%BB%E9%AB%98%E6%A9%8B%E5%A4%A7%E4%BB%8B%E3%81%A8%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%AB/

◎米アマゾンのビデオ配信サービス「Prime Instant Video」における視聴回数が、前年と比べ3倍近くに拡大し、アップルやHuluを抜いたというが、ビデオストリーミングビデオ視聴ではNetflixがダントツな存在である。シェア57.5%だ。アメリカではYouTubeのシェアが28.2%から16.9%に急落しているのも特徴である。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0901O_Z00C14A4000000/

◎「GINZA」に連載されていたときのタイトルは「銀座鉄道の夜」。これが書き下ろしも加えられ書籍になると「蘇える変態、」となる。著者は星野源。当たれば書籍編集者の勝ち。
http://magazineworld.jp/books/books-yomigaeruhentai/

◎1990年代の「週刊少年マガジン」に連載された「ムー」系マンガともいうべき「MMR」の主人公キバヤシ隊長が講談社の投稿サイト「プロジェクト・アマテラス」で復活した。タイトルは「キバヤシ隊長の華麗なる生活」。キバヤシ隊長は「金田一少年の事件簿」や「神の雫」の原作者である樹林伸がモデルである。
http://mantan-web.jp/2014/04/09/20140409dog00m200007000c.html

◎「東京創元社創立60周年フェア」を全国の書店約1000店舗で開催している。
http://www.tsogen.co.jp/60th/fair
「Yの悲劇」は1959年以来、ずっと売れ続け117刷になる。

3)【深夜の誌人語録】

紳士ぶらないことが紳士たる最低条件である。