カフェと本屋はなくなるもんだ。

旅する力―深夜特急ノート


知人の結婚パーティーに出席するために東京へ。
新幹線で本を読む。持参本に少しだけ迷ったが、
読みかけのこいつは持っていくことにしたのだ。


読了。
椎名誠岳物語 (集英社文庫)』(集英社


実に、面白かった。『続・・・』もまた、
読むことにしよう。その先の話の小説の刊行状況は、
ちょっと複雑になっていた気がするんだよなぁ。
『菜の花物語』は、3番目、じゃないんだっけ。


あとがきには一九八五年とある。20年前か、
と思いかけたが、20年じゃきかない。30年近く前だ。
前に読んだのは、中学校か高校のときだったか、
あるいは学生時代に一度読み返してたかも。
ひりひりと寂しくて温かい読み物であった。


今回の東京行きでは予定を細かく決めてなかったので、
本の切れ間に、夜までの時間をどう過ごそうか考えはじめた。
ふと、カフェオーディネールに行こうか、と思いついた。
あそこでときどき、甘い甘いミルクティを飲みながら、
本を読んだり手紙を書いたりした。


移転した、と知ったのは、ブックカフェを紹介している本だったか。
下北沢のあの空間がなくなったと知った残念さで、
あたらしい店に行こうという気は起きなかった。


今夜のパーティーは新宿だ、お金もあんましないからやたら書店巡りしても
買えないストレスため込むだけだし、ゆっくり本でも読んでみようかな、
確か新宿の近くに移転したんでなかったか、とケータイで検索する。
オールアバウトの初台移転の記事を見つけた。


移転!カフェ・オーディネール…初台
http://allabout.co.jp/gm/gc/380446/


これだ。珈琲の焙煎を始めた話や、移転にまつわる準備の話、
移転オープンの翌日に東日本大震災があったことなどを知る。
そうかー、あの頃に移転したのかー。今まで全く行こうとも思わなかったのに、
どんどん楽しみになってゆく。地図を確認しようと、再度、
「カフェオーディネール 初台」と打って検索。


それは食べログのサイトだった。住所の文字コピーをしてからふと
「閉店」というアイコンに気づく。嫌な予感がして、
「カフェオーディネール 閉店」と検索。


見覚えのある初台移転の記事のリストとともに、
オーナー募集の記事を見つけた。オーナー募集?
秋本高志氏は、実家のある九州に戻るため、
カフェオーディネールを譲ることにしたそうだ。


そうだったのか。結局、下北沢のカフェオーディネールどころか、
初台のカフェオーディネールにも行けなくなってしまったのか。
路面のオーディネールに一度行ってみたかった。
何をいまさら、と自分でも思うけれどそれでも。


秋本さんが「僕からの希望は、今の雰囲気をそのまま引き継いでほしいということだけ」
と言っていた後継店は、どんなお店になったのだろう。
もうオーディネールではないということで行くのをよそうとも思ったが、
やっぱりのぞいてみようか。まさか、また閉店したりしてないだろうね?


車中のとも。
沢木耕太郎旅する力―深夜特急ノート』(新潮社)


読みたいと思いながら、鞄に入れにくいからと何度も諦めたこの単行本。
今日はなんと頼もしい存在感だろう。文庫化されてから苦い気持ちになったりもしたけど、
今は単行本を買った自分をほめてやりたい。よくやったぞ、俺
ふと本から目をあげると、そこはもう新横浜だった。
田園風景は、あっという間に過ぎ去っていた。


新幹線のきっぷは、そのまま僕を新宿へ連れて行ってくれた。
ふらふらと甲州街道沿いを歩いていくと、オペラシティに着いた。
住所を頼りに、後継店の「コーヒーハウスGi・Gi(コーヒーハウス ジジ)」を探す。
なんどもなんども、うろついてみたが、ついに見つからなかった。


場所を示す手書きの看板みたいのだけ、写真に撮った。
失意と空腹とを抱えて、新宿まで戻った。足が痛い。
そのまま、いくつかの本屋さんの放浪。少し回復。


購入。ブックファースト新宿店。
奈良敏行、田中淳一郎『街の本屋はねむらない (現代書店業)』(アルメディア)


気になる新刊。(既刊もあるデヨ)
丸山智子『だれでも書けるコメディシナリオ教室(DVD付)』(芸術新聞社)
梅佳代のと』(新潮社)
玉樹真一郎『コンセプトのつくりかた』(ダイヤモンド社
路地裏研究所『京都の路地裏図鑑―上ル下ル東入西入、路地入ル。』(コトコト)
行きたい場所がすぐわかる! マップで歩く 東京ディズニーリゾート (Disney in Pocket)』(講談社
サンキュータツオ学校では教えてくれない! 国語辞典の遊び方』(角川学芸出版
ブルボン小林マンガホニャララ ロワイヤル』(文藝春秋
小田嶋隆場末の文体論』(日経BP社)
ローカル線夏の旅 2013―厳選「ローカル線」シリーズ保存版第2弾 (SAN-EI MOOK 男の隠れ家特別編集ベストシリーズ)』(三栄書房
フェルニッチ『空間快楽案内―気持ちのいい聖地 関西編』(青幻舎)
歴史魂編集部『城ガール―1泊2日で大充実のお城めぐり』(アスキー・メディアワークス
福元ひろこ『歩く旅の本 伊勢から熊野まで』(東洋出版)
直島インサイトガイド制作委員会『Naoshima Insight Guide 直島を知る50のキーワード (Insight Guide 3)』(講談社
春風亭昇太城あるきのススメ』(小学館
エスト・パブリッシング『いい旅・日帰り 花の旅 関西』(山と渓谷社
ハンディアトラス日本・世界地図帳』(平凡社
鈴木健なめらかな社会とその敵』(勁草書房
掛尾良夫『『ぴあ』の時代 (小学館文庫)』(小学館
鷲田清一京都の平熱――哲学者の都市案内 (講談社学術文庫)』(講談社
ベルンハルト・シュリンク松永美穂夏の嘘 (新潮クレスト・ブックス)』(新潮社)
浅倉久志ぼくがカンガルーに出会ったころ』(国書刊行会
高階杞一『早く家へ帰りたい』(夏葉社)
高橋源一郎ぼくらの文章教室』(朝日新聞出版)
沢木耕太郎旅の窓』(幻冬舎
増岡弘マスオさんが教えてくれたこと (自然派マスオさんに学ぶ幸福(しあわせ)の見つけ方)』(廣済堂出版
ヨーゼフ・ロート池内紀聖なる酔っぱらいの伝説 他四篇 (岩波文庫)』(岩波書店
椎名誠ぼくがいま、死について思うこと』(新潮社)
椎名誠三匹のかいじゅう』(集英社
亀和田武夢でまた逢えたら』(光文社)
フィガロジャポン編集部『私が目覚める、読書案内。 (FIGARO BOOKS)』(阪急コミュニケーションズ)
泉正人『タイムデザイン』(フォレスト出版
柴田元幸高橋源一郎小説の読み方、書き方、訳し方 (河出文庫)』(河出書房新社