トシ坊の注目チーム2012〜社会人野球展望編〜

昨シーズンは東日本大震災の影響により、日本選手権大会と対象大会の中止、また都市対抗野球の大阪開催と31年ぶりの秋開催などと大きく揺れ動いたシーズンとなった。今シーズンは選手権の復活、そして都市対抗も11年ぶりに7月開催になるなど、また話題を振りまきそうな予感を秘めたシーズンとなりそうだ。
JR北海道-Hokkaido Railway-(北海道野球連盟所属)
昨年度主要実績
第82回都市対抗野球大会北海道一次予選代表決定戦
昨季は重大な列車事故発生により、都市対抗予選を途中で出場辞退するという残念な結果に終わってしまった。今季、選手権対象大会への出場予定はなく、都市対抗予選前の実戦は5月に関東遠征をおこなうのみとなっているが、巻き返しなるか。また、武藤(東北楽天)の抜けた投手陣の整備状況も気になる。


TDK(秋田県野球連盟所属)
昨年度主要実績
第82回都市対抗野球大会東北二次予選第二代表決定トーナメント3回戦
巻き返しを図った昨季はまさかの2年連続都市対抗予選敗退。秋田県内の事業所再編も発表されており、チームの存続にも関わってくるものと思われるが…。誰もが予想しなかった全国制覇からはや6年。そろそろ旋風再来を期待したい。


JR東日本東北-East Japan Railway Tohoku-(宮城県野球連盟所属)
昨年度主要実績
第82回都市対抗野球大会ベスト4
川崎製鉄千葉(現JFE東日本)の藤井省二氏を監督を迎えて2年目となった昨季、東日本大震災直後は列車代行バスの案内に当たるなど野球どころではなかったものの、都市対抗県一次予選、東北二次予選を無敗で突破して本大会出場を決めると、本大会ではエース・森内(北海道日本ハム)が都市対抗史上2人目の完全試合を達成する活躍を見せ、初のベスト4入りを果たした。その森内の穴をどう埋めるかが今季のカギ。


日本製紙石巻-Nippon Paper Ishinomaki-(宮城県野球連盟所属)
昨年度主要実績
第66回JABA東京スポニチ大会ベスト4
第82回都市対抗野球大会東北二次予選第二代表決定トーナメント1回戦
都市対抗初出場を果たし、さらなる躍進を期して迎えた昨季、3月の東京スポニチ大会では予選リーグでトヨタ自動車日本通運JR東日本と強敵を3連勝で撃破し、初のベスト4入りを果たすも、準決勝を戦った3月11日に起こった東日本大震災でホームの石巻工場が津波により被災。チームも一時各地の事業所のグラウンドを借りて練習を行うなど、苦難の時期を過ごした(東京から帰郷後、5月中旬から都市対抗県一次予選が始まる直前の7月中旬まで遠征生活が続いたという)。そのような中で2年連続の東京ドーム行きを狙うも、無念の結果となった。しかし、津波で流された青獅子旗(都市対抗地区第一代表チームに授与。日本製紙石巻は一昨年の東北第1代表)が瓦礫の中から奇跡的に発見され、太田、比屋根両選手が東京ヤクルトからドラフト指名を受けるというニュースもあった。厳しい状況は続いているが、今季も都市対抗への大舞台を目指す。


七十七銀行-77 Bank-(宮城県野球連盟所属)
昨年度主要実績
第82回都市対抗野球大会1回戦
七十七銀行東日本大震災で沿岸部の支店が被災、さらに多くの行員に被災者を出し、チームも被災地の復興作業に奔走した。そうした中でも都市対抗東北二次予選で第二代表を獲得し、本大会でも大阪市日本生命に善戦したものの惜しくも敗戦。悔しい結果となったが、今年も宮城と東北のために戦う。昨年都市対抗出場の原動力となった右腕・阿部(東北学院大)の成長も楽しみ。


住友金属鹿島-Sumitomo Metal Industries Kashima-(茨城県野球連盟所属)
昨年度主要実績
第66回JABA東京スポニチ大会ベスト4
第82回都市対抗野球大会ベスト4
東日本大震災で鹿島製鉄所が津波の被害に遭い、さらにグラウンドも被害を受けた中、北関東二次予選を勝ち抜くと本大会でも名古屋市三菱重工名古屋、大津町・Honda熊本、大阪市NTT西日本を下し2年連続のベスト4入り。しかし、悲願の決勝進出を目指した準決勝は東京都・NTT東日本に完封負けを喫し、またしても黄獅子旗に甘んじてしまった。この悔しさを今年こそうれし涙に変えられるか。また、10月には新日本製鐵との経営統合により、社名が「新日鐵住金」となる予定であり、社会人野球にその名を刻んできた「住友金属」の社名が無くなることになる。有終の美を飾ることが出来るか。


Honda(埼玉県野球連盟所属)
昨年度主要実績
第82回都市対抗野球大会1回戦
8年連続の都市対抗出場を果たしたものの、4年ぶりの初戦敗退という悔しい結果に終わった昨季のHonda。3年前の優勝の後、一昨年、昨年と思うような実績を上げる事が出来ず、苦戦が続くが果たして今年は。昨年の都市対抗で出番のなかった主砲・西郷(日本学園)の大会通算本塁打記録の更新にも期待したい。


市民球団かずさマジック-Kazusa Magic-(千葉県野球連盟所属)
昨年度主要実績
第66回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第82回都市対抗野球大会関東二次予選代表決定リーグ
一昨年、7年ぶりに都市対抗と日本選手権に出場し、連続出場を目指した昨シーズンだったが、惜しくも都市対抗関東代表決定戦で敗れ代表権獲得はならず。今年は南関東の代表枠が「3」に増えたチャンスを活かせるか。


JR東日本-East Japan Railway-(東京都野球連盟所属)
昨年度主要実績
第66回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第82回都市対抗野球大会優勝
昨年の都市対抗では東京都二次予選を圧倒的強さで勝ち上がって第一代表を勝ち取ると、本大会では粘り強い戦いを見せ、悲願の初優勝。就任7年目の堀井哲也監督が宙に舞った。今季は十亀(埼玉西武)、縞田、川端(ともにオリックス)と主力3人が抜け、厳しい戦いが予想されるが、この穴をどこまで埋める事が出来るか。昨年は大阪開催のため見られなかった名物の大応援団の復活にも期待。


NTT東日本-Nippon Telegraph and Telephone East-(東京都野球連盟所属)
昨年度主要実績
第66回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第82回都市対抗野球大会準優勝
名将・垣野多鶴監督就任3年目となった昨シーズン、NTT東誕生後、チームとして3回跳ね返されてきた都市対抗準決勝の壁をついに突破。電電公社時代以来30年ぶりの決勝進出を果たしたものの、決勝では小石(埼玉西武)の好投も及ばず、同じ東京都のJR東にサヨナラ負けを喫して準優勝。三菱ふそう川崎時代から続いていた垣野監督の都市対抗決勝無敗神話も途切れた。この経験を今季どれだけ活かせるかがカギになりそうだ。


セガサミー-Sega Sammy-(東京都野球連盟所属)
昨年度主要実績
第66回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第82回都市対抗野球大会1回戦
西詰監督就任1年目の昨シーズン、東京都二次予選こそ苦しみながら第三代表を取ったものの、本大会では前年までセガの指揮を執っていた佐々木誠コーチ(元福岡ダイエー、西武。今季から監督就任)の在籍する大阪市NTT西日本にまさかの完封負けを喫した。今季は初の本大会2勝以上を狙う。


東京ガス-Tokyo Gas-(東京都野球連盟所属)
昨年度主要実績
第66回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第82回都市対抗野球大会2回戦
榎田(阪神)、美馬(東北楽天)と投手陣の柱が抜け、苦戦が予想された昨シーズン、チームは東京都二次予選で代表権を取れず、関東二次予選で代表権を獲得、本大会では東広島市・伯和ビクトリーズをサヨナラで下したものの、続く2回戦では名古屋市JR東海に敗戦。3年連続のベスト8入りを逃した。昨年の本大会1回戦で先発のマウンドを踏んだ石川(中部大)、速球が持ち味の山崎(中央大)、長身右腕・岩佐(成立学園)ら、若手の一層の成長がカギか。


鷺宮製作所-Saginomiya Seisakusho-(東京都野球連盟所属)
昨年度主要実績
第82回都市対抗野球大会東京都二次予選敗者復活2回戦
2007年ベスト4、翌2008年もベスト8と都市対抗で上位の成績を残してきた鷺宮だが、ここ2年は東京都二次予選敗退が続いている。今年こそ巻き返しはなるか。ベテラン・岡崎(東洋大)や、昨年の都市対抗にJR東の補強選手として出場し、三菱重工広島打線を相手にあわやノーヒット・ノーランかという快投を演じた小高(八王子北)、元プロ(巨人)の三木(八戸大)らの力は大きいが、彼らに替わる若手の突き上げも必要不可欠な要素となる。


JX-ENEOS(神奈川県野球協会所属)
昨年度主要実績
第66回JABA東京スポニチ大会優勝
第82回都市対抗野球大会1回戦
昨年は開幕のスポニチ大会で4年連続決勝進出を果たし(決勝の中止により、NTT西日本と同時優勝)、都市対抗神奈川二次予選でも圧倒的強さで11年ぶりに第一代表を掴んだものの、本大会では4年前の決勝で下した春日井市王子製紙に敗れ、推薦出場した94年以来、17年ぶりに初戦敗退という屈辱を味わった。京セラドームの日本選手権では、2005年の復活出場以来、1年おきに1回戦敗退とベスト4進出を繰り返しており、そのジンクスが京セラでの代替開催となった都市対抗でも生きているということを証明する結果となってしまった。今年こそ前人未到都市対抗V10、そして91年以来の日本選手権優勝なるか。さらに史上初の三大大会完全制覇の期待も多いにかかる。


三菱重工横浜-Mitsubishi Heavy Industries Yokohama-(神奈川県野球協会所属)
昨年度主要実績
第82回都市対抗野球大会1回戦
一昨年、初の都市対抗ベスト4入りという成績を残し、それ以上の成績を狙った昨シーズンだったが、都市対抗ではJR東北の森内に完全試合を許し初戦敗退という屈辱を味わった。今年は雪辱の年になるか。


東芝-Toshiba-(神奈川県野球協会所属)
昨年度主要実績
第66回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第82回都市対抗野球大会2回戦
都市対抗覇者として迎えた昨シーズン、推薦出場した都市対抗では初戦で神戸市・三菱重工神戸を下して1勝を挙げたものの、2回戦では大阪市日本生命に敗れ、連覇を逃した。「WORLD BASEBALL CHALLENGE 2011」への出場や、ENEOSとの神奈川代表壮行試合があったとはいえ、選手権対象大会が中止になったことで調整が難しかったのも確かだが…。主将としてチームを引っ張ってきた井関、遊撃・安達(オリックス)、右腕・江柄子(巨人)が抜け、新しい陣容となる今シーズンは果たして。


JR東海-Central Japan Railway-
昨年度主要実績
第82回都市対抗野球大会ベスト8
昨年の都市対抗東海二次予選では第四代表決定戦から2連敗。最後の一枠となった第六代表決定戦を取り、5年ぶりの出場を決めると、優勝候補の一角と見られていた北九州市JR九州、2年連続8強の東京都・東京ガスを下し、なんと国鉄名古屋鉄道局時代以来となる75年ぶりの8強進出を果たした。今シーズンも粘りのある野球で悲願の全国制覇を狙う。


トヨタ自動車-Toyota Motors-(愛知県野球連盟所属)
昨年度主要実績
第66回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第82回都市対抗野球大会東海二次予選第四代表決定トーナメント2回戦
3回目の日本選手権優勝を受け、悲願の都市対抗初優勝を目指した昨シーズンは、東海二次予選のリーグ戦から調子が出ず、まさかの予選敗退。代表決定戦にすらコマを進められないという最悪の1年だった。今年は雪辱からの悲願を果たすことが出来るか。


パナソニック-Panasonic-(大阪府野球連盟所属)
昨年度主要実績
第82回都市対抗野球大会1回戦
久保恭久新監督就任となった昨シーズンは、近畿二次予選まで回った末に2年ぶりの代表権を獲得するも、本大会では浜松市ヤマハに延長タイ・ブレークまでもつれた末に敗戦。地の利を活かせず悔しい結果となった。久保監督就任2年目となる今シーズンは4年ぶりの本大会勝利、そして10年ぶりの4強入りを狙う。


NTT西日本-Nippon Telegraph and Telephone West-
昨年度主要実績
第66回JABA東京スポニチ大会優勝
第82回都市対抗野球大会ベスト8
昨シーズンは3月の東京スポニチ大会で初優勝(JX-ENEOSと同時優勝)を果たし、都市対抗大阪・和歌山二次予選では打線の活躍で第一代表を獲得。本大会でもNTT西日本として初出場した第73回大会以来となる8強入りを果たした。今季はその8強入りの立役者の一人である佐々木誠コーチが監督に就任。昨シーズン確立された強力打線をさらに進化させ、悲願の全国制覇を目指す。


日本生命-Nihon Life Insulance-
昨年度主要実績
第82回都市対抗野球大会ベスト8
ここ数年都市対抗では初戦敗退が続き名門らしからぬ戦いが続いていたが、昨年の大会では98年以来となる大会2勝を挙げ、ベスト8入りを果たした。立役者の一人である海田(オリックス)の抜けた穴をどう埋めるかがカギか。西日本勢最後の都市対抗優勝を飾ってからはや14年。


大阪ガス-Osaka Gas-(大阪府野球連盟所属)
昨年度主要実績
第82回都市対抗野球大会近畿二次予選敗者復活代表決定戦
全国大会常連の大ガスだが、昨シーズンは不本意な戦いが続き、大阪・和歌山二次予選から回った近畿二次予選では代表決定戦2連敗でまさかの2年連続の都市対抗予選敗退となってしまった。これは1986年(昭和61年)の初出場以来、初の出来事である。2年前から推し進めている若返り策の結実が復活への最大のテーマ。


JR九州-Kyushu Railway-
昨年度主要実績
第66回JABA東京スポニチ大会予選リーグ
第82回都市対抗野球大会1回戦
都市対抗、日本選手権ともに準優勝に終わった一昨シーズンの雪辱を晴らすべく挑んだ昨シーズンだったが、都市対抗はまさかの初戦敗退という結果に終わった。今シーズンはその悔しさを倍返しに出来るか。