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倒錯委員長の活動日誌 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

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2017-01-19

体験に偶然性をブチ込む TSUTAYAの「NOTジャケ借り」が面白いワケ

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TSUTAYAが昨年10月から始めている「NOTジャケ借り」というレンタル企画がめちゃくちゃ面白い。

「面白さ絶対保証の商品群からパッケージに書かれたレビューの一部分だけを手掛かりに映画を選ぶという斬新なレンタルスタイル。(略)今見たいと思う映画を、心の襞に問いかけながら『直感』でお選び下さい」

ケースの表裏できっちり吟味し、納得した上でレジに持っていく――そんな当たり前を根底から揺るがしています。闇鍋みたいです。

各作品のケースに記されているのは、おそろしくアバウトな一言説明のみ。それだけで、利用者は観たいかどうかを決めてレジにいくという仕組みです。一応、セレクトされた約60作品はレビューサイトで一定以上の評価を得たもののようで、大ハズレはないよう。こうした試みをする背景には、利用率が上がらない古い名作も借りてほしいとの思いがあるとのこと。


いやー、面白い。今は世田谷にある1店舗のみらしいですが、ぜひとも最寄りの店でもやってほしい。

何が面白いってこの「NOTジャケ借り」、VODビデオ・オン・デマンド、視聴者が観たい時に様々な映像コンテンツを視聴することができるサービス)が普及するいまの流れに逆行していますよね。

今の時代、ぼくらは好きなときに好きな作品を好きなスタイルで見ることに慣れてしまいました。VODが便利なのはもはや否定できない事実です。

けれど一方で、どこかその便利さに「窮屈さ」みたいなものを感じませんか? 「いつでもどこでもどれでもお好きなものを観ていいです!」ってすべての選択を丸投げされているわけですが、あまりに選択肢が広すぎるとこんどはその中から「この1本!」と選ぶストレスが出てくる。結果、どれにも手がつけられなくなっちゃうんです。

じゃあ観なくていいじゃんって話ですが、映画は観たいんですよ。でも選ぶのがしんどいんです。

ところがこの「NOTジャケ借り」は、利用者が偶然に身を委ね、「いいからコレ観ろ!」と強制されるわけです。言葉はおかしいですが「不自由であることの自由さ」って絶対あると思うのですね。「NOTジャケ借り」はまさにその「不自由であることの自由」「強制されることの自由」を味わう企画です。

一応、レジでタイトルは教えてもらえるそうで、観たことのある作品をうっかり借りてしまうことは防げます。でも、ぼくは別にダブってもいいじゃないのって思いますよね。いい映画は何度観たっていいんです。それも含めて楽しみましょうよ、と思います。

もよりのTSUTAYAは旗艦店っぽいので、もしかしたらやってくれるかもしれません。それまで楽しみに待っていたいと思います。


関連エントリ

2017-01-18

オレ版2016年シネマランキング

年をまたいでしまいましたが、毎年恒例の今年日本初公開の映画から作るランキング。今回で5回目です。2016年は累計82本観ました。

【過去4年のランキング】

2012年シネマランキング

2013年シネマランキング

2014年シネマランキング

2016年シネマランキング



まず一言言わせて。

2016年豊作すぎ。

いい加減にしろ。

どれだけ迷わせてんだまったく。

ということで、熟慮に熟慮を重ねたオレ版ランキングトップ10、早速発表していきましょー!!


10位 マネー・ショート 華麗なる大逆転

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予告編観たときから脳汁じんわり出てしまっていました。なんたってクリスチャン・ベイル、ブラピ、ライアン・ゴズリング、スティーブ・カレルですってよ奥さん! 原作は「マネー・ボール」の原作者ということで、「らしさ」が出たノンフィクションの金融大逆転劇。ただ、実はそんな軽く流せる話ではなくて、そのあたりの後味の悪さも描いてるところはちゃんとしてる。かなり込み入った話なので、これまた金融ノンフィクションの「インサイド・ジョブ」は観ておいてもいいかも。


9位 レヴェナント

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映画評はこちら。

もはや巨匠然とした雰囲気もでてきたアレサンドロ・ゴンサロ・イリャリトゥ監督の最新作。たぶん昨年、もっとも深いところで怖かった1本。開拓時代に実在した罠漁師の映画。


8位 トリプル9 裏切りのコード

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トリプル9 裏切りのコード [Blu-ray]

トリプル9 裏切りのコード [Blu-ray]

映画評はこちら。

悪い!しぶい!悲しい!の三拍子そろった男たちの殺し合い。


7位 ヒメアノ〜ル

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ヒメアノ~ル 豪華版 [Blu-ray]

ヒメアノ~ル 豪華版 [Blu-ray]

大好きな古谷実原作の実写化としては、「ヒミズ」でがっかりしていたぶん、この作品はホントに嬉しい。こんなに笑えて、こんなに怖い映画もないでしょう。「フロム・ダスク・ティル・ドーン」以上の急転直下ぶり。ムロツヨシは面白すぎるし、森田剛は怖すぎるのでした。


6位 裸足の季節

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裸足の季節 [Blu-ray]

裸足の季節 [Blu-ray]

映画評はこちら。

友達から教わって観て衝撃を受けたトルコ産の家族劇。父親の支配の中で、それでも自分らしさを貫こうとする5姉妹の美しく、はかない生を写し取っています。なんとその5人がほとんど演技経験ゼロだったというのも衝撃的すぎぃ!!


5位 何者

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何者 (新潮文庫)

何者 (新潮文庫)

ご存じ、直木賞を受賞した朝井リョウの名作の映画化。予告編をみたときから「ばーろーこんなの何者じゃないやい」と文句ぶーたれとりましたが、三浦大輔監督に五体投地したい気分。原作に忠実でありながら、なおかつ、演劇者ならでは観点からブラッシュアップがなされ言うことなし。最高に意地の悪い青春ムービーに仕立て上げています。


4位 エブリバディ・ウォンツ・サム!!

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リチャード・リンクレイターの最新作。アメリカの大学野球部に所属する愛すべき馬鹿たちの始業式までを描いています。リンクレイターの映画って、これに限らず非常に要約しづらい。筋のない日常を描いているからです。けれどそれはただ単に何気ないのでなく、何気なさの中に同時にかけがえのなさもあったりして。なんんか、観終わった後にじんわり感動してしまうんですな。


3位 ズートピア

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映画評はこちら

昨年はすし詰め状態で名作が通り過ぎてったんで、最初の方にあったこの映画はもう何年も前の作品のように思えますが…。一応去年でした。もうね、構成はほぼ完ぺきで、ほれぼれします。この映画が公開された年に、あんな大統領が誕生するんですから、こんな歴史の皮肉がありますか?


2位 この世界の片隅に

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この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

なんかもう、これほどまでに語りにくい映画が今まであっただろうか(いやない)。けれど、見逃せない、ほっとけない何かがある。いや、描かれているのは、戦時下にもしたたかに、力強く咲いていた尊い日常なんですよね。その日常を寿ぐでもなく、卑下するでもなく、ありのままに厚みをもって描く。その厚みに圧倒され、ぼくらは言葉を失ってしまうのではないでしょうか。


1位 シン・ゴジラ

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シン・ゴジラ Blu-ray2枚組

シン・ゴジラ Blu-ray2枚組

映画評はこちら

この映画の衝撃は忘れられません。およそ人類が一度に咀嚼できる量など考えていない、情報の洪水。鎌田くんきめえええええええええからの総理ご決断をををををををををををからの竹野内豊の臨時総理をみるときのすがるような表情とかなんとかかんとか、フェティッシュなギミック満載。それだけだとストーリーがクソだとかが相場ですが、ストーリーもいい。3.11後の日本の観客に対しての強烈なメッセージにもなっている。続編あるのかなあ。観たいようで観たくないような。


この他、

エージェント・ウルトラ

ザ・ウォーク

『ノック・ノック』

『ルーム』

『セトウツミ』

高慢と偏見とゾンビ

オデッセイ

なんかと迷いました。


一方、アカンかった映画は「スーサイド・スクワット」「X-MEN アポカリプス」のアメコミ2本。前者はもうブログに書きましたが、前置きなしであんな馴れ合いみせられてもというところ。後者は、とにかく物量で押し切ろうとする悪いときのハリウッド映画のパターンに陥ってた気がします。


いやあ、改めて思うけど、2016年は邦画も洋画も本当に豊作でした。

それでは2017年もどうぞご贔屓に。

よろしく頼んます(*ゝω・)ノ

2017-01-15

年明け早々に目撃した「お笑いリンチ」について

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不思議なもので「年明け」というともうけっこう前に思えてしまうのが、三が日に「ちょっとこれはどうなんだろう?」という番組がありました。それはある特番だったのですが、そこに「辛口お笑いライター」(本人の名誉のために匿名)との触れ込みでブロガーを登場させる場面がありました。


太田光をキレさせたブロガー

なんでもそのブロガー、過去に爆笑問題の漫才を酷評し、太田光をキレさせた逸材とのこと。まあ、太田さんもマジじゃないでしょうし、マジだとしてもその怒りはあるところまでいくと愛に変わってしまうような人なので、純粋に憎悪だけで名前を出したわけではないと思いますが、とりあえずそうした曰くのあるブロガーです。

そうした触れ込みで、いざブロガーがスタジオに登場しました。ブロガーが癖のあるキャラクター(しかもそれは愛着がわくような類でない癖)であったことは否めませんが、それ以上に気になったのは、番組としてのそのブロガーの扱いです。

珍獣」扱いする方向性

文章を書き慣れたブロガーとて、テレビ出演はほとんど初めてのはず。

ところが、スタジオはまるで「珍獣」でもやってきたかのように、そのブロガーをイジり倒すのですね。そのブロガー自体がいちびっていた(関西方面の言葉でふざけていた)ので擁護できないところもありますが、それにしてもあれは人によってはけっこう堪えるはずです。

唯一、博多大吉さんだけはブログで批評する行為に対しては擁護するような発言をしていましたが、他の共演者からブロガーに歩み寄ろうとする気配は一切ないのですね。

SE(サウンドエフェクト)にも悪意があった。他の出演者がしゃべっているのには笑い声がつきますが、ブロガーがしゃべっているときには付けなかったり、くすくす笑いだったりする。それだと否が応でも、ブロガーの発言だけズレたように感じられる。あんなのお笑いリンチですよ。


なにより、最も問題があると感じたのはそのブロガーが普段書いている内容については、ほとんど言及されないのです。なにも、そのブロガーの書く内容が優れているとかそういうことは思いませんが、せめてその内容についてもっと触れてあげればいいのに。おまけに、出演者らについて批評するという体で「フリップ芸」までやらされる。

まるで「そんなにお笑いが批評できるなら、自分でテレビに出たらさぞ面白いことが言えるんだろうね?」と言わんばかり。そしてそのことをエクスキューズにした「お笑いリンチ」でした。


批評家に「じゃあやってみろ」という野暮

しかし批評家に対して、「じゃあ自分でやってみろ」というのは野暮であります。かの辛口お笑いブロガー、高橋維新さんは、かつて太田さんに自分で漫才をやってみろと言われた際、以下のように反論しています。

「そんなに言うならお前がやってみろ」というのは、プロが言ってはいけない反論だと考えています。

 素人は、「お前がやってみろ」と言われても、できないことは十全に分かっています。できないからこそ、できるであろうプロにお金を払って頼むのです。

爆笑問題・太田さんへの反論 - 高橋維新のページ

普段、高橋先生のブログには共感成分がほとんど見いだせませんが、この点に関しては全くごもっともだと思います。

あの番組は、ブロガーをテレビのバラエティ番組に引っ張り出してきて、タレントと同じ目線での振る舞いを要求する、まさに「やってみろ」を実践したものでしかないのです。


「自分でできもしないのに」の怖さ

あの番組を見て複雑な気持ちにあったのは、たぶんぼくもそのブロガーと大して変わらないからでしょう。

ぼくのような泡沫ブロガーがテレビに呼ばれるようなことは万に一つもありませんが、それでも、あのようにブロガーがテレビにおびき寄せられて「お笑いリンチ」を食らっているのを目の当たりにすると、自分と重ねてしまうところがありますし、あの番組を観て溜飲を下げているような人がいるとすると、気持ちが暗くなるところはあります。

おそらく、あの放送(事故)を観た視聴者100人のうち、ブロガーに好印象をもった人はひとりも見つけられないでしょう。1000人、1万人に聞いても難しいかもしれない。大多数の人の心のなかには、全く生産性のない不快感しか残らなかったはずです。

「コンテンツについて偉そうに語るこういうヤツにかぎって、自分では何もできない」「面白いことはできない」そういう感想は間違っていないでしょう。

けれどそこから、短絡的な人が「だからこいつの言うことは取るに足らない」という”間違った”感想をもつことも十分ありえる。

「自分でできもしないのに偉そうに言っている」実はこう思われることこそが怖いのです。

でもそれは違うんです。テレビについて書くことと、たとえそれを踏まえた上でも、実際にテレビに出ることの間には、まだ千里の径庭があります。

三が日から本当にえげつないものを見せられました。何も年明けに放送しなくてもいいでしょうに。年忘れにひっそりとやってひっそりなかったことにしましょうよと。

番組を作った側は、自己満ブロガーをこてんぱんやっつけて満足かもしれませんが、番組から伝わったのはただただ「大人げない」リンチの手法だけでした。


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