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2017-07-26

【映画評】ジョン・ウィック:チャプター2

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最強の“元”殺し屋、ジョン・ウィックが活躍する待望の続編。

前回、復讐のために闇の世界に舞い戻ったジョンでしたが、今回はその「代償」を支払うため、一路ローマへ飛びます。そこからはさあ大変。怒涛の「殺し合いの螺旋」へとなだれ込んでいきます。


結論からいいましょう。こんなに面白かった続編は久しぶりです。「ジョン・ウィック」そのものも充分面白かったですが、確実に越えてきました。続編で規模がスケールアップするのは常道ですが、今作についてはそのスケールアップの方向性がなによりもたまらなくいいのです。前作でも登場した謎めいた組織「コンチネンタル」。ジョンをはじめとする闇の住人の社交場兼道具屋的な趣のある組織ですが、今作ではさらに魅力的なディティール、奥行きがつけられています。

「うわあ、平穏な日常の背後にこんな闇の世界が広がっているとしたら、怖いなあ」と思いながらも、否が応でもひきつけられてしまうディティールです。

もちろんアクションも申し分ありません。前作からジョンと言えば「近距離ヘッドショット」です。従来の銃撃戦というと、撃つ方と撃たれる方をカットバックして描写するものですが、ジョン・ウィックはほぼほぼ近距離武器として銃を扱うのですね。頭を容赦なく撃ち抜くわけです。

近距離戦でのガンアクションに加え、打撃、寝技と忙しいアクションはたまりません。特にコモン演じるアシアン戦は、ここ数年のアクション映画では最高の出来ではないでしょうか。刮目せよ、です。

それから、ジョン・ウィックのいいところは、最強とはいえど「敵にそこそこ撃たれちゃう」ところです。シューティングゲームの「FPS」っぽさを意識してるんじゃないか、と勘繰っています。後ろからおもいっきり背中を撃たれたりするから、観客も気が抜けないですし、リアリティがあるんですね。


あろうことか、世界中の殺し屋から狙われる羽目になったジョン・ウィック。劇中、ジョンは常にくたびれた顔をしている。前作から通じますが、彼は闇の世界から足を洗いたかったただそれだけなのです。にもかかわらず、次から次へと押し寄せてくる刺客刺客刺客。ジョンは自身の身に降りかかる理不尽への怒りと、いつまで続ければいいんだという徒労を表情に出して、それでも戦います。

マトリックス」以降、キアヌ・リーヴス史上最高のハマり役の誕生です。


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2017-07-23

どうしてぼくたちは平和に別れることができないのか


ちかごろ有名人一般人を問わず、別れた男にされたことや怒りをブログや動画を通して暴露するのが女性の間でトレンドになっているようです。

一度投稿されたら、二度と削除することができないこのネット社会。一度は愛し合ったふたりなのにどうしてそんなことをするのでしょう。

最も、こうしたカップルの結末は昔から珍しくなかったでしょう。100年の恋も、いざ終わるとなれば、100年は草木の生えない最終戦争にまで行き着いてしまうことだってある。ネット社会は、そうした醜聞が可視化されただけかもしれない。

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ここで我々が省みるべきなのは、「好きの反対は無関心」という、学習指導要領にでも明記しておくべき絶対的な愛情の「定理」であります。感情は絶対値で測るべきで、怒りや憎しみの中には必ず、好きと同じ相手への執着心が隠れています。

元恋人や元夫に対する暴露をブログや動画でアップロードし続ける行為が、どうして「無関心」といえるでしょう。そこには報われずに腐り、どす黒く変色してしまった「好き」が必ずあります。好きだったからこその憎しみであり、怒りなのです。そのことは、ボールペンのインクが切れるまでアンダーラインを引き続けても、引きすぎになることはありません。それぐらい重要なことです。


もしも、肉体的な損失や経済的な損失があるならば、もちろん償ってもらうために訴えてもいいでしょう。しかし、それ以外の精神的な部分は、あなたが要求してもけっして満足なものは返ってきません。

あなたが相手に固執して行動に移した回数だけあなたの負けですし、あなたが相手に固執した時間だけ、あなたの負けなのです。それは逆立ちしたって変わりっこない。

厄介なのは、そうした怒りや憎しみを本人が正義などと勘違いして突き進むフェーズに入ったときです。「こんな男をのさばらせておくのは世のため人のためにならない」という義憤に駆られてやっているうちは気持ちいいでしょうが、その「義憤」は相手に対して憎しみが姿かたちをかえたかりそめの形。相手に固執することを自らに許す体のいい言い訳でしかなく、もっといえば甘えです。


もちろん、私的な「復讐」だからといって許されるわけではない。

この負のサイクルを断ち切る方法はひとつしかありません。固執しないことです。投資に詳しい人ならわかるでしょう。損切です。そんな憎しみはもっていたって紙切れ同然の株券なのです。いつか何かの拍子に跳ね上がるなんて期待しちゃいけません。

以前、真の意味での「いい彼氏」「いい彼女」「いい恋人」「いい伴侶」というのは、もしかしたら別れた時にしかわからないのではないか、と書いたことがあります。今もその考えは変わりありません。

人柄なんて、関係が良好なときにはわかりっこありません。その人の本質は別れたときにしかわからず、悲しいかな「いい彼氏」「いい彼女」「いい恋人」「いい伴侶」とは常に「いい(元)彼氏」「いい(元)彼女」「いい(元)恋人」「いい(元)伴侶」としてしか立ち現れないのです。


ここまで書けばわかるでしょう。恋人、伴侶に裏切られたあなたがその連鎖を断ち切るためには、 胸の張り裂けるような思いをしての「発想の転換」が求められます。

それは相手にとって「いい(元)●●」になることです。この世界において最も美しい復讐は「いい(元)●●」になることしかありません。別れをもちだされ、修復不能だとさとったとき、後腐れなくさっぱり別れてやること。そのとき相手は「いい人だな」と思うわけです。そしてその「いい人」は、「もしかしてこの人と別れるという選択は間違っていたんじゃないか」という不安と後悔に代わります。

相手に一抹の後悔をあたえる「いい(元)●●」でなること。それが唯一にして最大の復讐であり、美しい別れ方なのであります。


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2017-07-22

【映画評】インフォーマント!

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インフォーマント! (字幕版)

インフォーマント! (字幕版)


「オーシャンズ」シリーズのスティーブン・ソダーバーグとマッド・デイモンが組んだ一作。インフォーマントとは「情報提供者」の意で、主人公のマーク=デイモンは、大企業の重役という安泰の地位につきながらも、大規模な価格カルテル=不正をFBIに向けて告発することになる。90年代前半に起きた実話が元になっています。

この映画、予備知識を得ることなく観始めたのですが、結果的にそれでよかったと思います。愛する家族もありながら、巨大な企業を相手にたった一人で立ち上がった内部告発者――そうした勇ましいテイストの映画かと思って観始めましたが、DVDのジャケットが示す通り、内実はどこかそれとはちがう。

当初それは、マークの些細な「ミス」として記されます。このマークという人、ちょいちょいFBI捜査官に怒られるようなどこか抜けた人物なのです。その「抜け」は最初は些細なものですが、徐々に大きくなっていき、「あれ…この人…」という風になっていく。マークに味方しようとしていた劇中の人物と同様、観客も彼の意外な素顔に気づき、気持ちが離れていく。

おもしろいのは、後半になるにつれて本来はシリアスな場面なのに鳴っているBGMはひょうきんというか、まるで「サザエさん」のそれのようになっていくギャップです。劇中の人々はマークの言い分に本気で困惑しているのですが、それを観ているわれわれとしていえば、喜劇でしかないのです。

この映画、観ていてどこか既視感に襲われました。突如現れた勇敢な内部告発者に、思いもよらぬ別の疑惑が浮上する……そんな話を最近どこかで聞いたことがあるような気がするのです。マークのように息を吐くように嘘をつく人もいるものです。

事実は小説よりも奇なり。そして、どこにでも転がっているものなのかもしれません。

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