メーデー

 今日5月1日は労働者の祭典「Mayday」。でもこれを三回繰り返す「Mayday Mayday Mayday」は無線電話の国際救難信号。何でまた、と思っていましたが、救難信号の「メーデー メーデー メーデー」はフランス語の"(Venez) m'aider"「私を助けに来てください」に由来するとか。確かにaiderは英語のto helpに相当する動詞ですが、aiは「エ」と発音されますから「Mayday メイデイ」とはちと違うんじゃないかと…


 救難信号のうち音声じゃないもの、たとえば無線電信のそれは「S.O.S」が有名でしたね。モールス符号などこれしか憶えてませんでした。「・・・ --- ・・・」(トントントン・ツーツーツー・トントントン)です。世界で最初にこのSOSを発したのがあのタイタニック号だったとか何かの本で読んだことがあります。
 SOSについても「Save Our Souls」「Save Our Ship」「Stop Other Signals」「Sure Of Sinking」云々と、いろいろな言葉の語頭を取ったものだとか言われていましたが、結局これは憶え易く聞き取り易い信号を並べたらSOSの符号になっただけのはず。
 これは憶えておいて損はないぐらいに思っていますが、現在船舶では緊急信号発信に国際海事安全システム(GMDSS)が使われていて、モールス符号での救難信号は使われていないと聞きます。十数年前、テレビのニュースでそれなりに大きく伝えていた覚えがありますね。


 あと山岳での救難信号で、手をY字に大きく広げて動かずにいるのが「救助求む」。右手を開いてまっすぐ上に挙げるのが「すべて良好」という意味だそうで、これも何かのために憶えておきましょう。


 フランス語では、aiderよりも実用的に「Au secours! オスクー(ル)」(助けて!)を頭に入れておくべきでしょう。aiderの用例で憶えているのは一つだけ

 Aide-toi et le ciel t'aidera. (天は自ら助くるものを助く)

 ですが、これもまたネオリベとか言われてしまうのでしょうか(笑)

雑誌の特集

 お堅い?雑誌で、妙にやっこい特集が組まれているとついつい手が出てしまうもの。巷で話題の『ユリイカ』は昔何冊か読んだと思いますがほとんど憶えておらず、まして今どんなものが書かれているかわかりませんが、『現代思想』ならバックナンバーを結構集めて持っていたりします。
 で、その70年代あたりの特集は、それなりに「そそる」ものがありましたよ。持っているものの中からピックアップしてみると…


1976 vol.4-1
特集=性 対幻想とはなにか
江守五夫/青井和夫/マリノフスキー/阿部年晴/ハヴロック・エリス
安田一郎/小此木啓吾小田晋岸田秀/渡辺あき子/利光哲夫/ライヘ
インタビュー<対幻想とはなにか> 吉本隆明
トインビー追悼=秀村欣二/木村尚三郎


 あと1978年はこういうのが多いです。


1978 vol.6-1
特集=愛の論理 エロスの解剖
蓮實重彦新倉俊一木村尚三郎米山俊直河合雅雄小原秀雄
対話<愛とやさしさ> なだいなだ/谷川俊太郎
対話<文学の現在を問う> 柄谷行人中上健次


1978 vol.6-2
特集=サド サディズムと現代
澁澤龍彦岸田秀/ベアトリス・ディディエ/ユベール・ジュアン/フィリップ・ロジェ/岡三郎


1978 vol.6-6
総特集=近親相姦 臨時増刊
吉本隆明野口武彦澁澤龍彦日野龍夫小此木啓吾/吉田敦彦/岸田秀田中克己/安野早己
河合隼雄河村錠一郎/吉田禎吾/小田晋/菅原孝雄/有地亨/利光哲夫/アバール
高橋英夫/梶原景昭/オットー・ランク/スレイター


1978 vol.6-9
特集=フェティシズム
対話 柄谷行人岸田秀 <経済学批判と心理学批判 フェティシズムについて>
モーリス・ゴドリエ/ジャン・ボードリヤール/ゲープザッテル/ロバート・バック/栗本慎一郎
講演 玉野井芳郎 <交換の起源をめぐって>
連載 廣松渉 <上昇的展開と四肢構造>
特別企画=ジャック・デリダは語る


1978 vol.6-11
特集=ポルノグラフィー
澁澤龍彦清水徹高橋康也岸田秀河村錠一郎海野弘池内紀/安田一郎
大島渚/富島健夫/栗本慎一郎ミシェル・フーコージャック・デリダ


1980 vol.8-10
特集 エクスタシーの哲学
高橋康也/井上忠/八木誠一/小此木啓吾秋山さと子/…/五十嵐一 他


 書き写すのがしんどくなったのでこの辺で…。それにしてもこういうのだけ並べると、私がちょっと歪んだ基準でバックナンバーをあさっているような印象が orz


いやあ、時代を感じるお名前がずらずらとありますね。次の特集も面白かったのですが、
1976 Vol.4-11
特集 死 その総合的研究
吉本隆明〈死はなぜあるか〉
高橋義孝山崎正一稲垣良典/野田春彦/三枝和子/大林太良
岸田秀/北沢右三/早乙女忠/矢島文夫/長谷川博隆/新倉俊一市川慎
岩田慶治阿部謹也/井門冨二夫/古田幸男/吉田敦彦/加藤茂
好評連載第五回〈書物の世界〉山口昌男高階秀爾中村雄二郎
追悼〈森有正の死〉中村雄二郎阿部良雄


 森有正さんが亡くなってます。ここらの方々の本も結構読ませていただきました…。まあ『現代思想』は今世紀に入ってから新刊を買ったことはないですが(まだ刊行してますよね?)、時代の変遷とか内容の陳腐化というものが多少あるにせよ、こうしたバックナンバーは暇なときに読むとすごく楽しいです。
 ユリイカがどうあれ、雑誌の編集としてはこのぐらいの遊びを持っている方が読者を増やしますよ、きっと。