新銀行東京は欧州での資金調達に苦戦していた

多額の累積赤字を抱えて経営難に陥っている新銀行東京が平成18年、欧州市場で1000億円の社債発行枠を設定したが、実際の発行額が157億円にとどまっていたことが19日、分かった。新銀行は開業当初、国内で500億円の出資を見込んでいたが不調に終わり、活路を求めた海外でも資金集めに苦戦していたことになる。新銀行は国内格付け会社から「A+」の評価を得ていたが、国内外の金融市場からはより厳しい評価をうけていた実態が、改めて浮き彫りになった。

 新銀行東京の話は尽きないなあ。でも、まあ開業当時からビジネスモデルに難があることは指摘されていたわけで、欧州金融市場の玄人筋から見れば、「ちょっと・・・」という話だったのだろうなあ。でも、「A+」の格付けを持っていたというのもすごいけど。最終的には東京都が保証するという前提の「A+」だったのだろうか。現在の格付けはどうなんだろう。

SF作家、アーサー・C・クラークが死去

小説「2001年宇宙の旅」で知られる英国人サイエンスフィクション(SF)作家アーサー・C・クラークさんが、スリランカで死去した。90歳だった。クラークさんの秘書が19日明らかにした。

 SF作家で、「2001年・宇宙の旅」の原作者、アーサー・C・クラークが死去。「幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)」とか、「地球村(グローバルビレッジ)の彼方―未来からの伝言」とか、あったなあ。
【参考】ウィキペディアによると「アーサー・C・クラーク」は
 wikipedia:アーサー・C・クラーク

柴田三千雄「フランス革命」

フランス革命 (岩波現代文庫)

フランス革命 (岩波現代文庫)

 網野善彦のように民衆、社会の視点から、さまざまな事実を検証し、フランス革命の歴史を見ていく。教会に残っている遺書から社会階層の変化を読んだり、革命後の国民公会の投票行動から議会多数派の動向を分析したり、実証的な歴史研究から、貴族VSブルジョワの対立というよりも、貴族、ブルジョワ、民衆の三者があるときは対立し、あるときは連携し、相互に影響を与えながら、状況を変異させ、フランス革命が成立していった姿を描く。貴族も、ブルジョワも、民衆も一枚岩というわけではなく、それぞれに革命、反革命のグループがあり、相互に影響を与え、その立場も変異していく。これまで何となく常識と思っていたフランス革命像に転換を迫られるところもあった。例えば、ロベスピエール極左派かと思ったら、実は中道派で、議会では少数派でありながら、革命を求める民衆運動の力をバックに、過激で革命を危険に陥れかねない左派と、革命を抑えたい右派の双方を粛清していく。で、最後は、自分たちにも粛清の矛先が向くのではないかと恐れた左右両派から反撃を受けて、抹殺されてしまう。これなど政治劇としてありそうだなあ。で、ロベスピエールについての一節。

 ロベスピエール派は民衆運動のコントロールを強化することにより、民衆運動を骨抜きにしてしまったといえます。ロベスピエールの片腕といわれた公安委員会の一人のサン=ジュストが、その手記に、「革命は凍りついた」と書いています。これは非常にシンボリックな言い方です。つまり民衆運動のエネルギーが革命独裁を生みだしたにもかかわらず、それが革命独裁によって完全にコントロールされると、民衆運動でなくなる。なぜなら、そのエネルギーはコントロールされない自律性のなかにあるからです。「革命は凍りついた」ということは、革命独裁が自分を生みだしてくれた民衆運動の熱狂的な力を、自分自身の手で圧殺したことを物語っているのです。これがロベスピエール派の没落の意味だと思います。

 なるほどなあ。政治という力学は動的なもの、勢いなんだなあ。著者は、フランス革命が生まれた条件を3つあげる。

 既存の支配体制が統合力を失ったこと
 大規模な民衆騒擾が発生したこと、
 この事態に対処する能力をもった新しい政治指導集団になりうるものが存在すること

 これは他の革命にも通じるのかもしれない。で、この本、講演をまとめたもの。そのため、論文として書き下ろされたものに比べると、流れがまったりとしている。また、著者自身、あとがきで「限られた回数しかないセミナーで、私がフランス革命の解釈や比較の方法とかの問題に時間をさきすぎている、との印象を与えているかもしれない」という通り、第I章は解釈論、学説論に終始していて、ちょっと読みづらい。で、著者は「冒頭から解釈だ方法だという議論はわずらわしいと思われる読者は、第II章、あるは第III章から読みはじめて下さっても構わない」と書いている。はい。私は第II章から読みはじめました。
【参考】
 ・ウィキペディアにみる「フランス革命
 wikipedia:フランス革命

映画監督、アンソニー・ミンゲラが死去

映画「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年)でアカデミー賞監督賞を受賞した英国人映画監督、アンソニー・ミンゲラ氏が18日、ロンドンの病院で死去した。54歳。同氏の代理人が明らかにした。代理人によると、ミンゲラ氏は先週、へんとう腺と首にできたがんの手術を受けており、手術は成功したものの、その後起きた出血を止めることができなかった。

イングリッシュ・ペイシェント [DVD] リプリー [DVD] コールドマウンテン [DVD] ミンゲラと言えば、やはり「イングリッシュ・ペイシェント」。格調高いメロドラマだった。映像も音楽も美しく、レイフ・ファインズも、クリスティン・スコット・トーマスも、ジュリエット・ビノシュも、ウィレム・デフォーも、コリン・ファースも、いまや「LOST」のサイードといったほうが通りがいいナヴィーン・アンドリュースも、みんな良かった。美しい映画だった。しかし、その後は、もうひとつ、これといった題材に出会わなかった感じがする。「リプリー」は「太陽がいっぱい」のリメイクで、マット・デイモンアラン・ドロンを超えられず、ミンゲラもルネ・クレマンを超えることはできなかった。「コールド・マウンテン」も文学巨編といった感じだったが、もうひとつ冴えなかった。米国人を主人公にしたものよりも、欧州の人間を対象にしたほうが良い映画になる。欧州的体質の人だったのかもしれない。
【参考】ウィキノミクスによると「アンソニー・ミンゲラ」は
 wikipedia:アンソニー・ミンゲラ

米FRB、FF金利を0.75%下げ、NY株式市場は急反発

米連邦準備理事会(FRB)は18日開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、最も重要な政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.75%引き下げ、年2.25%とすることを賛成多数で決定、即日実施した。FOMC終了後に発表した声明で「下振れリスクはなお残る」と景気の先行きに懸念を表明。「必要に応じて迅速に行動する」と強調し、一段の追加緩和に含みを残した。

 FRBは市場の沈静化に必死。FF金利を0.75%下げ。市場では、1%の大幅下げを予想する向きもあったが、それよりは0.25低く、利下げを余地を残した形。でも、株式市場は反応。

18日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅続伸。前日比420ドル41セント高の1万2392ドル66セントと、2月28日以来の高値で終えた。上げ幅は2002年7月29日以来の大きさ。ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに急反発し、同91.25ポイント高の2268.26で引けた。証券大手の決算が市場予想を上回り、信用リスクを警戒する市場の安心感を誘った。

 リーマン・ブラザースとゴールドマン・サックスの決算発表があったが、これが思ったよりも良かったと言うこともあったんだな。でも、当分、神経質な展開が続くんだろうなあ。

日銀総裁が空席。白川副総裁が総裁代行に

参院は19日午後の本会議で、政府が再提示した日銀正副総裁人事案を採決し、福井俊彦総裁の後任に元大蔵事務次官の田波耕治・国際協力銀行総裁(68)を充てる案を民主党などの反対で否決した。福井氏の任期は19日で切れ、戦後初めて日銀総裁が空席となる事態に陥った。福井氏は同日、副総裁に就任する白川方明(まさあき)・京大教授(58)を総裁代行に指名した。政府は日銀総裁について別の人事案を提示する方針だが民主党との接点を探る作業は難航が予想され、決着は4月にずれ込む公算が大きくなっている。

 日銀総裁人事、田波総裁案が参議院で否決され、ついに日銀総裁が空席に。日銀史上初めてかと思ったら、戦後初めて。昔はどうだったのかと思ったら、そもそも初代総裁の吉原重俊が1887年(明治20年)12月19日に病死・退任。2代目の富田鐵之助が就任したのが翌1888年明治21年)2月21日。2カ月の空席があった。このほかにも戦前には任期途中での病死や大臣就任などがある。でも、戦前と今とでは、影響力が違うからなあ、と思うものの、インターネットで海外のメディアを見ても、あまり大きく取り上げていない。米国の証券大手決算やFRBの利下げのほうが要注目で、日本は無視かしら。呆れ果てているのか。
 で、福井総裁の最後の会見は、こんな具合。

日本銀行福井俊彦総裁は任期が満了した19日、退任の記者会見を行い、次期総裁が空席となっていることについて「後任が決まらないのは歴史的にも異例で残念だ」と述べた。民主党などが財政と金融の分離を理由に武藤敏郎副総裁の昇格案や、田波耕治・国際協力銀行総裁の総裁就任案に反対したことには「通貨価値を安定させるという決意や市場を大切にする心などがあれば、出自は関係ない」と批判した。

【参考】
・歴代日銀総裁一覧
 http://www.boj.or.jp/type/list/rekidai/governor.htm

日銀総裁空席でも、日経平均は急反発

19日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に続伸。終値は前日比296円28銭(2.48%)高の1万2260円44銭で、3営業日ぶりに1万2000円台を回復した。過度な信用不安の後退を背景にした18日の米株の急伸と円相場の下落を好感した買いで、主力株は終日、ほぼ全面高だった。東証株価指数(TOPIX)も大幅に続伸した。

 日銀総裁の空席よりも、マーケットは、FRBの利下げと米国の証券大手の決算を好感した形。ニューヨークも、アジアの各市場も上げていたからねえ。政治のほうはもう見放したのだろうか。とはいえ、日経平均が1万2000円台を超えはしたものの、最後は伸び悩み気味。今ひとつ、力強さには欠ける。米国の景気が後退することに変わりはないだろうし、米国が利下げに走れば、円高要因にはなっていく(今日は円高一服だったけど)。もろもろ考えると、まだ強気にはなれないよなあ。国内要因よりも海外要因でマーケットは一喜一憂するんだろうか。とはいえ、日銀総裁空席のまま政府が放置するようならば、やっぱり売られるだろうなあ。