yyzz2;虫撮記【虫画像・他】

昨年までは虫撮りの記録および虫の話題です。

苫小牧から転勤して,現在は遠軽町で活動……していません。

HPはhttp://yyzz2.sakura.ne.jp/。Twitterは更新連絡と愚痴。https://twitter.com/yyzz22

現在,心ならずも完全不定期に陥っています。

17-02-20(月)

[]ウスベニスジナミシャクに関する訂正。Episteira属・Esakiopteryx属・Euchoeca属更新。 ウスベニスジナミシャクに関する訂正。Episteira属・Esakiopteryx属・Euchoeca属更新。を含むブックマーク ウスベニスジナミシャクに関する訂正。Episteira属・Esakiopteryx属・Euchoeca属更新。のブックマークコメント

 とにかく,こちらのブログにあげないと検索エンジンがインデックスしてくれない。HP更新の続き。

  • Episteira属
    • これも「複合属名」。Steirophora属由来でそっちは問題ない。
    • 以下はSteirophora属の話。この属は,ウォーレン(William Warren。参照:William Warren (entomologist) - Wikipedia)自ら作った属で,タイプには,Steirophora punctatissima (新種)が指定されている(原記載)。自己完結である。現在は,「Phthonoloba punctatissima」になっているのだろうが(Episteria も Phthonoloba もウォーレン新設の属である。ここら辺の蛾は彼の周りをぐるぐる回っている印象。とにかく彼は属を細分化したいタイプの人なのだろうな),画像が全然見つからない。採集地がブータンだのセレベスの標高5千フィートとが書いてあるから仕方ないのかもしれない。
  • Esakiopteryx属
    • ウスベニスジナミシャクには緑のと赤茶色のと黒いのとがいて,わたしの経験では,早春(緑)→春(赤茶)と個体数が変化している。そこから,わたしは「緑が時間につれて退色していく」と考えていたが,どうやら誤りだったらしい。わたしの昔のブログを信用しないこと(気がついたものは直した)。
    • というのも,命名者のバトラー Butler(Arthur Gardiner Butler - Wikipedia。独語が最も詳しい)の原記載に「sap-green band」とあるのである。サップグリーンというは乱暴にいえば深緑。バトラーが見ているのはヨコハマから送られてきた標本のはずだから,色褪せするならしていないはずがない。はるばる海を越えても緑色だったのである。退色は起こっていない(本当は自分で捕まえてきて実験すればいいのだが…)。
    • さらに上記記載文には続きがあって,「Var.(変種) elegans」なるものが出てくる。これは現在は単なる個体変異として E. volitans と区別されていない。こうある。

前翅の基部と中央の帯は,緑色の代わりに赤茶色である。

結論。ウスベニスジナミシャクはいろいろなのである。

 Butler, 1878, Ill. Het. B. M. 3, pl. 54 からの図版。ここでは,Lobophora volitans の名称で扱われている。

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  • Euchoeca属
    • これはヒュブナーが美麗に描きすぎ。

 

 仕事は全然進んでいない。しかも週末は「みちのく会」である。

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17-02-19(日)

[]地味シャク色々更新(1)。Entephria属・Epilobophora属・Epirrhoe属・Epirrita属。 地味シャク色々更新(1)。Entephria属・Epilobophora属・Epirrhoe属・Epirrita属。を含むブックマーク 地味シャク色々更新(1)。Entephria属・Epilobophora属・Epirrhoe属・Epirrita属。のブックマークコメント

 書きためていた分を放出してHP更新。

 

  • Entephria属
    • 北海道にはシロテンサザナミナミシャクが分布するが,高山蛾なので全然知らない。種小名の通り,交尾器で区別するらしい。説明は,『標準図鑑 1: 264』の方が詳しい。

♂交尾器(Fig. Nsha4-2):前種[=サザナミナミシャク]コスタは細く骨化するが,本種では幅広く骨化する。

いずれにせよ,1955年記載では画像は手に入りっこない。

  • Epilobophora属
    • いわゆる「複合学名」で,元ネタに気づけば簡単。元ネタ学名に深みではまらないつもりなら,流してしまうことができる。
    • 画像は,Lobophora属の原記載文,Curtis, 1825 . British entomology 6 : 81

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  • Epirrhoe属
    • 画像は,Butler, 1879, Ill. typical Spec. Lep. Het. Colln. Br. Mus. 3, pl. 54, fig. 11 (Melanippe)。私の写真よりも,こちらの方が上質である。

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エルンストの『百頭女』もそうだけれども,だいたいがわたしは石版の線が好きなのかもしれない。

  • Epirrita属
    • 命名者のヤコブ=ヒュブナーについては,いつかどこかで,きちんと紹介しておく必要のある昆虫学者だと思う。
    • たかがWikipediaではあるが,日本語での彼の項目がないのは日本の昆虫学が歴史の厚みを欠いていることの証左である。(ちなみにWikiでは11か国語あるようだ。分量は色々。さすがに生国である独語版がもっとも詳しい。わたしの独語はかなり悲惨なのでgoogle翻訳を使って英語で読んでいる。「独→英」は結構読める)。

 

 長くなって,図版やリンクが多くなって疲れてきた。出勤拒否病(いちおう風邪)の病み上がりであって気力や体力がない。期末考査や生徒に買わせる副教材のリスト作りが心にのしかかっている。

 続きは次回に。

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17-02-11(土)

[]Ecliptopera属更新。後節“-pera”について Emmet 批判。 Ecliptopera属更新。後節“-pera”について Emmet 批判。を含むブックマーク Ecliptopera属更新。後節“-pera”について Emmet 批判。のブックマークコメント

 HP更新

 学名調べに使っている本の一つ。

 イギリスの鱗翅をほぼ網羅して学名解釈を行った本で,平嶋『蝶の学名』から恣意性を取り除いた辞典的なものと思えばいい。イギリスと日本とでの共通の属や種が少なくないので,確認のために必ずひもとくことにしている。

 

 もちろん全面的に信用するのは禁物で,ときどき首をひねらされる。

 今回の「Ecliptopera」にはずいぶん苦しめられた。Ecliptopera について彼はつぎのような(恐るべき)解釈をしているのである。

※改行及び赤字及び[  ]はyyzz2による。

(p.169)

εκλειπω(ekleipô),失敗する,欠乏する。οψ,οπος(ops,opos),眼[face]。ウォーレンは,属の記載において「眼は丸くなく,斜めに扁平で,下端部は小さな点になっている」と書いている。

 マクラウド[Macleod][エメットに先行する『Key to the names of British butterfles and moths』の著者。エメットの目的の一つは マクラウドの誤りを正すことにある]は「Eclipes,不十分な。peras,端。前翅翅頂が角が鈍いことから」とする。

 マクラウドの解釈は「翅頂の角が鈍く,ほとんど鉤型に近い」というウォーレン自身の語と矛盾している。つまり,περας(peras)は時間の終わりあるいは目的を意味するのであって,決して場所的な終わり,すなわち端を意味していない。

 さて困ったのである。エメットの解釈に従うなら,最後の最後の“-ra”が分からない。やっぱり「peras」に思えるのである。

 ウォーレンが「-pera」語尾を採用している属名は12属あって,原記載を片っ端から調べたのだが,「眼」の意味では全然使われていない(ウォーレンは「翅脈」重視派である)。百歩譲っても「Ecliptopera」にしか“ops”は使えそうもないという結論となった。「peras」がダメでも,「pera」には「小さな袋」の意味もあるから,後翅後縁の袋の線も考えたが無理筋である。

 辞書を引き直すと,「peras」に「boundly(境界)」とか「το π. ,tip」とか書いてある。常識的には「場所」である。さらにウォーレンから離れれば,例えば Hampson の「Chrysopera(金色のpera)属」は画像を見れば,これはどうしたって「翅の端っこ」に決まっている。

 というわけで,エメットのギリシア語理解が正しいとしても正しすぎ。命名者はもっといい加減であろう。例えば,Stephens, 1834 では「Anchylopera(鉤のpera)」に

περας terminus

http://www.biodiversitylibrary.org/item/34014#page/115/mode/1up

の註が付いていたりする。これも翅頂が鉤型にえぐれたハマキガである。

 

 エメットが語学的に何を言おうとも,「-pera」は「peras(端っこ)」であるというyyzz2の結論である。

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17-02-05(日)

[]Costaconvexa属・Dysstroma属更新。Dysstroma のジェンダーについて。 Costaconvexa属・Dysstroma属更新。Dysstroma のジェンダーについて。を含むブックマーク Costaconvexa属・Dysstroma属更新。Dysstroma のジェンダーについて。のブックマークコメント

 HP更新

  • Dysstroma属
    • これが思いの外難物。学名関係者をいつも悩ませる「ラテン語の性」(さが,と読んではいけない。ジェンダーのこと)の問題である。最新の『標準図鑑』では,種小名の語尾はすべて女性形に統一された。つまり,「Dysstorma」のジェンダーを女性とみなしたということである。

 考え出すとこれは面倒くさい。『国際動物命名規約第4版』(日本語訳はhttp://www.ujssb.org/iczn/pdf/iczn4_jp_.pdf)ではこう。

(p. 30)

30.1.2

 属階級群名であって,ラテン文字への換字のみを施しそれ以外変更していないギリシア語の単語であるかまたはそれに終わるものは,標準的ギリシア語辞書のなかでその単語に与えられている性をとる。

 つまり,「ギリシア語まんまのものは,ギリシア語での性」ということ。「stroma」はギリシア語“στρωμα”そのまま。この語は「中性」である。だから厳密にやるなら,種小名語尾は中性形 -um になるべき。実際はそうなっていない。

    • サイト「Lepidoptera and some other life forms」(これは非常に便利なサイトである)の「Dysstroma」の項では,女性形と中性形が混在している。
    • みんなで作る日本産蛾類図鑑」では,「中性形」に統一されている。(これは英断だと思う)。
    • その他,「EOL」ではすべて「女性形」。
    • その他の研究者の記載文でも大抵は「女性形」。
    • 平嶋義宏,1983,やどりが 113, 114: 12 では,「中性」に直すことを主張している。

(…)Dysstromaという属名もある。前節のdys−(δυσ.)は不分離接頭辞で,“悪い”“不幸な”などをあらわす。本属は女性に扱われている。本属には8種の邦産種があるが,そのうちの7種の種名の語尾を訂正せねばならない。

 混乱しているのだが,それでも,規約を厳密に適用するなら,これはやっぱり「中性」である。ところが「EOL」に代表されるように,慣用的には Dysstroma は女性ジェンダーで扱われている。囲碁将棋用語でいうなら「味が悪い」状況である。

 さて,命名者のヒュブナーは Dysstroma の最初の蛾を「Dysstroma Russata」としていて,これは女性形である。規約では「何だか分からないものは命名者が性を指定する」となっていて,どうやら今回のケースは(すでに女性で定着しているということもあるだろうが)「命名した Hübner の意向を尊重して」という相場だと考えられる。

 

 というわけで色々大変なのである。こんな学名調べからでも「分類するとはそもそもどういうことか」とか「種とはそもそも何か」などの問に発展しかねない。分類学とはおそらく「歴史学」や「知識論哲学」のジャンルに属するに違いないと思うようになってきている。(そして,そういう問題を扱った論文がやたら難しい。困る)。

 

 おまけ。まるきりお遊戯会だね。何も考えずに見ましょう。

D

 谷山浩子は次世代あたりには忘れられる歌手なのだろうけども,もったいないなあという感想。

北の国から北の国から 2017/02/07 11:51 谷山浩子、大貫妙子などの独自の世界観、音楽性を有する創作者の評価は両極端なのでしょうね。家内はグレン・グールドの演奏を好み、初めて聴かされたときは前述のお二方の世界観に似たような、異空間に触れたようにも感じました。わたしは山下洋輔に心酔していますが。どのような楽曲、創作に対する評価も受け手がわの感性の違い(成熟とはニュアンスを異にする)なのでしょうね。

yyzz2yyzz2 2017/02/08 18:59 山下洋輔は日本ジャズの歴史に残るでしょうね。身も蓋もない表現ですが,わたし自身のの好みは別として,「(その分野での)歴史に位地を占めるのか,こぼれ落ちてしまうのか」が結局大切なのだろうと思っています。それはそうなのだけれども,それでも「世界は勝者のためだけにある」のではないわけで。我ながら屈折していますねえ。

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17-02-01(水)

[]Carige属・Catarhoe属・Chloroclystis属更新。Emmet・平嶋批判。 Carige属・Catarhoe属・Chloroclystis属更新。Emmet・平嶋批判。を含むブックマーク Carige属・Catarhoe属・Chloroclystis属更新。Emmet・平嶋批判。のブックマークコメント

 それじゃあ「TECHNOPOLIS」から。そういう世代なのである。

D

 マニアになってくると,どのアレンジがいいとか悪いとかという議論になるらしいが,わたしはあまりこだわっていない。マニアではないのである。

 HP更新。ナミシャクはまだ始まったばかり。

  • Carige属
    • Moore の命名で案の定分からない。「Karige」という地名自体は南インド東岸にあるのだが,この蛾の採集地は北中国だという。2日間散々検索して分からないのであきらめた。アナグラムの可能性も考えたが疲れるばかりである。
  • Chloroclystis属
    • わたしがよく参照している,Emmet, 1991, The Scientific Name of British Lepidoptera, p. 175では,後節について

κλυζω(kluzô) の語根から,洗うこと,洗い流すこと。この属の種のあせやすい緑の色合いから。

 とある。たしかにあの緑はすぐに飛んでしまう。

 でも,1次資料が参照できるなら,それを確認せねばなるまい。というわけで,Hübner, Verzeichniss bekannter Schmettlinge(既知の蝶蛾目録), p. 323 へ。

 例によって,ドイツ語のヒゲ文字が出てくる(ああ嫌だ)。こうある。昔の人はこの程度の記述しかしていないのが普通である。

Die Schwingen, wie der Kopf, grünlich gefärbt, grau bandirt und schwarz gewässert.

 困った。ヒゲはともかく,綴りだか文法だかが今と違う。もともと現代独語でさえ強くない。あえて試訳(超訳に近いかも)。

翅は,頭部と共に,緑色をしていて,灰色な帯と黒い gewässert を持つ。

 独語部分は「水で洗われた」「水で濡らされた」という意味だと思われる。ドイツ語に堪能な方はぜひご教示をお願いしたい。

 だとすると,Emmet の解釈はおかしい。おそらく原記載を読んでいない疑いがある。(このようにして,わたしは原記載と辞典と自分自身以外をどんどん信じなくなっていくのである)。

 可能な解釈は,外横線の黒色部が「黒く塗られた」と表現されたことぐらいしかなさそうである。HPにはそのように記載した。(ちなみに近世では,ラテン語“clystére”が「浣腸」の意味で用いられている。単語的にはこちらの方が対応している。蛾の名前に「浣腸」を用いてもいいのだけれども,あまり気が進まないし,ヒュブナーの記述には適合していないと思う)。

 ついでに,平嶋, 2007, 『生物学名辞典』ではどうなっているかというと,“Chloroclystis”は3カ所に出てくる。しかも揺れている。

(p. 227-228)

Chloroclystis susiciosa テンスジアオナミシャク(蛾)。属名:(ギ)chlôros 淡緑色の + (ギ)klyzô 洗う,表面に(蝋を)塗る。翅の色模様から。

 

(p. 319-320)

Chloroclystis consueta クロフウスアオナミシャク(蛾)。属名:(ギ)chlôros 淡緑色の + (ギ)klyzô 洗う,洗い流す(Emmet)。翅の緑色の模様から。

 

(p. 893)

Chloroclystis susiciosa テンスジアオナミシャク(蛾)。属名:(ギ)chlôros 淡緑色の + (ギ)klysteon 洗い流すべき。翅の色模様から。

 同じテンスジで解釈が異なったりしている。それだけ昔に命名された学名の解釈は難しいということでもある。(ところで平嶋氏も原記載を見ていない? わたしの「2次資料」に対する警戒は一層強まっていく)。

 最後にヒュブナーによる図版。

f:id:yyzz2:20170201180037j:image

Geometra coronata。C. v-ata のシノニムである。 

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17-01-23(月)

[]生存報告および近況報告。「みちのく会」宣伝。 生存報告および近況報告。「みちのく会」宣伝。を含むブックマーク 生存報告および近況報告。「みちのく会」宣伝。のブックマークコメント

 時が流れる,お城が見える。1月後半から2月の時期はたいてい神経がおかしい。集中して何かすることはほとんどできない。本が読めないのでインプットもできない。職場では給金泥棒でしかない。

 

 虫のことは進めている。少しずつだけ。

 1月13日には北大に行って,『TINEA』や『大妻女子大家政学部紀要』の井上寛ナミシャク記載論文のバックナンバーコピーをとってきた。農学部はセキュリティがおおらかで,名前も住所も申告しないまま,書庫で本を探してコピーをとることができた。そしてコピーの半分を機械のところに置き忘れてきた。

 キャンパス内はセンター試験の受検生がうろうろしていた。35年前はわたしもその中の一人だった。もうほとんど何も憶えていない。

 

 「みちのく会」出席の葉書を出した。今年は岩手の盛岡である。でも身内が関西でホスピスに入ったりしているのでどうなるか分からない。特殊な蛾屋をやっているので,正しい蛾屋との交流の機会を逃したくないのが本音である。

 「みちのく会」の案内はまだ「日本蛾類学会」のトピックスには出ていない。2月25日(土)昼過ぎ〜26日(日)正午くらいまで。岩手盛岡「エスポワールいわて」で。

 HP下段のところのメールで参加希望を送ってもらえば,わたしが幹事に取り次ぎます。〆切りは今週。

 

[]Asthena属・Baptria属更新。 Asthena属・Baptria属更新。を含むブックマーク Asthena属・Baptria属更新。のブックマークコメント

 HPの更新。

  • Asthena属
    • いわゆる「シロナミシャク」の類。蛾は「茶地味」「縞地味」「灰地味」「白地味」といろいろと地味なのだけども,シロナミシャクは白地味。波線はあるのだけども色が淡い。眼視ではなんだか分からない。白っぽい薄茶色のものが壁に貼り付いているだけである。
  • Baptria属
    • ヒュブナーの命名。意図はよく分からない。原記載文には翅のことしか記述されていない。近い単語を調べると「潜水者」などと書いてある。要するにキリスト教の「バプテスマ」と同根の言葉である。
    • この蛾が「荒野のヨハネ」や「再洗礼派」と関係あるとは考えにくい。せいぜい洗礼式の「神父の服の色」程度のものである。でも洗礼式でなくとも彼らは黒服を着ていそうなものではある。
    • ギリシア語の『レキシコン』では,“Baptria”の語が出ていて「of Baptês」とある。それじゃあ“Baptês”とは何かというと,「潜水」および「Cottytoの祭儀の信者」とある。コチュトというのは,古代ギリシアのトラキアの地方神。アテネではディオニュソス信仰に似たスタイルの裏街道の宗教になっており,この祭儀の時に信者が沐浴を行ったことから「バプトリア」とよばれたらしい。「これが洗礼の起源である」というつもりは一つもない。もちろん,わたしが宗教ネタが好きだというだけで,蛾との関連があるのかないのかは不明である。
    • 単純に前翅の白帯を水に見立てただけかもしれない。分からない。
    • ところで,この蛾はフィンランドゆかりの蛾で(フィンランドでは“Nunnamittari 修道女のシャクガ”とよぶ。黒いからだろうね),フィンランド鱗翅学会のエンブレム(サイトの右上注目)および会報のタイトル『Baptria』に用いられている。「日本蛾類学会会報」が『TINEA』(イガ)だったりするようなものである。蛾屋さんのセンスは共通してこういうものらしい。

北の国から北の国から 2017/01/29 15:19 明かりが灯ると、蛾も人も寄ってきます、から。更新お疲れさまです。

yyzz2yyzz2 2017/01/30 19:26 >北の国さま
どうもありがとうございます。
「自らを灯明となせ,怠らず努めよ」ですね。

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