yyzz2;虫撮記【虫画像・他】

昨年までは虫撮りの記録および虫の話題です。

苫小牧から転勤して,現在は遠軽町で活動……していません。

HPはhttp://yyzz2.sakura.ne.jp/。Twitterは更新連絡と愚痴。https://twitter.com/yyzz22

当面は,火曜日には必ず更新するということで頑張りたく思っています。

16-07-24(日)

[]クワゴマダラヒトリ。 クワゴマダラヒトリ。を含むブックマーク クワゴマダラヒトリ。のブックマークコメント

 朝から Moffet の『Theatorum』の目次の訳をやっていて,虫の名前ですっかり嫌になった。

 Cantharidos なんかはこちらの常識ではツチハンミョウやらカミキリモドキやらの柔らかい甲虫のことなのだが,そうではないらしい。シラミとダニとダンゴムシをどう使い分けているのかも分からない。謎の虫も多い。本文を読んでもよく分からない。

 アリストテレスの原典を調べ直さないとらちが開かないらしい。そんなことやってられないなあ。見切りで更新してしまって後から直す手もあるのだけれども,「目次」は没にするのが正しい態度だろうなあ。

 

 ところで,わたしが撮れというものだから,妻がたまに蛾の写真を撮る。

 7月23日。

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 クワゴマダラヒトリの交尾。ちょうどクワゴマダラの旬らしい。

 

[]Scardamia属更新。 Scardamia属更新。を含むブックマーク Scardamia属更新。のブックマークコメント

  • Scardamia属
    • ハスオビキエダシャク。未見である。属名の由来は一つも分からない。例によってフランス訛りの人名の可能性が高いのだが,Gallica を漁っても不明。種小名 aurantiacaria の「aurantiacus」も辞典に全然載っていない。「生物学名辞典」や「動物学ラテン語辞典」のような2次的辞典には出ている。あまり気持ちはよろしくない。

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 なんだか不完全燃焼ですっきりしない休日だった。

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16-07-20(水)

[][]番外編。中世におけるワニチドリ伝説の発展について。(4/4) 番外編。中世におけるワニチドリ伝説の発展について。(4/4)を含むブックマーク 番外編。中世におけるワニチドリ伝説の発展について。(4/4)のブックマークコメント

 (1)(2)(3)

 さて,ワニチドリの続き。次は1240年。Bartholomeus Anglicus の『諸物の特性について De proprietatibus rerum』。良きにつけ悪しきにつけ,ルネサンスで広く用いられた百科事典的自然誌本といってよい。

 バルトロメウス=アングリクス(英訳すれば「イギリス人バーソロミュー」)は13世紀フランシスコ会派の学者。主著『De proprietatibus rerum』はネットで原本を見られるのだけれども,ヒゲ文字ラテン語で全然ダメ。これを解読したければ命がけになる。この本は14世紀の John Trevisa の英訳で読むのが基本である。これでも実際は大変なので,16世紀のStephen Batman の校訂本を使う。 http://quod.lib.umich.edu/e/eebo/A05237.0001.001/1:22?rgn=div1;view=toc

 (16世紀とはいえ,綴り字だけ取り上げても相当つらい。「中英語」の本を買おうかどうかかなり迷った。結局買わなかったのだが)

 ネッカムによって教訓話になったワニチドリ・ワニ譚はバルトロメウスにおいては次のような決定版となる。

 ワニは極めて大食らいである。そうして腹を満たすと,水際に横たわって満腹のためふうふう息をつく。するとそこに小さな鳥がやってくる。この鳥は彼ら(エジプト人)にはクスキルロス(Cuschilios),イタリア人には鳥の王とよばれている。この鳥がワニの口の前に飛んでくるので,しばしばワニは嫌がってこの鳥を追い払うが,最後には鳥に対して口を開け,入り込むことを許す。するとこの鳥ははじめは爪でやさしくワニを引っ掻いて,引っ掻かくことで心地よさを感じさせていく。そしてすぐにワニは眠りに落ちる。このクスキルロスという鳥はそのことを知っていて,この獣が眠ったと見て取ると,すぐにワニの腹の中に下りていく。ただちに,あたかも投げ矢のようにワニを突き刺し,ついばみ,非常に耐え難い非常な痛みを与えるのである。

http://quod.lib.umich.edu/e/eebo/A05237.0001.001/1:29.34?rgn=div2;view=fulltext

 ネッカムの露骨な説教は姿を消しているが,それにしても見てきたような語り口である。見てないに決まっている。

 わたし個人としては,突然マングースが乱入してくる大プリニウスの不条理さが好きだが,まだ不条理文学の時代には早い。バルトロメウスの方が大衆的に分かりやすいのは確かである。

 

 さて,例によってだらだらと続けてきた。要するに,ルネサンスの自然誌の記述スタイルに慣れようというもの。若干の覚え書き。

 ○「伝聞」と「事実・経験」との差異に関心がない。「先行する権威」のリライト,あるいは「有益な付加の有益さ」が重要である。

 ○すぐに教訓話になってしまうのは,「人間の領域」と「人間以外の自然界の領域」とが「神の秩序」のもとに統一的に把握されるからである。「人間と自然が照応」すると言ってもよい。

 

 モフェットは過渡期の著者である。むしろ,彼の早世した協力者であるペニー(Thomas Penny)の方が科学観では先行しており観察対象の年時,地域などのデータを記載していたが,どうやらそれらをモフェットは蛇足であるとしてカットしたものらしい。確かに物語にデータは不要である。

 また,以前 Antrenus について紹介した時のように,すぐ古典を引き合いに出す,面倒くさいレトリックもモフェットの仕業と見なされている。しかし,あのペダントリーこそがかえって当時の読者には親しいものなのであろう。

 

(この項終わり)

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16-07-19(火)

[]Ramobia属・Rhynchobapta属・Rikiosatoa属更新。 Ramobia属・Rhynchobapta属・Rikiosatoa属更新。を含むブックマーク Ramobia属・Rhynchobapta属・Rikiosatoa属更新。のブックマークコメント

 バルトロメウについてまとめた原稿を入れたUSBを職場に忘れてきた。一刻も早く帰りたい逃げ出したい一心が生み出したミスである。

 というわけで,学名ごっこの続き。グーグル先生は「モバイルフレンドリーでありません」と言って怒っているのだが「固定幅710」で作っているのでどう直したら良いのか分からない。

  • Ramobia属
    • ネグロエダシャク系。これは画像を持っている。
  • Rhynchobapta属
    • フタスジオエダシャク。いわゆる,あのよく分からない「オエダシャクの類」である。種小名の「鹿の」のいうのは原記載からは不明。まあ色なんだろうなということでお赦し願いたい。
  • Rikiosatoa属
    • ここら辺のエダシャクはすべて Boarmia 属のなれの果てである。Seitzの4巻から。

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ぜひ拡大して堪能していただきたい。

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16-07-18(月)

[][][]ケイさんからの虫メール。クシヒゲガガンボの類。ウスキツバメエダシャク? キアゲハ。ミヤマクワガタ。ハコベナミシャク。 ケイさんからの虫メール。クシヒゲガガンボの類。ウスキツバメエダシャク? キアゲハ。ミヤマクワガタ。ハコベナミシャク。を含むブックマーク ケイさんからの虫メール。クシヒゲガガンボの類。ウスキツバメエダシャク? キアゲハ。ミヤマクワガタ。ハコベナミシャク。のブックマークコメント

 悪夢のような,「前期中間考査→みくに会→学校祭」のスケジュールが終わって3連休。久し振りにHPをいじって過ごす。極めて非活動的だと言わねばならないが,(自称)知的営為とはそんなものなのである。

 神奈川のケイさん@「ケイの言ってみようか!」管理人からメールがきていた。5月24日と6月11日。

 神奈川は暑く,ケイさんは相変わらず忙しかったり病院に行ったりしているらしい。ブログの読書記録を見ると娘さんのことでもあれこれ気をもんでいるらしい。

 画像を送ってくれてとてもありがたい。もう自分で写真を撮ることは当分ないので当ブログで,虫の生写真を掲載できるのはケイさんのものか,妻のものかしかないのである。(催促している訳ではないので……)

 

 というわけで,画像。

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いきなり双翅の美麗種。絵合わせで同定するのは怖い。「クシヒゲガガンボの類」まではOKだと思う。触角が櫛歯だったら♂なのだが,写真ではそこまで分からない。

 何か奉っているが,ツバメエダシャクの類の尾状突起まで痛んでいない完品の画像。

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この属の蛾は眼と眼の間の色まで見て同定する。狙っていない限りそんな所まで撮るはずがないので,決定打がないのだけれどもおそらく「ウスキツバメエダシャク」。蛾屋としては普通に見かける蛾だが,それでも一般人なら気にもとめないだろう。いわゆる「虫眼」が発達してきたケイさんの将来が不安になったりもする。

 キアゲハ幼虫。

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蝶の来る庭。個人的には新鮮なパセリの方がうらやましい。

 ミヤマクワガタ。濡れている。

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 わたしはこちらの方が本職。クワガタ・カミキリ系ではない。

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ボケ気味だったりスレ気味だったりするのだが,こういうのはだいたい「ハコベナミシャク」。HPのエダシャク学名編にようやく底が見えてきたので,きっと次はナミシャクになる。学名は“Euphyia cineraria”。「灰の」。「灰色」というよりも「(焼けた後の)灰」のイメージの語。

 毛虫。

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おそらく「タケカレハ」。模様的には中令の感じ。カレハガ科の幼虫は一本調子に寸胴の太い毛虫であって,たいていは触らないのが賢明である。クマケムシと間違えなければ問題ない。

 というわけで,「キアゲハ」の羽化。どんな鱗翅でも新物は本当に美しい。色の輝きが違う。

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キアゲハやベニシジミはあまりにも普通種すぎて当たり前の蝶なのだが,最も美しい蝶の1つだと思う。比べても仕方ないことだが,わたしはカラスアゲハよりもキアゲハを上位に置くだろう。

 そういえば遠軽の街中ではアゲハはほとんど見かけない。丸瀬布に行けばカラスアゲハがびゅんびゅんと飛んでいると生徒が言っていた。きっと私が見に行くことはないだろう。

 どうもありがとうございました。(._.)オジギ。

 

[]Proteostrenia属・Protoboarmia属・Pseuderannis属・Racotis属・シャチホコ科書き直し。 Proteostrenia属・Protoboarmia属・Pseuderannis属・Racotis属・シャチホコ科書き直し。を含むブックマーク Proteostrenia属・Protoboarmia属・Pseuderannis属・Racotis属・シャチホコ科書き直し。のブックマークコメント

 やっと余裕ができて,HP「yyzz2; 虫画像 虫よもやま」更新(以下リンクがうるさいのだが,何だか対策だと思ってください)。一般的な価値は,HPの学名ごっこの方が16世紀の昆虫学よりも高いはずである。バルトロメウは後回しにして学名。

  • Proteostrenia属
    • シロモンクロエダシャクとか。どれも未見。画像は原記載ものが手に入った。どうして「海の老人プローテウス」が属名になっているか一つも分からないが,神話由来な所はなかなかよろしい。
  • Protoboarmia属
    • f:id:yyzz2:20160718105633j:image オレクギは1回撮っているのだが,同定できないので画像は Seitz から。種小名が殉教者名に由来している。オレクギエダシャクを採集する人は,「殉教させている」と考えながら採集すること。
  • Pseuderannis属
    • 当ブログではあまりにもおなじみのウスバキエダシャク。実はチャバネフユエダシャクの「Pseud(ニセ)」だった。形は似ているかもしれない。ウスバシロエダシャク(Pseuderannis amplipennis)がいないものかと昔さんざん調べたのだが(10-05-15記事)ついにダメだった記憶あり。
  • Racotis属
    • ナミスジエダシャクというのもそっけない命名だが,種小名「岩肌状の」というのも Butler に特有の何の思い入れもない命名。

 

 ついでに,シャチホコガ科について,長すぎるページタイトルを短縮して,原記載を読み直して(7年前と比べてわたしの調べる力はかなり上がっている),図版を探して入れる作業を2日間で終わらせた。『北海道の蝶と蛾』で2種削って,44属72種になった。使えそうな図版の見つからないものが2種。エゾギンモンシャチホコとヒメシャチホコ。

 今回の最大の収穫は(Twitterにあげたのだが),シロスジエグリシャチホコ Fusapteryx ladislai の種小名について,Wladyslaw Taczanowski に由来するのが分かったことである。Wladyslaw をフランス人読みをすると Ladislas になるらしい。これをラテン名化して Ladislaus にして属格の「-i」をつけたもの。 オーベルチュールの「Études d'entomologie」の10巻の前書きに「ヤンコフスキー氏が中国人匪賊に襲われたが助かったと,われわれの友人である Ladislas Taczanowski 氏の口から聞いた云々」をやっと見つけた時は嬉しかった。フルネームが分かればほとんど何とかなるのである。地元のポーランドではかなり有名な学者らしいが,日本ではほとんど知られていないと思う。

 ウチキシャチホコ Notodonta dembowskii の「デンボフスキー」も,フランスの国営図書館である Gallica をさんざん調べたのだが,こちらはあまりにも資料不足。オーベルチュール弟の友人で中堅どころの昆虫学者らしい。

 学名調べは,どうにもこういう一般蛾屋の知らないであろう知識が増えていくのが面白い。この手のフィールドである分類学に何の貢献もしていないであろうことが,いかにも傍系だが仕方ない。そのうち陽が当たらないかなあ。

ケイケイ 2016/07/19 03:57 とりあげていただきありがとうございます。
それにしても写真ボケボケでしたね^^;
神社へお散歩に行くことが多いので、そこでよく見かけます。
そういえば真夏になるにつれ、あまり蛾をみかけなくなってきました。
一番たくさんいそうなのですが・・
そろそろまたキアゲハが羽化します。
写真のキアゲハを飛び立つのを見守っていて、元気に飛んでいったときは感動しました。

yyzz2yyzz2 2016/07/19 18:18 どうもこんにちは。そしてありがとうございます。
夏の暑い時は小さい蛾は活発になるのですが
中から大の蛾の中には秋まで蛹でいたり
中には成虫で休眠するもののあるとのことです。
体の小さい変温動物ですので暑すぎても簡単にオーバーヒートするようです。
ナミアゲハなら中学生の時に育てて羽化させたことがあります。
あれはいいものですよねえ。

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16-07-10(日)

[]第47会「みくに会」非公式レポート(6)。7月3日最終日朝。 第47会「みくに会」非公式レポート(6)。7月3日最終日朝。を含むブックマーク 第47会「みくに会」非公式レポート(6)。7月3日最終日朝。のブックマークコメント

(1)(5)

 

 最終日の朝。目覚めたのはとっくに明るい4時半。

 布団を抜け出して残り蛾チェックに。これはもう恒例行事である。あまり特筆すべきことは見つからなかった。シャチホコガやミスジシロエダシャクはほとんど逃げていない。とうとうスズメガは飛来しなかったようだ。ピークには少し早いのかもしれない。

 

 1Fロビーで茫然とTVを見る。日曜の朝は各局ともニュースに力が入らないのでつまらない。バングラデシュのテロのニュースばかりである。当事者は大変だろうが,愛山渓の蛾屋さんたちにはあまり関係ないというのが健全な市民(蛾屋)感覚だと思う。

 早起き組が現れてくる。Tさんはわたしの(数少ない)読者だとのこと。本来なら五体投地で感謝の意を示さなければならないのだろうが,わたしは非礼のなので椅子に座ったままだったりする。

 少数であっても読者がいる間は頑張らないとなあ(でもほとんどいない。アクセス解析を見るたび暗澹たる気持ちになる)。

 

 男風呂が昨夜遅く酔客に狼藉三昧されたらしい。しかも別件で浴槽からメガネが発見されたという。朝風呂しそびれた蛾屋さんたちが入れ替わり立ち替わりロビーに飛来する。一部の方は女風呂の方に入る。

 

 日曜の朝のTVで面白いのは,NHKの自然番組だけ。

 

 彼らが一様に天気を気にするので,TVはデータ放送で天気予報を掛け流し。天気は持ちそうだね。せっかく北海道に来たのだからと道東採集旅行を続行する方もいるようで,わたしに知床や釧路方面へのルートを訊ねてくるが,わたしにはもちろん一つも分からない。

 道東は交通アクセスがとんでもなく不便(道路の存在が怪しい)で,大雨だと通行止めにすぐなって,しかも実は日本ではない(ファウナ的にはおそらく沿海州)ので,現地人以外あちら方面は何にも知らないのが普通(あちらについて口にするのがタブーだとまでは言わないが)であって,かつ,わたしは現地人ではないのである。

 

 朝食で何が供されたかは忘れましたごめんなさい(サンマの焼いたのがあったような)。

 それから,「昆虫文献 六本脚」提供による各賞の発表。蛾類学会会長の独断とじゃんけんによって豪華本があたる。

 <珍品賞>は決戦になった。「エゾヨツメ」を採集した人が挙手する。大勢である。特産でもない,かさばるエゾヨツメを採った人がこんなにいるのか。じゃんけん1回戦で2名まで絞られたのは見事。さすが蛾屋である。

 ヨーロッパエゾヨツメなんだけれども,あの Hübner の手になる画像(『ヒューブナ-の蝶蛾』)。S.l. :s.n.(出版者:出版社不明), 1796-1841, Hübner's papilio から。

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http://www.biodiversitylibrary.org/item/131977#page/109/mode/1up

 その他の賞はごめんなさい忘れましたごめんなさい。わたしが最新の美麗本に関心がないので……。

 本を獲得した人,おめでとうございます。

 

 というわけで解散。次回の「みくに会」の希望地は誰の発言もなかったので幹事に一任された。予算とアクセスがOKなら行きたいのだけどなあ。

 

 11時半頃に妻が迎えに来た。蛾屋さんたちが手を振ってくれたことを,彼女は喜んでいた。

 

(この項おわり。次回は送ってもらっている画像を紹介。その次はルネサンスのバルトロメウに行きます。めちゃくちゃだなあ)

ケイケイ 2016/07/11 03:18 お疲れ様でございます。
毎回珍しい会合の様子を楽しく読ませていただいております。
道東とはそういう位置づけだったとは・・(笑)

yyzz2yyzz2 2016/07/11 19:41 どうもありがとうございました。
確かに特殊な人たちが毎度のように特殊しているの感はあります。
本質的に趣味的な世界ですよねえ。
そんなことで食っている人が存在できるのが文明というものでしょう。

>道東
そうです。人間よりもアザラシが多いです(嘘)。

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16-07-09(土)

[]第47会「みくに会」非公式レポート(5)。7月2日夜。 第47会「みくに会」非公式レポート(5)。7月2日夜。を含むブックマーク 第47会「みくに会」非公式レポート(5)。7月2日夜。のブックマークコメント

(1)(4)

 

 ひさしからしたたっているの大粒の雨。夕食はジンギスカン@味付である。好みはともあれ,そちらの方がいろいろと合理的である。あのヘンテコな形の鍋で食べるのは二昔ぶり。山盛りの肉を見て,こんなに食べられるのかなといった声があがったが,ジンギスカンは羊の肉をたらふく食べてナンボの料理でしかない。さらにそこに冷凍のアイヌネギが追加される。

 博物館のKUMAさんのTwitter。

 

 食後。

 雨は止まないんじゃないだろうか。覚悟を決めた。アルコールを飲むことにする。トランキライザーと重ならなければきっと大丈夫だろう。いろいろな意味での豪の者たちとの会話をシラフで乗り切る自信は,もとよりわたしには皆無である。話について行けないようなら,メートルを上げて早々に寝てしまえばいい算段。

 

 というわけで,実は酒は好き。日本酒やらビールやら焼酎やらを無制限に飲み始めたのだが,恐ろしいことに雨が小止みになってきた。風もおさまった。軒先設置のライトトラップに虫が集まり始めたのが窓から見えた。

 これは天が応援しているのかも。トラップ主の数名に続き,わたしも外に出る。ああ,でも酔ってる。足がおぼつかない。始めはユスリカ,ついで赤茶色のカスミカメが沢山。アミメやハガタのナミシャクはそれほどではない感じ。純正のシャチホコガが昨夜よりも目立つ。

 画像は知る人ぞ知る19世紀のベストセラー昆虫啓蒙作家ウッド師の『イギリスの昆虫 Insects at home』から。Wood, 1884, Insects at home, p. 446 から。

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http://www.biodiversitylibrary.org/page/11727081#page/554/mode/1up

 

 時間の経過と共に,雨はすっかり止んで昨夜に負けない蛾日和になった。やっぱり今回の「みくに会」は幸運に恵まれているらしい。次々に毒ビンに転げ込む蛾たちにとっては災いかもしれないが,連中は標本化されてアカデミズムに何らかの寄与をする可能性を持つのであって,コレクターの標本箱の飾り物になるのとは人類史的に違うのである。

 でも,酔っていて少ししんどい。休止。室内へ戻る。玄関に靴が乱雑に脱ぎ捨てられているのが蛾屋の限界である。もちろん部屋の中での喫煙もOKである。

 

 勉強や雑談や。蛾ネタの少なさが,ルネサンス蛾屋であるわたしのやる気のなさの反映でもある。ごめんなさい。

  • (これは講演の時の話)北海道固有種に昼蛾が多いのは,白夜地帯から移動してきた頃の性質がそのまま残っているのではないか。
  • 「北海道−沿海州−朝鮮−対馬」に種の区分に対応するラインが引けるのではないか(生物分布区分論議は私見ではほぼ魔境である。ブラキストン線は有名だが,その他にも河野線やら八田線やら沢山あってよく分からない)。
  • 「哲学」とはどのようなものか(もちろん酔ったわたしの発言)。
  • 北海道では教員移動の周期が10年であるのに対して,愛知では2〜3年だとのこと。えー,忙しいなあ。北海道では転勤は文字通りの「数百キロの大移動」になりかねない。
  • 素数が面白い。エクセルでもって数字を一定の方法で積み上げていくと,素数がラインや模様を作るのだという。その人はこれで正月をつぶしてしまったとのこと。数の視覚的な配列からいろいろ分かるのが面白い。「素数は割り算できない単なる面倒な数でしかない」という意見もあるようだが,わたしは純粋文系といえども,F. ベーコンが数学を「第一哲学」としたように,数学は哲学である。数を粒で並べて見せた元祖ピタゴラスの発想は結構本質的なものなのだろうと眼からウロコの思い。気分は聖パウロである。図はサイト「ハイレベル算数教育の胎動 新編算数学入門,第36回 カールの秘密 〜多角数〜」から。

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http://www.geocities.jp/yoimondai/2/e36.html#TOP

  • などなど,浮世離れした会話をしていると,重鎮の一人が現れてアツバの♂交尾器が「フニャ××」であると力説し,それから人々がどの程度の頻度で♀個体と交尾するかという話になる。これは浮き世の縄張り。わたしのような celestial(天上的)な人間にはいささか厳しい。
  • 飲みながら展翅作業をしている人。これもすごい。でも大丈夫なのだろうか。
  • スジモンヒトリの♀を採集したのでぜひ「むし賞」にとの自己推薦がある。学会長(=arctiidaephilia)は受賞は間違いない,決定であると請け合っていたが,それはもちろん次の日に裏切られた。

 画像はあのザイツから。Seitz, 1912, Die Gross-Schmetterlinge der Erde, Bd. 2。

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http://www.biodiversitylibrary.org/item/38030#page/37/mode/1up

 

 というわけでまた外へ。玄関から真面目に出入りすると,トラップのある軒先までは泥道である。100種,いや200種ぐらい来ているかな,いいえ,きちんと調べれば300はいると思います,という会話が聞こえてくる。雨模様含みで暖気が保たれているのか,わたしが酔っ払っているのか,昨夜のような肌寒さは感じない。

 

 いつまでも蛾を見ていたい気持ちもあるのだけれども,幸せな時間は幸せなうちのどこかで意志的に断ち切らねばならないことが分からない年齢でもない。23時が過ぎている。童話ならあと1時間。わたしはもう寝てしまうことに決めた。

 

 人々は午前2時近くまで採集をしていたという。その頃わたしはとっくに寝こけていた。

 

(6)に続く。