yyzz2;虫撮記【虫画像・他】

昨年までは虫撮りの記録および虫の話題です。

苫小牧から転勤して,現在は遠軽町で活動……していません。

HPはhttp://yyzz2.sakura.ne.jp/。Twitterは更新連絡と愚痴。https://twitter.com/yyzz22

当面は,火曜日には必ず更新するということで頑張りたく思っています。

16-10-25(火)

[]『TINAE』の,シャチホコガ科の亜科分類の最新情報が来たよ。 『TINAE』の,シャチホコガ科の亜科分類の最新情報が来たよ。を含むブックマーク 『TINAE』の,シャチホコガ科の亜科分類の最新情報が来たよ。のブックマークコメント

 というわけで蛾類学会から『TINEA』の最新刊が届いた。冬の「みちのく会」で予告があった,シャチホコガ科の分子系統分析のまとめである。

 Hideki Kobayasi and Masaru Nonaka, 2016, TINEA 23, Supplement 1 。

 シャチホコガ科の324種の脚をもいでDNA分析したという。大変な世界である。わたしだったら,どれがどれの脚だか絶対に混ざってしまう。

 

 『標準図鑑』では次のような亜科分類がなされている。(List-MJ 日本産蛾類総目録 [version 2]から作成)

  • ツマアカシャチホコ亜科 Pygaerinae
  • ウチキシャチホコ亜科 Notodontinae
    • モクメシャチホコ族 Dicranurini
    • ウチキシャチホコ族 Notodontini
    • シャチホコガ族 Stauropini
    • フサオシャチホコ族 Dudusini
  • トビモンシャチホコ亜科 Heterocampinae
    • ツマキシャチホコ族 Phelerini
    • キシャチホコ族 Pydnini
    • トビモンシャチホコ族 Heterocampini
  • ハネブサシャチホコ亜科・Platychasmatinae

 4亜科である。(わたしが)日本のシャチホコを整理する分にはちょうどいいぐらいの感じ。

 

 もう論文が発表されたのだから,引用しても大丈夫かな。

 前掲『TINAE』論文では,シャチホコガは4亜科から,次のように(アフリカを除く)12亜科へ再編される。(p. 40)

 ハネブサシャチホコ亜科 Platychasmatinae

 トガリバシャチホコ亜科 (新称) Scranciinae

 ツマアカシャチホコ亜科 Pygaerinae

 フサオシャチホコ亜科 Dudusinae

 ギョウレツシャチホコ亜科 (新称) Thaumetopoeinae

 オオキシャチホコ亜科 (新称) Perigosinae

 ホソバシャチホコ亜科 (新称) Heterocampinae (Drymonia が Notodontinae に移ったため,Fentonia を新名称とした)

 ギンモンシャチホコ亜科 (新称) Spataliinae (ギンモンシャチホコ族 Spataliini,キシャチホコ族 Ceirini)

 ツマキシャチホコ亜科 Phalerinae

 ウチキシャチホコ亜科 Notodontinae (ネグロシャチホコ族 (新称) Neodrymoniaini,シャチホコガ族 Stauropini,モクメシャチホコ族 Dicranurini,ウチキシャチホコ族 Notodontini)

 マダラシャチホコ亜科 (新称) Dioptinae (新大陸に分布,昼飛性の美しい蛾を含む)

 ナガバシャチホコ亜科 (新称) Nystaleinae (南米に分布,北米にも少数)

 (詳しく読みたい人はバックナンバーを買ってね。それと日本蛾類学会にも入ってね)

 このうち,ハネブサ・トガリバ・ギョウレツ・ウチキのネグロ・マダラ・ナガバは北海道未産である。北海道はシャチホコ相が豊かとは言えないのはやっぱりそうなのである。

 

 この新分類が今度どのように普及するか分からないが,とりあえず(シャチホコが薄いこともあって),わたしのHPの71種はこのまま亜種区分なし(『大図鑑』分類)で行きます。ごめんなさい。

 

[][]Macaria 属の周辺とか。 Macaria 属の周辺とか。を含むブックマーク Macaria 属の周辺とか。のブックマークコメント

 HPにばかりかまけていて,せっかく送ってもらっている画像を紹介できずにいる。ナミシャクに入りたいのだが,エダシャクがまだ終わらないのである。ムーアもモフェットもとりあえず飛んでいる。

 

 以下エダシャク。画像追加分(細かな記述手直し・訂正は他にもちょこちょこ)。

  • Glacies属
  • Hypoxystis属
  • Heterolocha属
  • Luxiaria属
    • 下3属は原記載または図版を発見できず。だいたいが20世紀ものは原記載がオープンになっていないことが多いし,図版もない。基本的に Seitz 以降は頑張りようがないのが普通。
  • Macaria属
    • 重要なグループらしく,「Butterflies and Moths of the World」で検索(このサイトはとにかく便利)をかけると,Macaria 由来の属名は
      • Boarmacaria(Boarmia 属と合体させられた命名)
      • Dasymacaria(毛深いマカリア)
      • Epimacaria(マカリアの後に来るもの)
      • Eumacaria(可愛いマカリア)
      • Neomacaria(新しいマカリア)
      • Oxymacaria(尖っているマカリア)が出てくる。
      • さらに,“Amraica”と“Aracima”(これはアオシャク)とがアナグラム。

 

 今日はリストばっかりだがそういう日もあるのである。

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16-10-20(木)

[][]vittaria をめぐる迷走。 vittaria をめぐる迷走。を含むブックマーク vittaria をめぐる迷走。のブックマークコメント

 twitterにあげた内容のまとめ直し。相変わらず学名のHPいじりである。もうほとんど実体としての蛾からは遠ざかって,記号と文献の世界に浸かりきっている。

 インド産の蝶の研究者Mooreについて,おそらく標本ばかりで,自分が扱っている蝶の生態なんて見たことがないだろうと以前書いたことがあるが,人を呪わばナントカカントカを地で行く結果になっている。どうやらこれは真理らしい。

 

 というわけで,

【和名】 コウノエダシャク

【学名】 Elophos vittaria

(えろふぉーす うぃとたーりあ)

【命名】 (Thunberg, 1788)

http://yyzz2.sakura.ne.jp/name/Ennominae/Elophos.html

である。

 ツーンベリというのはリンネの直弟子で,南アフリカやインドを回って日本でも1年過ごしてヘビトンボの記載をして,鎖国下で思うように活動できないのでインドネシアに行って,最後は母校のウプサラ大に戻って教授をやった人物である。ポスト・リンネアンというよりも,分類学史的には「リンネの同時代人」と位置づけるのがふさわしい。本職は植物屋である。

 というわけで,古い。古いのなら,ヒュブナーの美麗な図版があるかもしれない。いきなり,「Hübner's Geometra」で「vittaria」を探す。この時代は属名が確立していないので種小名だけで十分である。すぐに見つかる。

f:id:yyzz2:20161019212859j:image

 何か違う。こんなコウノエダシャクはおかしい。あれれと思って,「Lepindex」を引くと

Scientific Name of Taxon :  vittaria

Current Status :  Junior subjective synonym

Original Combination   ! ! Hübner, 1808/14

Current Valid Name :  CHRYSOCTENIS ramosaria de Villers, 1789

http://www.nhm.ac.uk/our-science/data/lepindex/search/detail.dsml?TaxonNo=212752.0&UserID=&UserName=&&listPageURL=list%2edsml%3fsort%3dSCIENTIFIC%255fNAME%255fon%255fcard%26SCIENTIFIC%5fNAME%5fon%5fcardqtype%3dstarts%2bwith%26SCIENTIFIC%5fNAME%5fon%5fcard%3dvittaria%26recLimit%3d30&searchPageURL=index%2edsml%3fSCIENTIFIC%5fNAME%5fon%5fcardqtype%3dstarts%2bwith%26sort%3dSCIENTIFIC%255fNAME%255fon%255fcard%26SCIENTIFIC%5fNAME%5fon%5fcard%3dvittaria%26recLimit%3d30

 はずれ。ヒュブナーが命名した別の蛾である。「Chrysoctenis ramosaria」はヒメシャク亜科。この属は,現在は Cleta属に編入されている。Cleta ramosaria を画像検索すると,なるほどヒュブナーの通りである。

 

 仕切り直し。『大図鑑』のシノニムリストへ。

 コウノエダシャクは,Yezognophos sordaria で記載されている。名称が全然違うのだけど,学名のお引っ越しは珍しいことではないので平気である。

 さて記載文にたどり着く。Thunberg, 1792, D.D. Dissertatio entomologia sistens insecta svecica,ウプサラ発行である。

f:id:yyzz2:20161019212900j:image

(p. 60, 第3巻にあたる)

翅は白地に埃状の散布。眼紋と帯があって,端に黒点。

http://www.biodiversitylibrary.org/item/43769#page/84/mode/1up

 

 ここまでをTwitterにあげてから気づいた。「記載年が違う」。まずい。vittaria の記載年は1788年で,上記の1792年ではない。ツーンベリが自分で誤同定をして,自分でシノニムを作っているに違いない。『大図鑑』はそこら辺をフォロー仕切れていないのだろうという見当。

 

 普通はここで袋小路なのだが,幸運だった。前掲書の2ページ前(p. 58)に「Phalaena vittaria」が載っていて,1792年の本当の原記載が記されていた。これは偶然である。『大図鑑』にも「Lepindx」にもこの原記載は出ていない。

 というわけでやり直し。Thunberg, 1788, Museum naturalium Academiae upsaliensis cujus partem primam 6: 74, pl. c.へ。

 種名ばかりが淡々と列記されているのだが,問題の vittaria には註がついている。

Phalaena vittaria 6)

---------------------------------------------

 6)埃をかぶったような翅。2つの黒い帯が波打ちながら末広がりになっている。

http://www.biodiversitylibrary.org/item/180822#page/88/mode/1up

f:id:yyzz2:20161019212901j:image

 これがHP用決定版。画像は(見つかれば)原記載に添えられたものを使うようにしている。何というか,とても地味である。蛾のプロトイメージはこんなもののような気がする。

 

 こんなことに時間とエネルギーを取られているのだから,そりゃあ生きた蛾の撮影活動なんぞは,とうていわたしには無理なのである。

 その他。現在,グーグルランク・クロール乞食の状態。

  • Amraica属の説明修正。
    • 不詳としていたが,おそらく Macaria のアナグラム。根拠はないけれども,見るからにそう。
  • Erannis属のオオチャバネフユエダシャクの画像追加。
    • 著作権的にはアウトの恐れ大。
    • チャバネフユエダシャクの“golda”は記載がとうとう見つからなかった。「gold」じゃないかとにらんでいるのだけどねえ。
  • Ennomos属(ヒメキリバエダシャク)・Exangerona属(オイワケキエダシャク)画像とりあえずギブアップ。
    • だめ。全然見つからない。
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16-10-10(月)

[]エダシャク亜科の修正中。属名と種小名との性の一致について,Biston属確認。 エダシャク亜科の修正中。属名と種小名との性の一致について,Biston属確認。を含むブックマーク エダシャク亜科の修正中。属名と種小名との性の一致について,Biston属確認。のブックマークコメント

 HPの学名ごっこ。次はナミシャクで,リストはもう完成している。現在の北海道のナミシャクは76属214種が決定版だと思う。その前にエダシャクの修正を終わらせないと,ということで連休に作業中。

 

  • Alcis属の画像追加。
    • 蛾4種の抜け画像をすべて Seitz で補完。プライヤーについての小西正泰氏のサイトが消滅しているので,こちらも削除。
  • Amblychia属の画像追加。
    • バトラーの原記載からの画像。属名の由来は未だよく分からない。
  • Angerona属
    • Hübner による画像を貼っておく。ヒュブナー(Jacob Hübner)はリンネとちょうど入れ違いの世代の画家兼鱗翅学者。121は Crocota tinctaria(日本未産種)。122,123がスモモエダシャクである。f:id:yyzz2:20161010114219j:image
  • Apochima属
    • クワトゲエダシャクの画像入れ。クワトゲエダシャクは北海道にいるかどうか疑問が大きく,『北海道の蝶と蛾』からははずされている。
  • Apocleora属
    • 命名者バトラーの画像見つからず。ザイツで代用。
  • Aporhoptrina属
    • 原記載文を読み返す。HPにあるように,前の方の線が半円であるらしく読み取れるので採用。自信があまりない。
  • Arbognophos属
    • スタウディンガーの“Dt. ent. Z.”は図版がモノクロでつまらないのだが,原記載ということで。
  • Arichanna属
    • ヒョウモンエダシャクの画像がついに見つからない。近年になってから亜種から昇格した種なものだからどうしようもない。
  • Ascotis属
    • 亜種の人名を検索。「飯島一雄」? 日本語の雑誌をほとんど所持していないのでこういうのが最も苦手。「蝶と蛾」以外はCiNiiにほとんどないのである。
  • Auaxa属
    • 画像入れ。属名・種小名の原記載読み直し。属名の方はやっぱり分からない。
  • Biston属
    • ザイツから画像入れ。このころやっと気づいたのだが,あちこちで蛾の種小名が女性形に変更されている。命名規約では属名の接尾辞が男性扱いされるとになっているものまで女性扱いされている。要するに,そういう判断がどこかであったということなのだろう。
    • 普通に考えれば Biston はギリシアの男性名である。さて,1815年にビストン属を立てた当の Leach がどう考えていたかというと,自分で命名したビストンの新種には女性形語尾をあてがっているから,リーチ自身は“Biston”のジェンダーを女性だと見なしているらしい。
    • 一方,リーチは,1897, On Lepidoptera Heterocera from China, Japan and Corea. Annals and Magazine of Natural History (6) 19: 297-349, 414-463 では,バトラーが1879年に命名した“Biston robstrum”(これって中性語尾である!)をそのままの性で採用している(p.322)。すでに付けられている種小名の語尾をかえるべきではないと考えたのかもしれない。まだ国際基準ができていない時期である。
  • Bizia属
    • やっぱりウォーカーの命名は分からない。
  • Bupalus属
    • スタウディンガーのモノクロ画像入れ。

 

 一度に更新してしまうのはもったいないので,休日のうちに少し書きためておくことにする。めざせ小まめな更新でSEO。

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16-09-29(木)

[][]フユシャク亜科 Inurois の解釈私案。 フユシャク亜科 Inurois の解釈私案。を含むブックマーク フユシャク亜科 Inurois の解釈私案。のブックマークコメント

 シャクガも残るはフユシャク・ナミシャク・ヒメシャクである。まずフユシャクから始めようと思っている。フユシャク亜科は日本には2属しかいない。Alsophila と Inurois。後者の方が種数が多い。とりあえず調べ始めて,Inurois でつまずいた。

 

 最も頼りにしている Jeager本や Emmet本には出てきていない。困ったなあというところ。

 それで日頃はあまり参照していない,平嶋義宏(2007),『生物学学名辞典』を見ると,Inurois は3箇所で取り上げられていて,

(p. 364)… Inurois fumosa ウスモンフユシャク

(…)属名:(ラ)inuro 焼印をおす;害悪をひきおこす + -is. または,(ラ)in- 否定 + (ギ)oura 尾 + -is . (…)

 

(p. 524)… Inurois tenus ホソウスバエダシャク

(…)属名:(ラ)in- に向かって,または,否定 + (ギ)oura 尾 + -is. 蛾の尾端の状態から.(…)

 

(p. 661)… Inurois membranaria クロテンフユシャク

(…)属名:(ギ)in- 否定 + (ギ)oura 尾 + -is. (…)

 互いにソゴがあったり,「または」が錯綜していたりして,結局よく分からない。

 また,「蛾の尾端の…」というのは♀個体のコーリング用の尾毛を指すのだろうが,ところが原記載(Butler, 1879, Ann. Mag. Nat. Hist. (5) 4 : 445)には,Cheimotobi brumata(現在は,エダシャク亜科の Operophtera brumata)との「翅脈の相違(多くの翅脈で異なる枝分かれをしていたり,なくなったりしている。つまりは全然違うということ)」についてのみ(その他の点ではほとんど同じと)述べられており,♀個体についてはノーコメントである。♀標本も所持している記載があるから,要するに関心をひかなかったということだろう。そこを根拠に命名するものだろうか。そもそも Inurois の♀の尾にも(ネット上の諸画像を見る限り)毛の房は存在している。

 

 というわけで,平嶋解釈を採らない。代案を出す。とはいえ決定版1つには決まらない。難しい。

 まず“in-”はラテン語の否定の接頭辞で決まり。ギリシア語なら普通は“a-”で否定しそうなものである。“innnu...”でnが重複するので1字省略されている。

 後節が勝負になるが,いずれにしても接尾辞“-is”の据わりが良くないので,この学名はかなり恣意的な造語であるといえる。この具合の悪さは平嶋説でも同じ。

  1. ラテン語の“nurus”(義理の娘)を否定したもの。「義理の娘ではないもの」。義理の娘ならともかく,「ではない」のなら原記載の Cheimotobi brumata とはどうも上手く繋がらないように思われる。
  2. バトラーが翅脈にこだわっていることから,ギリシア語の“neuron”(神経,脈)を否定したもの。「脈のないもの」。バトラーは英語圏の人間であるから,発音から“e”を略してしまう可能性がある。

 わたしの立場では,とにかく「原記載文」を最大のヒントにして学名を読み解いていきたいと思っている。2番目が押し。

 

 フユシャクは日本には2属しか分布していないのだけど,調べ出すと面倒である。多くの蛾屋さんは寒いフィールドで一生懸命♀探ししたりしているのだろうけど,ネットサーフィンや文献読みもそれなりには大変なのである。こちらが傍流なだけで。

 

 他のシャクガ亜科拾い。

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16-09-18(日)

[]Maxates属,Mujiaoshakua属,Neohipparchus属,Pachista属,Pingasa属,Thetidia属更新。 Maxates属,Mujiaoshakua属,Neohipparchus属,Pachista属,Pingasa属,Thetidia属更新。を含むブックマーク Maxates属,Mujiaoshakua属,Neohipparchus属,Pachista属,Pingasa属,Thetidia属更新。のブックマークコメント

 これでHPのアオシャク亜科の修正が一段落。

 

  • Maxates属
    • 画像3枚追加。Graeser の論文は相変わらず見つからない。ザイツ頼み。
  • Mujiaoshakua属
    • これも原記載が見つからない。日本の文献は公開されなさすぎである。
  • Neohipparchus属
    • 『標準図鑑』で語尾が女性形に変更された蛾の1つ。属が変更になるたびに語尾が変わるのは厄介なので「やり方」の1つである。でもそれじゃあ「学名は学問上の普遍語であるラテン語を使っている」意味がないのだけどなあ。
  • Pachista属
  • Pingasa属
    • これもザイツから。
  • Thetidia属
    • 原記載を確認して,画像はザイツ。

 

 次はどうしようかと思って,ツイッターでアンケートをかけた。9票入った。

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16-09-15(木)

[][]『Theatrum Insectorum』の「蝶蛾」を読む。(5) 蝶蛾の名称について。 『Theatrum Insectorum』の「蝶蛾」を読む。(5) 蝶蛾の名称について。 を含むブックマーク 『Theatrum Insectorum』の「蝶蛾」を読む。(5) 蝶蛾の名称について。 のブックマークコメント

 さて,これで,ようやくモフェットに入ることができる。

 正式な本のタイトルは

『昆虫すなわち,より少さな動物の劇場。かつて,エドワード=ウォットン,コンラード=ゲスナー,トマス=ペニーから始められ,最終的にロンドンのトマス=モフェットの尽力によって,最大限にまとめ上げられ,付け加えられ,完成させられた。生きているかのような表現の図版500以上』

(…)

1634年。

f:id:yyzz2:20160915165430j:image拡大

 Wotton,Gesner,Penny についてはいつかどこかで。彼らについて述べ出すと例によって際限がなくなる。

 底本は http://www.biodiversitylibrary.org/bibliography/60501#/summary を用いる。

  • なお,英訳がただちに出版されている。Topsel, 1658, Four-footed Beads SERPENTS の付録として,tr. Jhon Roland, The Theater of Insects; or, Lesser living Creatures; As Bees, Flies, Caterpillars, Spiders, Worms, &c. A most Elaborate Work: By T. Mouffet, Dr. of Physick.(http://www.biodiversitylibrary.org/bibliography/79388#/summary)。この翻訳は,訳者に昆虫学的専門性はなさそうだが,訳としてはまあまあのものだという評価が一般である。(Topsel についても切りがなくなるのでいつか。いろいろと当時の状況について下準備をやりすぎて収拾がつかなくなっているのである)
  • もう1つ。簡単な解説と,個々の蝶蛾の部分のフランス語訳がネットにあがっている。 Jean-yves Cordier, 2016, Les papillons decrits dans le Theatrum insectorum de Thomas Moffet (1634)

 この2つは随時参照していくつもりである。

 

 

 さて,やっと本文。でも今回は前置きの前置き的な部分。

 第13章

 蝶蛾について

 「蝶蛾」は“Papilio”。Rolandの英訳では“Butterflies”であるが,ラテン語では「蝶」と「蛾」とを区別しないので,以下「蝶蛾」と訳していく。

ギリシア語では,psychê,paphos,psalyges と言われる。

sêtodokides,pemphides,pomphaloges,skênes も同じ。

しかし,一般的な名前は psychê である。

ラテン語では,papilio。アルドイヌス(1)は.campilo と名付けている。

イシドールス(2)は,Auicula。

イタリア語では,Farfalla。

ガリア語では,Papillon,Papilion。

ヒスパニア語では,Mariposa。

ポロニア語では,Motil。

ハンガリー語では,Lovoldek。

イリュリア語では,Pupiela,meteyl,motyl。

ドイツ語では,Pifnet,Mulk,Pfyfholter,Summervuegel,Zweifalter。

フランドル語では,Vleghebronfus,Botershyte。

ブラバント語では,Capelleken,Vlindere,pellerin,Boter vlieghe。

英語では,Butterflies。

※幾つかの単語で「小文字」から始まっているが,原文ママ。英訳ではすべて語頭は大文字である。

  1. アルドイヌス:Santes de Ardoynis(Santes Ardoini) +2世紀イタリアの医師,著述家。主著『De Venenis』。(参照:http://data.bnf.fr/12537372/sante_ardoini/#author.other_forms)
  2. イシドールス:Isidorus Hispalensis。6世紀セビリアの神学者。中世最初の百科事典に位置づけられる『語源 Etymologiae』の著者。(参照:イシドールス - Wikipedia

 

 冒頭は各国語での名称の一覧から始まる。

 本質的な知識とは思えないが,「名義を正す」とか「ペダントリー」ということではなく,「あらゆる知識を網羅していく」のが当時の博物学的な知のあり方であるのだろう。

 (この項続く)

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