1958年福岡県門司市生まれ。フリーランス編集者。 1984年より十二年間、週刊劇評紙『初日通信』を編集・発行し、『TOKYO芝居探検隊』や宝島モダンクラシックプレイズ全六巻を担当した。その後、文芸書専門となり、山本文緒『パイナップルの彼方』『ブルーもしくはブルー』、篠田節子『夏の災厄』、三谷幸喜『古畑任三郎』、黒崎緑『未熟の獣』などを手がける。
明智卿死体検分作者:小森 収東京創元社Amazon 設定に雰囲気にミステリマニアならではの小ネタが 愉しめるという作品。 そういうところをたっぷり味わいながら 読みましょうってなところだろうな。 本格ミステリとして読むには、 「わずらわしい」って言葉がピッタリくる気がする。 妙に複雑だけど、特にアクロバット感も無く、 あんまりミステリ特有のカタルシスが得られない。 犯人の意外性も狙っているのかもしれないけれど、 なんか効果が発揮されてない。 全体的に曖昧な表現に終始してしまって申し訳ないけど、 どこがどう物足りないのか、説明に困るような作品。 まだ1巻しか読み終えてないけど「短編ミステリの二百…
★ 芦辺拓さんが、6月26日(日)に「第22回本格ミステリ大賞受賞記念トークショー&サイン会」に出演されます。 「第22回本格ミステリ大賞受賞記念トークショー&サイン会」開催概要 <第一部:オンライントークショー> ■日時:2022年6月26日(日)13:00~14:00(予定) ■会場:Zoom(オンライン) ■登壇者◎受賞者3名(芦辺拓さん・米澤穂信さん・小森収さん)◎本格ミステリ作家クラブ会長:東川篤哉さん◎司会:青柳碧人さん ■料金:無料 ■参加方法: Peatixサイト(https://peatix.com/event/3268990/)にて参加申し込みを受付け。 ★詳細:https…
短編ミステリの二百年1 (創元推理文庫) 作者:モーム、フォークナーほか 発売日: 2019/10/24 メディア: 文庫 確定深刻は確定深刻。何をかいわんや。 アンソロジー好きの老人をアンソロ爺ということにする。前にも書いたかも。 『短編ミステリの二百年 1 モーム、フォークナー他』小森収編 深町真理子他訳を読む。ミステリを読むのは好きだけど、偏って読んでいる。ま、系統立てて読むこともないかなとは思うが、この本と出会った。モームとフォークナーがミステリ? 何編か紹介。 「クリームタルトを持った若者の話」R・L・スティーヴンスンお忍びで盛り場をうろつく「ボヘミアのフロリアル王子」と護衛役の「ジ…
ちょっと変な本読みました。 明智卿死体検分 作者:小森 収 東京創元社 Amazon この本、「明智卿死体検分」という短い長編?って変な言い方ですねーーー著者のあとがきでは、原稿用紙300枚弱と書かれていますーーーと、「天正十年六月一日の陰陽師たち」という短編が入っています。 ちょっとしたミステリー小説です。 変なのは、陰陽師たちが活躍しているのと、織田、豊臣、徳川あたりが出てくる歴史を好きなように弄っていて、事件が起こり解決されているのがいつ頃なのかが判断つきかねる、はっきり言って架空の時代と空間が舞台になっていることです。 明智卿死体検分 明智と言えば、光秀も小五郎も思い浮かびますが、「明…
2月の読書メーター読んだ本の数:68読んだページ数:23462ナイス数:283地雷グリコの感想読み手の裏をかくところが上手い読了日:02月28日 著者:青崎 有吾弁護側の証人 (集英社文庫)読了日:02月27日 著者:小泉 喜美子テスカトリポカ読了日:02月26日 著者:佐藤 究名探偵は嘘をつかない (光文社文庫)の感想デビュー作だからか色々詰め込まれてる。あとがきによると応募作を改稿したものらしい。読了日:02月25日 著者:阿津川 辰海共犯マジックの感想昭和の未解決事件の裏には不幸を予言するフォーチュンブックの存在があったという連作短編集。読了日:02月25日 著者:北森 鴻エステルハージ…
毎週日曜日は、この一週間( 1/22~1/28)に週刊誌や新聞などの書評に取り上げられた旬の本を紹介しています。書評内容については各誌・HPなどをご覧ください。 今週の書評本 *表示凡例◆掲載された媒体: 発行号数 掲載冊数書籍タイトル 著者.編者 出版社 税込価格 書評掲載回数(②回以上のもの) ◆サンデー毎日「遠回りの読書」: 2/4 号 2 冊染織工芸家浦野理一の仕事 小津映画のきもの帖 浦野理一 katsura books 3,960晩酌の誕生 飯野亮一 ちくま学芸文庫 1,430 ◆女性自身「今週の本」: 2/6 号 4 冊続きと始まり 柴崎友香 集英社 1,980 ⑤バーバパパのは…
15.小森収『はじめて話すけど…… 小森収インタビュー集』(創元推理文庫) →文庫化にあたり、北村薫インタビューを新規収録。 16.『NHK将棋講座』2024年1月号(NHK出版) →独創!糸谷流右玉・対四間飛車編。 17.『NHK将棋講座』2024年2月号(NHK出版) →独創!糸谷流右玉・対中飛車編。はじめて話すけど……: 小森収インタビュー集 (創元推理文庫)作者:小森 収,各務 三郎,皆川 博子,三谷 幸喜,法月 綸太郎東京創元社AmazonNHK将棋講座 2024年 01 月号 [雑誌]NHK出版AmazonNHK将棋講座 2024年 02 月号 [雑誌]NHK出版Amazon
卒業研究の進捗が芳しくない。それはそれとして本は読む。 スーザン・ソンタグ『他者の苦痛へのまなざし』 写真は繰り返し立ち現れる。写真は単純化する。写真は扇動する。写真はコンセンサスという幻覚を創り出す。 藤原辰史先生の《現代史概論》に潜っている。「現代史を」語るのではなく「現代史とは何かを」語る講義で、マクロな政治史・外交史からはじまって、社会史、経済史、環境史、思想史、文化史、そして文学や哲学を経由しながらミクロな個人史へ、その内容は多岐にわたる。それも、シームレスに話題が変わり続けるのでついてゆくのは難しい。けれども毎回、確かな熱を与えてくれる講義だ。 先日もその講義を終えて帰りがけ、昼休…
104.ポール・ケイン『七つの裏切り』(扶桑社ミステリー) →解説は木村仁良。 105.方丈貴恵『時空旅行者の砂時計』(創元推移文庫) →第29回鮎川哲也賞受賞作。〈竜泉家の一族シリーズ〉第1作。解説は辻真先。 106.フレドリック・ブラウン/小森収=編『死の10パーセント フレドリック・ブラウン短編傑作選』(同上) →13編収録。編者解説。 107.ジョルジュ・シムノン『メグレとマジェスティック・ホテルの地階〔新訳版〕』(ハヤカワ・ミステリ文庫) →解説は編集部。七つの裏切り (海外文庫)作者:ポール・ケイン扶桑社Amazon時空旅行者の砂時計 (創元推理文庫)作者:方丈 貴恵東京創元社Am…
記録的な猛暑が終わり、ようやく涼しくなって来たと聞いていますがみなさまいかがお過ごしでしょうか。こちらは南国に住んでいるのでよくわかりませんが、さぞかし本を読むのに相応しい気候になってきたのではないかと想像しております。もう本でも読むしかない! というわけで9月刊行の面白そうな本をまとめました。 フリアとシナリオライター (河出文庫) 作者:マリオ・バルガス=リョサ 河出書房新社 Amazon ペルーのノーベル賞作家バルガス=リョサのスラップスティックコメディが文庫復刊(原著2004年国書刊行会)。翻訳は南米文学ファンにはおなじみ野谷文昭。 www.suiseisha.net こちらも南米文学…
(本書の犯人およびアイディアを明示していますので、ご注意ください。) クリスチアナ・ブランドの代表作といえば、昔は『はなれわざ』(1955年)、近年は『ジェゼベルの死』(1948年)だが、『疑惑の霧』(1952年)[i]も一貫して代表作のひとつに挙げられてきた。 都筑道夫は、翻訳刊行以前に『エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン』のコラムで取り上げると、「ユーモラスでシャレた雰囲気」で書かれており、「本格ファンにも、小説としての面白さを重んじるファン」にも楽しく読めると称揚している。『はなれわざ』に比べるとトリックは「ずっと小味ですし、独創的なものでもありませんが、現代の本格探偵小説は在来の…
(本書の犯人、トリック等を明かしていますので、ご注意願います。) クリスチアナ・ブランドの代表作は、『はなれわざ』[i]というのが通り相場だった。 都筑道夫が日本語版『エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン』のコラム「ぺいぱあ・ないふ」(1956年9月号)の第一回で本書を取り上げ、「看板に偽りなく文字通り『離れ業』の大トリックがあり、(中略)綿密に伏線が張りめぐらしてある、という近来まれな本格作品」と持ち上げて、さらに「といって大時代な拵えもの臭い本格ではなく、登場人物も生き生きと描かれていて、ユーモラスでしゃれた小説になっている」[ii]と駄目押しした。 1959年にようやく翻訳が刊行され…
(本書の内容に立ち入っています。ただし、犯人は明かしていません。) クリスチアナ・ブランドは、日本ではカリスマ的な人気を誇っているようだ(欧米のことはよく知らない)。 もっとも、アントニー・バウチャーが言った「ブランドに匹敵する作家を探すとすれば、クリスティ、クイーン、カーのような偉大な巨匠たちのなかに見つけるしかあるまい」という言葉は有名で、あっちこっちで目にする[i]。 ブランドを最初に紹介したのは、都筑道夫であるようだ。『ミステリ・マガジン』に連載した「ぺいぱあ・ないふ」の第一回(1956年9月号)で『はなれわざ』を取り上げて、「近来まれな本格作品」、「ユーモラスでしゃれた小説」[ii]…
8月に入ったので、先月読んだ本をまとめておきます。 全てネタバレなしで紹介します。 気になったものがあればぜひお手に取ってみてください。 読めたのは7冊でした。 (先日感想を投稿した「さらば、夏の光よ」は実は去年読んだものなので入れてません) 毎月コンスタントに10冊は読みたいところです・・・ 一冊目: 「ドルジェル伯の舞踏会」 二冊目:「カステラ」 三冊目:「短篇ミステリの二百年 1」 四冊目:「ロリータ」 五冊目:「モリオ」 六冊目:「公女マーラヴィカーとアグニミトラ王」 七冊目:「沈黙」 まとめ 一冊目: 「ドルジェル伯の舞踏会」 ラディゲの「ドルジェル伯の舞踏会」です。 前々から気にな…
『短編ミステリの二百年2』チャンドラー、アリンガム他/小森収編/猪俣美江子他訳(創元推理文庫)★★★☆☆「挑戦」バッド・シュールバーグ/門野集訳(The Dare,Budd Schulberg,1949)★★★☆☆ ――ポールは海を見つめていた。モーターボートと水上スキーの娘が衝突ぎりぎりまで突っ込みどこまで突堤に近づけるかくり返し挑んでいた。「ああ、ジェリー・ローフォードか。あの娘はいかれてるのさ。家族が金持ちで、自分でも絵を描いたりカジノで大勝ちして金を儲けた」。ポールがクラブに行くと、ジェーンが男とカジノに行き、酒を飲んでいた。「お酒はもういいわ。誰か泳ぎたいひと?」。連れの男が断るなか…
(犯人の名前は伏せていますが、ほぼばらしていますので、ご注意ください。) 『死のジョーカー』(1963年)[i]は、ニコラス・ブレイクの第17長編だが、前作『死のとがめ』(1961年)[ii]と同様の犯人当てミステリである。つまり、それ以前の『血ぬられた報酬』[iii]や『くもの巣』[iv]のようなスリラー・サスペンス小説ではないということだが、前作と大きく異なっている点がある。ナイジェル・ストレンジウェイズが登場しないのだ[v]。 犯人当てミステリでナイジェルが不在というのは初めてのことで、しかも全編ジョン・ウォーターソンによる一人称の手記の形式を取っている。 このウォーターソンという人物、…
皆さん、こんにちは。秋山です。 3月に遊んだり触れたりしたものを振り返ります。