いつもと違うところはあるかと聞かれれば、マイバッグではなくスーパーの袋を下げていたと、答えていたに違いない。 前を歩く彼はカバンも持たず、小さいサイズの白いスーパーの袋だけを下げていた。この近くにあるコンビニの帰りだろう。彼がダウンベストを着用していなければ、思わず声を掛けそうなほど、その後ろ姿と歩き方は息子にそっくりだった。髪型も散髪したての息子そのものだ。 仕事をしている時間帯に歩いているはずもないが、思わずクスっとしてしまった。 彼に出会う少し前、線路沿いには電車を眺める親子がいた。お父さんに抱きかかえられた子供は、電車に向かって手を振っている。警笛がなると、それは子供に向けられた注意で…