かねてから気になっていた、伊藤亜沙「手の倫理」を読んだ。人が人の体に「ふれる/さわる」ときにどのような交流が生まれるのか。哲学者の故・坂部恵によると、「さわる」は一方的であるのに対し、「ふれる」は相互的なのだそうだ。人が人に「ふれる」ときは、どこか「ふれられる相手」が「ふれる相手」に気を許しているような状況が多いような気がするし、「ふれて」ほしいときに「さわら」れたら、乱暴なイメージが付随してくる。 手の倫理 (講談社選書メチエ) 作者:伊藤亜紗 講談社 Amazon 体力の衰えは感じているが、まだ人の世話になるほどでもない。だが、人に「さわられる/ふれられる」のが日常的になる日はいずれやって…