アニメは楽しい。それは間違いない。アニメという媒体は,それ自体で十分に楽しめる媒体だ。しかしその隣に,映画や音楽や書物などの別の媒体を置いてみよう。おそらく,単に楽しいだけだったアニメの中に,様々な含意や暗示や示唆が潜んでいることに気づくだろう。それは制作者が意図したことかもしれないし,まったくそうではないかもしれない。しかしそのようにして発見した細部をきっかけに作品の“読み”を広げていけば,通常の見方をしただけでは思いもよらない解釈に至る可能性が生まれる。言ってみれば,アニメと非アニメとの化学反応だ。だから僕はアニメと一緒に本を読む。アニメというビジュアルメディアのすぐ隣に,書物という文字メ…