「また上履、捨てられたの?」 「ええ、飽きもせず。これで3足目。そろそろ報復するべきなのかしら」 ボロボロで湿った校舎の屋上で、佳代はひらひらとスカートを靡かせて奇妙な踊りを踊っていた。それは風前の灯のように危ういようで、花びらが風に舞っているような変な美しさがあった。 足元は素足で、でも佳代はそんなこと気にも止めていない。風にあおられてフラつき、よろめくたびに、佳代の命が煌めいているように見えた。 鍵のかかった屋上。 一般生徒は立ち入れない。では何故我々がここにいるのかというと、視聴覚室の窓を伝って非常梯子を登ってきているのだ。 このことは佳代と僕しか知らず、僕も佳代から教えてもらうまではそ…