ある日の午後、主人が吾輩のいる水槽に近づいて来た。 吾輩は、「きっと、いつもの巡回だろう」と思い、相手にしなかった。 しかし、主人は、いつもとは違い、水槽全体に被せている板の一部をはずし、その隙間から吾輩をじっと覗いていたのである。 いつもは板もはずさず、こちらをちらっと見て、さっさとその場を立ち去るのに・・・。「なしか?※1」と不思議に思っていると、今日は何か良いことが起きるような予感がしてきた。 それで、吾輩は、主人に出来るだけ近づきたいと思い、水槽の壁をよじ登ったのである。 そして、主人は、吾輩の顔のすぐ近くまで自分の顔を接近させてきた。 吾輩は、「何か美味しい食べ物をくれるのかなぁ?」…