黄金週間最後の日曜日から金曜日までかけて、チャールズ・ディケンズの『二都物語』(加賀山卓朗訳, 新潮文庫版2014)を読んだ。 www.shinchosha.co.jp 最初に大事なことを書いておくと、今回の読書では非常な幸運に恵まれた。というのは、本作の末尾に非常に有名な場面があるのだが、それを知らないまま読むことができたからだ。本作は演劇やミュージカルなどの舞台化が頻繁に行われたり、高校などの授業で教えられるなどしているため、本を読まないうちから結末をご存知の方も多いと思われるが、私はこの歳までそれを知らなかった。知っていたのは、「二都」がロンドンとパリを指し、フランス革命期を舞台とした小…