あたたかい風が心地よい金曜日の午後、 ぼくは少し不満げに母親を見上げた。 「ママ、なんで僕たちだけごみ拾いしなきゃいけないの?」 母親はにこやかに、でもきっぱりと答えた。 「この町は私たちが暮らしている場所でしょう? きれいにするのは、みんなが気持ちよく過ごすためよ。」 ぼくの住む桜町は、 かつては桜並木が美しいことで知られていたが、 近年は心ないポイ捨てが増え、町のあちこちに ごみが目立つようになっていた。 母親はそんな状況を憂い、 毎週末、ぼくを誘って二人でごみ拾いをしていたのだ。 最初は嫌々だったぼくも、 ごみ袋がいっぱいになるにつれて、 少しずつ変化していった。 ある日、ぼくは壊れたお…