奮闘努力するという意味のアラビア語。イスラームでは、悪と戦い正義を実現する行為を指し、ムスリムの義務とされる。
自分を自ら律する内面での戦いを「内へのジハード」という。 イスラム世界を防衛し、拡大するための戦いを「外へのジハード」といい、「聖戦」と訳される。非イスラーム世界で言及されるジハードは後者の意味である。
歴史的には、勢力範囲を拡大し、イスラム帝国を築き上げていった初期イスラームの時代の拡大戦争、および11世紀から13世紀に渡り、ヨーロッパのカトリック系諸国から、聖地エルサレム奪回を名目として起された十字軍に対して、アラブ諸国が戦った防衛戦争をイデオロギー的に支えた。
その後、西アフリカなどでの反植民地主義闘争、反イスラエル闘争、ソ連の侵攻に対するアフガニスタンなどで、宗教的というよりは政治的に使われている。
ジョージ・ブッシュ大統領が、イラク戦争で「十字軍」という言葉を使い、アラブ側も「ジハード」という言葉で応じたように、キリスト教陣営とイスラム教陣営の対立として、十字軍は現在も象徴的な意味をもっている。