平成2年(1990年)から運用が開始された東武鉄道の100系電車、および同車で運行される特急列車の愛称。英語表記は「SPACIA」。
長らく使用されてきたDRC(デラックスロマンスカー)1700系と1720系を跡を継ぐ形で投入された。
車内には4人用個室やカウンタービュッフェ*1などが設置されており、私鉄特急の中でもその豪華さは一、二を争うほど。同年の鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞した。
かつては、座席の背もたれにスピーカーを埋め込み(個室は室内のスピーカー)、各席に(個室は扉横)ある操作パネルを使って音楽が聴けるオーディオサービスがあったが、今はこのサービスはなく、機器も撤去されている。
私鉄初の最高速度120キロ運転等を実施して時間短縮を図り、運行開始当初は客数を順調に伸ばしたが、バブル後の不景気等の要因が重なって利用客は減少。その後幾度に渡るダイヤ改正により停車駅が増え、従来の目的である日光方面への観光客輸送のみに限定せずビジネス客をも対象とした運用が行われ、特に早朝の上りと夜間の下りには浅草〜新栃木・春日部間の区間運転列車がある。
既存の浅草・北千住以外の首都圏ターミナル(特に山手線の西側エリア、殊に東上本線のターミナル・池袋駅)を求める東武と、かつて日光方面への旅客輸送を国鉄時代に東武と争って完敗したJR東日本の思惑が一致する形で2006年3月18日からは栗橋駅構内に新設した両社の連絡線を介したJR線との直通特急が誕生し、新宿始発の便4往復のうち2往復がスペーシアで運行されている(残る2往復はJR253系電車で運行)。この場合、スペーシア○○という列車名で運行される(なお、スペーシアが定期点検などで運行できない場合はJR253系電車を使用し、列車名から「スペーシア」を外して運行する)。
この直通特急の運転開始以降、臨時列車ではあるが品川・大船・千葉・八王子からそれぞれ新宿経由で東武日光方面へ向かう設定も誕生しており、特に品川発着にはJRの車両の他、運転日によってはスペーシアも乗り入れる。
奇しくも戦前に断念した伊勢崎線系統と東上線池袋を結び池袋から直通列車を走らせる計画*2が、全く違う形で実現する運びとなった。同様に、かねてよりさいたま・大宮地区から行われていた東武野田線経由による東武特急運転の請願も、違う形にはなったがこのJR直通特急新設をもって実現した。
2012年3月17日から浅草行きの特急列車を含む上り列車と浅草発の一部の下り列車*3が、業平橋改め「とうきょうスカイツリー」駅にも停車。また、同年5月22日からの東京スカイツリー開業・東京ソラマチ街開きと東武鉄道のCI導入を踏まえ、外装・内装のリニューアルが順次進められており、リニューアル済みの編成には「SPACIA」の「I」の部分が東京スカイツリーのシルエットとなった新しい車体ロゴが描かれている。
新宿─池袋─大宮──┐(きぬがわ・日光) 浅草─北千住─春日部┴栃木─新鹿沼─下今市─東武日光(けごん・日光) └新高徳*4─鬼怒川温泉─鬼怒川公園─新藤原(きぬ・きぬがわ)
浅草駅では、3・4番線に発着する。このホームに入るには、ホーム手前・階段を上ってすぐ(北口から来た場合)にあるインフォメーションカウンターで、係員に特急券を見せる必要がある。
また、北千住では、下りのみ1・2番線の奥(小菅寄り)にある特急専用ホームからの発車となる(中間改札有り)。上りは「りょうもう」号同様、通常の上りホームから単なる浅草行き特急として発車する。春日部では下り・上りとも、2・5号車のドアしか開かないので、そこから乗降する必要がある。