SFの中の形式(サブジャンル?)のひとつ。
人類が宇宙に進出したとの設定の下に繰り広げられる、主に宇宙船および惑星を舞台とした作品群をいう。
「スペオペ」と略されることもある。
「スペースオペラ」の語源は「ソープオペラ」。いわゆる(お昼過ぎの、洗剤会社がメインスポンサーになっている、テレビの)「よろめきドラマ」(死語)からの変化。故に正しいスペースオペラはシリアル(連続もの)の体裁を取るべき。宇宙が舞台のスペクタキュラ優先のお話がみな「スペースオペラ」かといえば、けしてそういうもんでもない。
また、「ホースオペラ」(西部活劇。“低俗な”“安っぽい”というニュアンスを含む)を語源とした娯楽性の強い宇宙冒険活劇の事。
その最も基本的なスタイルは、西部の砂漠を宇宙空間にし、馬を宇宙船に乗り換え、二丁拳銃の代わりに光線銃を撃ち、悪漢の代わりに異星人やマッドサイエンティストを打倒し、魅力的な美女を助けるというもので、ホース・オペラを物語の雛形とする。
それ故に“半裸の美女と奇怪な宇宙人が売り”で舞台を宇宙に移し替えただけと揶揄される事もあり、やや蔑称としての意味を含んでいるが、その中にも幾つかの非凡な作品が存在し、米英SFの底流としての影響は非常に大きい。
1930年代〜40年代にかけて隆盛し、最盛期には数多くの専門誌が存在していた。
その作品・作家としては、<レンズマン>シリーズ(E・E・スミス)、<キャプテン・フューチャー>シリーズ(エドモンド・ハミルトン)、<ノースウェスト・スミス>シリーズ(C・L・ムーア)、などが著名。
また後に70年代に入って登場した、ラリィ・ニーヴンの<ノウンスペース>シリーズなど、質的な向上やハードSFとの融合をはかった諸作を「ニュー・スペースオペラ」と呼ぶ事もある。
現在では「スペース・オペラ」という冠は、この流れの延長線上にあるといえる“宇宙を舞台にした大がかりな物語”に対してつけられる事が多く、原義の蔑称的な意味はほとんど消えているといってよいだろう*1。
なお、本邦へのスペースオペラ紹介の草分けとして、翻訳家・作家・SFコレクターの野田昌宏氏の存在を忘れてはいけない。氏の存在なくして、日本のスペースオペラは語れないと言っても、過言ではないだろう。