晴、灼熱溽蒸。夜には涼気。 ド・シャロンジェ監督作。ジャン=ルイ・トランティニャン、カトリーヌ・ドヌーヴが出演。第4回セザール賞最優秀作品。 銀行のスキャンダルのスケープゴートにされた男の反抗。メランコリックな音楽、暗澹とした雰囲気の中で、金と策謀の物語が進行する。『男と女』でしかトランテイニャンを知らぬと困惑するが、彼はかういふ役柄が多いし、合つてゐる。 銀行を巨悪に描くサスペンスは日本人にはお馴染みだが、かうしたドラマがフランスにも存在することに愕いた。セザール賞を受賞するだけあり、何らの瑕瑾は見当たらない。映像も美術も大変に美くしいのだが、果してこれ程に人を鬱屈とさせる映画が観衆に受けた…