登場人物 私:ブランド志向の強い植物愛好家。「血統」や「作出者」という言葉に弱い。 猫:悪気はない。ただ、そこに棚があったから飛び乗っただけ。 『プラスチックの血統書』 日曜日の昼下がり。 私は至福の時間を過ごしていた。 目の前にあるのは、私のコレクションの中でもトップクラスの宝物。アガベ・チタノタ『シーザー(Caesar)』の子株だ。 ただのシーザーではない。 台湾の著名なナーセリー(育種家)から直接輸入された、正真正銘の「直子(ちょくし)」だ。 その証拠に、鉢の縁には漆黒のネームタグが刺さっている。 金色の文字で刻印されたブランドロゴ。そして『Caesar』の筆記体。 このタグがあるだけで…