夜遅くに最寄り駅まで帰り着く。もう路線バスもなく、今朝出かけるときは雨が降っていたので自転車は使っておらず、タクシーは長蛇の列。およそ20分の道のりを歩くことにする。こうして夜遅くに、東京や横浜で遊んでいた人たちが、あるいは遅くまで会社で残業をしていた人たちが、ぽつりぽつりと「宴のあとのちょっと寂しく、ちょっと思い出に浸っている気分で」歩くなかの一人になりつつも、実はデジタルカメラを首に下げていて、帰り道の道筋にある定番の被写体を撮ることも滅多になくなった。五年十年と時が過ぎるうちに、定番にしていた被写体が消えたり変わったりしていく。なにかの工場には夜を徹して走る出荷の大型トラックが夜遅くにグ…