しとしとと小雨が降る中、軽自動車を走らせて、アパートへと急いでいた。 すでに23時を過ぎている。 「目的地は、すぐそこです」 スマートフォンのナビ案内が、そう告げた。 「はぁ~!? ここ、どこよ?」 めったに独り言をいわない私だが、思わず心の声が漏れた。 車のライトに照らされていたのは、沖縄葬斎場と書かれた看板だった。 時間をさかのぼること、6時間前。 知り合ったばかりのホテル従業員と意気投合し、二人で晩ごはんを食べる約束をしていた。 夕方17時にアパートのある沖縄市から車で、うるま市の居酒屋へと向かう予定をしていた。 沖縄市に移り住んで日が浅く、土地勘がほとんどない状態で、スマートフォンの道…