密かに憧れながらも遠ざけているもののひとつにハイヒールがある。 履いているひとの立ち姿をすらりとして見せ、尖りつつも甘さがあり、歩くたびにコツコツと軽快に響かせながらどこかちょっと神経質そうに聞こえる音。憧れる。憧れるけれど、でもどうしても履けない。自分の足の形にあわない。いや、悲しいことに大抵の靴が足にあわない。なにせ偏平足。そして幅広。靴擦れもよく起こす。なにより、一日の歩数が8000~10000歩の人間にとって、ハイヒールどころか3センチ程度のヒールですら厳しい。どちらかといえば、ちょっとの重さはありつつも動きやすく、雨風や歩数の多さに簡単にはへたれない柔らかい革靴の方があっている。よく…